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43.ルナ
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「あなたは泡沫人と人魚の混血です」
そう、ア女王に言われたのは100歳の誕生を迎えた時だった。
人魚は、貝の中から生まれる。その時までは自分もお姉様と同じように貝から生まれたと思っていた。
それが、いきなり女王から泡沫人を父に持ち、双子として生まれた、尾鰭がついてからという理由で海に返されたと教えられ愕然とした。
事実を知ってから海の上に行った。
地上な色があり、広い世界は美しく驚いた。
ここで生まれたというのに実感が沸かず、それよりも会ったこともない両親や妹に思いを馳せ泣いてしまった。
海の底に帰ってからはひたすら父である泡沫人を調べ母であるレイフィシアを知ろうとした。そうするたびに人魚方は奇異の目で自分を見てくるようになった。
海の中で変わらない日々を送る人魚たち。
次第に何かを知ろうとしてる自分は彼女たちとは違った存在なのだと思うようになっていった。
自分が異物に感じた。
この中に混ざってはならないものだったのではとー。
だからこそ、自分が真珠のようだと思った。
異物である自分が王宮という貝に守られながら人魚として形成しながら生きていく。
それでも自分は本質を変えることはできない。自分自身変わり者だと思えた。
そして女王も自分と同じ類の者だと思った。
女王も海の上に興味を抱いた一人だと聞いていたからだ。好きな男を海に引き摺り込み、王宮の奥に押し込み愛でているという噂まである。
この人魚の世界でも異質な存在。
ならば、自分も女王になれるのではと考えたこともあった。
だが、無理だった。
その理由が泡沫人と人魚の混血だからといういたって簡単なものだった。
やはり、自分は人魚と認められていないのか?
自分に与えられたのは魔女という位置付けだけ。
行き場のない虚しさから先代魔女が残した王宮から離れた家に住むようになった。
そこにはたくさんの本があり、自分が知らない世界が描かれていた。
まだ変わり者がいたんだと知り、心が軽くなった。
どんな方だったのだろうかとますます本を読んでいった。
それと同時に読み進めるたびに母を想った。自分はいらない子だったのか尋ねたてくて仕方なかった。尾鰭があった自分を愛してくれたのかと。
そして生き別れた双子の妹に会いたいと強く願うようにもなっていった。
でも、人魚の掟がある。実際には呪いに近いのだ。人魚であることを言ってはならないのではなく、言うこと自体ができないのだ。
誰も知られていない理由として、人魚は泡沫人に興味を抱かないからだ。想いを抱く者がいるとすれば、変わり者だけ。主に横鰭が多い者がそれだった。
もう一度海の上に行きたい。
その『もう一度』のために研究をしていた。
セイネシアがその機会を与えてくれた。
セイネシアから聞いた話・・・白髪の女性。
それを聞いて胸が高まったか。
もしかしてーと。その色は聞いていた妹と同じ色だったからだ。
準備を整え、女王に隠れて海の上にあがった。先代魔女が残した薬を改良して作った薬を飲み泡沫人になる。思ったように声は出せるものの、その代償に足の痛みがひどかった。
一歩前に踏み出すたびに激痛が走り、泣きそうになるのを耐え城に向かった。
言葉の魔力と元来あった魅了でパーティー会場へと行った。
そこで見たのは白髪の女性。
やっと会えた。
そう思ったのに、私は痛みで気を失った。
すべてうまくいくと思っていたのに、ダメだった。しかもセイネシアのメイドというフィーを会ってからは特に思うようになった。
彼女は泡沫人というが何かが違う。
本人は自覚していないが私より強い魔力を持っている。人魚界でも失われない呪いをした。もう呪いのレベルと言ってもいい。
人魚の中でもあまりいない魅了の目の力がメリアをのけて使えないでるのもきっとフィーがいるからだと思う。
フィーがいると私自身がちっぽけな存在に感じるというのに、フィーがいると安心できた。
そしてフィーのおかげがたくさんあった。
私はソレイユの首にかかる美しい真珠を思い出した。
やはり、彼女で間違いない。
親近感を呼ぶ。彼女は私の大事な片割れだ。
私を知ってほしいのに呪いが私を邪魔する。母のことも父のことも詳しく聞きたいのにできないもどかしさ。
どれだけ『妹』と呼びたかったか。
ずっと一緒にいたい。あんな男なんかに取られたくない。
これが嫉妬なのだろうかー。
私は足をさわった。
フィーのくれたクリームを足に塗りだしたおかげで痛みは引いた。少しなら歩く事もできるようにもなった。
だけど冷たい鱗の感触がないのが寂しかった。2本の足が自分のものであることに違和感を覚える。
元に戻りたい。人魚に還りたい。
なぜそう思ってしまうのだろうか。あれほど異物だと思っていたのに。妹のように泡沫人なりたいと思い続けていたのに。
こうして泡沫人になってみて初めて私は人魚なのだと実感したのだ。
あの子と一緒に海に還りたい。
人魚として海を泳ぎ回りたい。
いつの間に私は自分を人魚だと思っていたのたまろうか?
