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No,2 SNOW DANCE
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世間さまは、最大九連休の年末年始のお休み。
当然、我が社もその恩恵に与っている。
※ ※ ※
実家住まいの強み、上げ膳据え膳で、年越し蕎麦もお雑煮も母親お手製のものを家族みんなで頂く。お節料理作りは少しばかり手伝わされたが、三食昼寝付きの良い身分なのだから当然の犠せ…いやいや、義務であろう。
……部長は、あの女性と一緒に過ごしてるのかなァ…お料理も上手そうだったし……
居間のオコタに入ってお節をつつきながら、ついつい浮かんでしまうのは、あの男性の面影。
同期の友人達は旅行に行く娘も多かった。実際、何人ものコに温泉や、スノボやスキーに行くグループなんかからの誘いも受けたけど。
あたしは実家での寝正月を選んだ。
個人的に初詣に誘ってくれた男性さんたちには丁寧にお断りを申し上げた。
……その理由は。
「茂、恵子さん、明けましておめでとう!」
「おめっとーございマス!!」
「お義姉さん、明けましておめでとうございます。
まあまあ、心美ちゃんも、ちゃんとご挨拶出来て偉いわね!」
「…姉さん、心美ちゃん…明けまして、おめでとう…」
父のお姉さんの節子伯母さんと、その孫の心美ちゃん。
誰のファンだか、一発で分かるやね(笑)。
でも、あんまり笑えない。
今ここにはいない、実の姪が『心優』と云うのだ。
まあ、流行りのキラキラネームでなくて、心から良かったと思うのだが。
一番上の香澄お姉ちゃんはとっくに結婚して、実家からかなり離れた処に住んでるから年始に来るかは微妙だ。すぐ上の香織お姉ちゃんは遠距離恋愛の彼氏とラブラブで、彼氏の処に飛んで行ってる。
で。
元旦の年始に必ずやって来るのは、ご近所に住んでる節子伯母さんだ。姐御肌なのは良いけど、とにかくお節介な女性なのだ。下町の江戸っ子の祖母の影響を受けてるこの女性が昔からちょっぴり苦手だったのだが、今回は別である。
待っていたのは、この人だ。
なぜなら。
「節子伯母さん、明けましておめでとうございます。」
「明日香ちゃんも、おめでとう。
まあ、好い娘さんになっちゃって…っ、…恋人は出来た?
まだだったら、是非、紹介したい人がいるのよぉ…っ!」
お母さんが作ったお海苔の付いたお餅を食べながらの話題がコレだ。
早い話が“遣り手婆”なのだ。
晩婚化が進み、少子化が叫ばれる昨今。
一人でもお見合いで話をまとめる事を、自分の使命の様に感じてるらしいのだ。笑……ってる場合じゃない、今回はコレを待っていたのだから。
「節子伯母さん…どんな男性がいるんでしょうか…伯母さんの勧める方なら間違いないと思いますし…良かったら、話を進めて頂けませんか…?」
お父さんとお母さんがびっくりした表情をしてる。
……無理もない。
寄ると触るとこんな話題を出して来る節子伯母に、あたしは些か食傷気味だったのだから。
「…!
…まあ、明日香ちゃんが、そんな事を言ってくれるなんて…っ、
…何だったら釣書かお見合い写真でも持参して来るんだったわ!!」
「…伯母さん…別にそんなに急ぎませんから…」
「何言ってるの!
佳い殿方と云うのは、急がないとどんどん売れて行ってしまうんだから…っ!!」
……一喝されてしまった……でもまあ……言い分はおっしゃる通り過ぎて、なんにも言えない……
「明日香ちゃんだったら、伯母さん、張り切っちゃうわ!
明日香ちゃんの希望はある…?
