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エピソード27 【僕はある朝】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
真っ黒な水がウロコにびっしり吸いついて重たく感じる。
それでも、海草にからまったり、洞窟に迷いこんだりして、身動きできない状態ではないことが、
いくぶん明るい気持ちにさせる。
よく考えてみよう。
こういうことは、前にもよくあったじゃないか。
海の世界では、こんなことアクシデントにも入らないって。
そう自分自身に言い聞かせていると、あの事が蘇ってくる。
ほんのささいなことだった。
僕はある時、誰にも真似できないことをしたくなったのだ。
そんなことって、よくないだろうか。
誰にも真似できない、僕にしか出来ないこと。
水の中をぐんぐん泳いでいくマグロの雄姿を目にしている時、僕はなぜかそのことで頭が一杯になる。
マグロでなくても、ヌボーッと海面をマクラに昼間しているマンボウさんの横顔に出くわした時も、
妙な胸騒ぎにかきむしられたものだった。
あのように無防備な状態で、アホウドリにもサメにも食べられずにすんでいる芸当をお持ちなだけでも、
大いに尊敬できるけれど、お日様を片目で見つめ続けているという芸当はもっと凄いと思うし、
あれは、マンボウさんにしかできない。
そうなのだ。
マンボウさんの影響も大いにあるような気がする。
僕はある時、飛び魚の真似をしながら、後をついて、どこまでも行こうと思った。
僕の知る限りでは、この広い大海原を、飛ぶように泳ぎ渡り、遥か遠方まで日帰りで行ってしまえるのは、
飛び魚さんたちだけだ。
だからだろう。
飛び魚は、成魚すると、必ず郵便屋さんになるのだった。
その宿命を背負わせたのは、北の果てに住んでいるという一匹の老シャチと聞いている。
詳しいことは知らないが、シャチが飛び魚を管理していることは確かなようだ。
話を元に戻そう。
僕はある朝、飛び魚の後について旅立った。
これがつらかった
何と言っても、飛び魚は、飛ぶじゃないか。
〈続く〉
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