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シャシュとフォーフィー
しおりを挟む夕方、まみちゃんが幼稚園から帰ってくると、おもちゃ箱の中に見たことがない人形が入っていました。
白いとんがりぼうしをかぶった、緑色の顔のこびとと、赤いとんがりぼうしをかぶった、青い顔のこびとの人形です。
まみちゃんは、こびとのにんぎょうを手に持って、夕食の時間まで、遊びました。
夜、まみちゃんがぐっすり眠った頃、おもちゃ箱がいきおいよく、ひっくり返りました。
「なーにやってるんだよ、フォーフィー。日がくれちゃうところだったじゃないか。あれっ。なに? もうよる? こんなのバカげてるって! 」
「シャシュこそ、じぶんをたなにあげちゃってさ。ちからなんかまるでだしてなかったじゃないか。こえだけ、『いちっ、にのっ、ジングルベル! 』だなんて、トナカイの鼻いきのほうが、まだましってものだよ」
じゅうたんの上にちらばったおもちゃの中から、むくっと、小さな影が二つ立ちあがりました。
サンタクロースのつきびとの小人たちです。
こびとの名前は、シャシュとフォーフィーと言いました。
シャシュは、赤いトンガリぼうしをかぶった青い体の男の子。
フォーフィーは、白いトンガリぼうしをかぶった緑の体の男の子でした。
二人とも、野球ボールくらいの大きさです。
「まぁ、そういうなって。おれたちは、サンタから言われたおやくめをはたせば、それでいいんだ。おもちゃ箱たおすのに、何時間かかったって、ケーキオーライさ」
「けっかオーライっていうの」
フォーフィーは、ひとさしゆびで、しきりにこすっているシャシュの鼻にパンチするしぐさをしてみせました。
「それよりさ、まみちゃんって、とてもかわいくて、すなおで、ほんとうにいい子だったね」
「あーー、たしかにそうだな。あのクロスジィが、フィンランドからはるばる日本にまで出向いてきたのもわかるような気がするぜ」
シャシュは、腕をくんで、しきりにまみちゃんのまっくらな部屋の中を、キョロキョロ見まわしています。
ーーシャシュとフォーフィーの頭の中に、夕方のこうけいがよみがえってきました。
まみちゃんが、シャシュとフォーフィーをりょうてにもって、アンパンマンごっこをして遊んでいます。
シャシュとフォーフィーは、こうたいにアンパンマンとバイキンマンのやくをやりました。
ハヒフヘホ! おなじみのセリフを口にするまみちゃんの目は、キラキラと輝いています。
でも、あんパーンチ! と言いながらバイキンマンをやっつける時は、おそるおそる顔をそむけて、シャシュかフォーフィーどちらかの手をかるくうごかしただけでした。
やきもきしたシャシュが、おもわずフォーフィーのホホにむけて、手をながくのばして、パンチをねじこんだりしましたが、まみちゃんは、気づかなかったようです。
しばらくすると、お父さんが帰ってきて、まみちゃんは、お父さんとお母さんと一緒に食事をしました。
その日は、まみちゃんの大好きなとり肉たっぷりのオムライスとシチューでした。
まみちゃんがシチュー中のタマネギをスプーンですくうのに、てまどっていると、耳もとで、お父さんの声がしました。
「まみ、このあいだもはなしたけど、9月の15日にひっこすからね。どうしてもお父さんのおしごとつごうで、ひっこさなくてはいけないんだ。まみも今の幼稚園のお友だちとはお別れして、あたらしい幼稚園にかようことになるからね」
「うん、わかってるよ。……あたらしいようちえんにいったら、たくさんお友だち、できるかな」
「きっと、まみちゃんなら、すぐにお友だちができるわよ」
お母さんが笑いながらそう言うと、まみちゃんのスプーンを大きいのに変えてくれました。……
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