もしかすると幾年も歳を重ねた異物も自分を真珠と思い込んでいるのかもしれない・・・。
あのように美しく輝かすことができるのはアコヤ貝から取り出された時だけだというのに。
私は髪についた髪飾りを握った。
醜い自分の気持ちが溢れるばかりだった。
そう、ア女王に言われたのは100歳の誕生を迎えた時だった。
人魚は、貝の中から生まれる。その時までは自分もお姉様と同じように貝から生まれたと思っていた。
それが、いきなり女王から泡沫人を父に持ち、双子として生まれた、尾鰭がついてからという理由で海に返されたと教えられ愕然とした。
事実を知ってから海の上に行った。
地上な色があり、広い世界は美しく驚いた。
ここで生まれたというのに実感が沸かず、それよりも会ったこともない両親や妹に思いを馳せ泣いてしまった。
海の底に帰ってからはひたすら父である泡沫人を調べ母であるレイフィシアを知ろうとした。そうするたびに人魚方は奇異の目で自分を見てくるようになった。
海の中で変わらない日々を送る人魚たち。
次第に何かを知ろうとしてる自分は彼女たちとは違った存在なのだと思うようになっていった。
自分が異物に感じた。
この中に混ざってはならないものだったのではとー。
だからこそ、自分が真珠のようだと思った。
異物である自分が王宮という貝に守られながら人魚として形成しながら生きていく。
それでも自分は本質を変えることはできない。自分自身変わり者だと思えた。
そして女王も自分と同じ類の者だと思った。
女王も海の上に興味を抱いた一人だと聞いていたからだ。好きな男を海に引き摺り込み、王宮の奥に押し込み愛でているという噂まである。
この人魚の世界でも異質な存在。
ならば、自分も女王になれるのではと考えたこともあった。
だが、無理だった。
その理由が泡沫人と人魚の混血だからといういたって簡単なものだった。
やはり、自分は人魚と認められていないのか?
自分に与えられたのは魔女という位置付けだけ。
行き場のない虚しさから先代魔女が残した王宮から離れた家に住むようになった。
そこにはたくさんの本があり、自分が知らない世界が描かれていた。
まだ変わり者がいたんだと知り、心が軽くなった。
どんな方だったのだろうかとますます本を読んでいった。
それと同時に読み進めるたびに母を想った。自分はいらない子だったのか尋ねたてくて仕方なかった。尾鰭があった自分を愛してくれたのかと。
そして生き別れた双子の妹に会いたいと強く願うようにもなっていった。
でも、人魚の掟がある。実際には呪いに近いのだ。人魚であることを言ってはならないのではなく、言うこと自体ができないのだ。
誰も知られていない理由として、人魚は泡沫人に興味を抱かないからだ。想いを抱く者がいるとすれば、変わり者だけ。主に横鰭が多い者がそれだった。
もう一度海の上に行きたい。
その『もう一度』のために研究をしていた。
セイネシアがその機会を与えてくれた。
セイネシアから聞いた話・・・白髪の女性。
それを聞いて胸が高まったか。
もしかしてーと。その色は聞いていた妹と同じ色だったからだ。
準備を整え、女王に隠れて海の上にあがった。先代魔女が残した薬を改良して作った薬を飲み泡沫人になる。思ったように声は出せるものの、その代償に足の痛みがひどかった。
一歩前に踏み出すたびに激痛が走り、泣きそうになるのを耐え城に向かった。
言葉の魔力と元来あった魅了でパーティー会場へと行った。
そこで見たのは白髪の女性。
やっと会えた。
そう思ったのに、私は痛みで気を失った。
すべてうまくいくと思っていたのに、ダメだった。しかもセイネシアのメイドというフィーを会ってからは特に思うようになった。
彼女は泡沫人というが何かが違う。
本人は自覚していないが私より強い魔力を持っている。人魚界でも失われない呪いをした。もう呪いのレベルと言ってもいい。
人魚の中でもあまりいない魅了の目の力がメリアをのけて使えないでるのもきっとフィーがいるからだと思う。
フィーがいると私自身がちっぽけな存在に感じるというのに、フィーがいると安心できた。
そしてフィーのおかげがたくさんあった。
私はソレイユの首にかかる美しい真珠を思い出した。
やはり、彼女で間違いない。
親近感を呼ぶ。彼女は私の大事な片割れだ。
私を知ってほしいのに呪いが私を邪魔する。母のことも父のことも詳しく聞きたいのにできないもどかしさ。
どれだけ『妹』と呼びたかったか。
ずっと一緒にいたい。あんな男なんかに取られたくない。
これが嫉妬なのだろうかー。
私は足をさわった。
フィーのくれたクリームを足に塗りだしたおかげで痛みは引いた。少しなら歩く事もできるようにもなった。
だけど冷たい鱗の感触がないのが寂しかった。2本の足が自分のものであることに違和感を覚える。
元に戻りたい。人魚に還りたい。
なぜそう思ってしまうのだろうか。あれほど異物だと思っていたのに。妹のように泡沫人なりたいと思い続けていたのに。
こうして泡沫人になってみて初めて私は人魚なのだと実感したのだ。
あの子と一緒に海に還りたい。
人魚として海を泳ぎ回りたい。
いつの間に私は自分を人魚だと思っていたのたまろうか?
もしかすると幾年も歳を重ねた異物も自分を真珠と思い込んでいるのかもしれない・・・。
あのように美しく輝かすことができるのはアコヤ貝から取り出された時だけだというのに。
私は髪についた髪飾りを握った。
醜い自分の気持ちが溢れるばかりだった。
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