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最終話 神が授けた者
Episode8
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「管内で殺人事件が起きた!犯人は逃走中だ。警察官が現着してすぐ鑑識も行ったが、すでに被害者は息絶えており、犯人を見た人間はいない。被害者は……」
会議室には崎田の声が響く。
メモを取る捜査員。
一番後ろには、IHSのメンバーとして会議に参加するマリア、暁人、春日部、結城の四人が座っていた。
あの研究所は跡形もなく消えた。
もともと人の目に触れるような場所ではなかったためか、それが消えても違和感に感じる人間はおらず、問題にもならなかった。
そして、それから一か月。
季節は冬になり、全てが元に戻っていた。
「……事件概要は以上だ!何か質問は?」
崎田が尋ねる。
「あのさ!犯人って本当に存在してる人間で間違いないの?」
「ちょ、ちょっと先生!」
春日部の制止を振り切り、彼女は続ける。
「被害者はいる、凶器はない、犯人も見ていない。おかしくない?こんな昼間で、人通りも多いのに、犯人も凶器もないっておかしいでしょ!もしかして、犯人って透明人間なんじゃないの……?」
またお前かとでも言いたげな視線をマリアに向ける捜査員たち。
だが、今までの実績がある。マリアはいつも以上に強気だった。
「てことでさ、その遺体と遺留品類とか全部、うちに持っていくから今すぐ用意して。暁人は遺体をお願いね。春は遺留品を、まこっちゃんはいつも通り“玄武”を頼んでもいい?」
マリアは的確に、かつ短く頼みごとをした。
彼らはうなずき、それぞれが自分の役目を全うするかのように、承諾書を準備した。そして、否応なしに崎田にサインさせる。
「てことで、もらっていきますね」
暁人は笑顔で言い、その場をあとにする。
もちろん、春日部も、結城も、それぞれ去っていった。
「なあ崎田……お前は私を化け物だと思うだろ?確かに私はお前たちから見たら化け物かもしれない。でもな、こんな化け物でもちゃんと居場所を作れたぞ。お前には一生かかっても手に入れられない仲間もな……てことで、この事件も私が解決してやるから大船に乗ったつもりで待ってろよ」
崎田にそう言い放つマリア。
彼は腕を組み、体を退け逸らせながら言った。
「お前なんかに犯人も凶器もない事件が解けると思うな」
「何言ってんだよ。解けるに決まってるだろ?私は天才なんだから」
マリアはいつものセリフを言い放ち、颯爽と部屋を出ていく。
「ほんとにむかつくな!あの化け物は!」
会議室内で崎田の叫び声が聞こえる。
が、それは聞かないふりをして、いつものように正面玄関に向かう。
「マリアせんせ~い!帰る準備できてますよ~!」
結城が手を振る。
「お~!お待たせ~!帰ろっか!」
四人は車に乗り込み、IHSへと戻っていく。
また忙しい毎日が戻ってきた。
IHSメンバーにはもう何も隠し事がない。
マリアは清々しい表情を浮かべ、暁人の運転する助手席でいつものようにアイスを食べていた。
「マリア先生、こぼさないでくださいよ?それ、チョコなんですから」
「誰に言ってんだよ~。大丈夫に決まってるだろ?なんたって私はて……」
「天才だから!でしょ?でも、こぼしますよ?先生には前科があるんですから」
四人の乗る車は笑いに包まれていた―――。
会議室には崎田の声が響く。
メモを取る捜査員。
一番後ろには、IHSのメンバーとして会議に参加するマリア、暁人、春日部、結城の四人が座っていた。
あの研究所は跡形もなく消えた。
もともと人の目に触れるような場所ではなかったためか、それが消えても違和感に感じる人間はおらず、問題にもならなかった。
そして、それから一か月。
季節は冬になり、全てが元に戻っていた。
「……事件概要は以上だ!何か質問は?」
崎田が尋ねる。
「あのさ!犯人って本当に存在してる人間で間違いないの?」
「ちょ、ちょっと先生!」
春日部の制止を振り切り、彼女は続ける。
「被害者はいる、凶器はない、犯人も見ていない。おかしくない?こんな昼間で、人通りも多いのに、犯人も凶器もないっておかしいでしょ!もしかして、犯人って透明人間なんじゃないの……?」
またお前かとでも言いたげな視線をマリアに向ける捜査員たち。
だが、今までの実績がある。マリアはいつも以上に強気だった。
「てことでさ、その遺体と遺留品類とか全部、うちに持っていくから今すぐ用意して。暁人は遺体をお願いね。春は遺留品を、まこっちゃんはいつも通り“玄武”を頼んでもいい?」
マリアは的確に、かつ短く頼みごとをした。
彼らはうなずき、それぞれが自分の役目を全うするかのように、承諾書を準備した。そして、否応なしに崎田にサインさせる。
「てことで、もらっていきますね」
暁人は笑顔で言い、その場をあとにする。
もちろん、春日部も、結城も、それぞれ去っていった。
「なあ崎田……お前は私を化け物だと思うだろ?確かに私はお前たちから見たら化け物かもしれない。でもな、こんな化け物でもちゃんと居場所を作れたぞ。お前には一生かかっても手に入れられない仲間もな……てことで、この事件も私が解決してやるから大船に乗ったつもりで待ってろよ」
崎田にそう言い放つマリア。
彼は腕を組み、体を退け逸らせながら言った。
「お前なんかに犯人も凶器もない事件が解けると思うな」
「何言ってんだよ。解けるに決まってるだろ?私は天才なんだから」
マリアはいつものセリフを言い放ち、颯爽と部屋を出ていく。
「ほんとにむかつくな!あの化け物は!」
会議室内で崎田の叫び声が聞こえる。
が、それは聞かないふりをして、いつものように正面玄関に向かう。
「マリアせんせ~い!帰る準備できてますよ~!」
結城が手を振る。
「お~!お待たせ~!帰ろっか!」
四人は車に乗り込み、IHSへと戻っていく。
また忙しい毎日が戻ってきた。
IHSメンバーにはもう何も隠し事がない。
マリアは清々しい表情を浮かべ、暁人の運転する助手席でいつものようにアイスを食べていた。
「マリア先生、こぼさないでくださいよ?それ、チョコなんですから」
「誰に言ってんだよ~。大丈夫に決まってるだろ?なんたって私はて……」
「天才だから!でしょ?でも、こぼしますよ?先生には前科があるんですから」
四人の乗る車は笑いに包まれていた―――。
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