性格とか、年収とか…」
「…特にはありませんが…出来れば優しい男性で、家庭を大事にして頂ければ…」
「まあ、欲がないわね、明日香ちゃんも!」
「…私も欲張れる年齢でもありませんから…」
「理想が高過ぎても困るけど、明日香ちゃんほどの娘さんなら、大丈夫よ…っ
伯母さんに任せておいて…っ!!」
「…お願いします…」
ペコリとお辞儀をしたあたしは、砂糖醤油のお餅に手を伸ばした。
……これで良い…部長以外の男性なんて、誰でもおんなじだもん……
服部一家のみんなからお年玉をせしめて、ホクホク顔であべかわを頬張る心美ちゃん。きな粉を口の周りに付いてしまってるのを微笑みながら拭いてあげると、にっこり笑って元気良くお礼を言ってくれる。そのあどけなさに、頬と同時に心も綻ぶ。
(…可愛い…いつかあたしも、こんな子を授かれるだろうか…旦那さまになる男性の年収によっては、専業主婦になるのも良いかも知ンない…その時は寿退社だな…)
……複雑そうな両親の表情は、見ない振りをしたけれど。
……部長の、あたしを祝福する笑顔だけは、頭から消えてくれなかった……
※ ※ ※
「ええぇぇーーっっ!!
明日香、お見合いするのぉーーーっっ!!??」
「バ…ッ、…陽子、声がデカい…っ!!」
総務部の新年会で親友の陽子に打ち明けたのは良いけど、声がデカ過ぎる!
お化粧室で二人っきりの時にしたのは、正解だったワ。
「…でも…明日香…部長の事、諦めちゃうの…?」
長年の親友だから、あたしの気持ちも当然バレてる。
「…うん…そろそろ、潮時だと思って…」
「…そっかぁ…気持ちは分かるけど…会社の男共は大ショックよぉ…」
「…そんな大袈裟な…」
「大袈裟なもんですか…っ、…紹介してくれって言ってた奴らに、恨まれちゃうよぉ…」
「…それは…ゴメン…」
「…ま、タイミングとしては、良かったかもね…あの常務の恋人騒ぎで、会社中大騒ぎだからね…みんなの関心が、そっちに向いちゃってるから…」
「…ン…」
……我が社のキラキラ王子様は、“A3の熾天使”に堕ちたって、専らの噂だ……何度か見掛けた事があるけど、優し気な女性だった……でも、凄い度胸だな……会社中の憧れの男性との交際を、公にするなんて……もしも、あたしにそんな度胸があったなら、何かが変わっていただろうか……
(ええい、やめ…っ、…ヤメ…ッ!
…あたしは伯母さまのご推薦の男性と、幸せを掴むんだから…っ!!)
あたしは、根が楽天家だ。
今夜は飲むわよぉーーっ!
そんで、部長の面影を振っ切るのだ!!
お化粧直しをして、あたしたちは飲み会の席に戻ったのだった。
二次会のカラオケでは、得意の歌を歌いまくった。
勿論、飲んで食べて。
さり気なく周りの子のグラスも確認して、追加注文も重ねた。
部長はいない。
自分がいない方が盛り上がれるだろうと、諭吉さんを何人か幹事の子に渡して帰ってしまわれたのだ。
でも……ズルい。
『服部君、二次会では飲み過ぎないで下さいね。』
『…え…ど、どうしてですか…?』
『いえ…今夜はいつになくハイペースでしたから、気になってしまって…』
『……………』
『三連休だからって、羽目を外し過ぎないで下さいね。』
『……はい……』
デキる男は去り際も格好良いけど……その、あたしだけに向けられた一瞬の笑みは、反則なんじゃないですか…?
……折角、貴方の事を諦めようとしてるのに……
※ ※ ※
三次会は謹んで辞退した。
この連休中にお見合いをする事になってるからだ。
荒れた肌で出陣する勇気はない。
愛すべき酔っ払いさんのブーイングを背に、駅へと歩き出す。
送り狼の予備軍君たちにも、バイバイと陽気に手を振って。
―――すると。
「…え…雪…?
…どおりで寒いと思った…」
傘はささなかった。
手の平に、舞い落ちる雪を一片すくい上げて。
すぐに消えてしまう様を見守ってると……頬を何かが流れ落ちたけど、気にならなかった。
家に帰ったら、あったかいお風呂に入って。
ゆっくり温まって、スキンケアをして。
しっかり眠ろう。
まだ見ぬ人との出会いのために。
だから。
今だけは許して。
この胸の痛みと共に、あの男性を想う事を……
2015年の冬は逝って。
2016年の春が来るのだから―――
当然、我が社もその恩恵に与っている。
※ ※ ※
実家住まいの強み、上げ膳据え膳で、年越し蕎麦もお雑煮も母親お手製のものを家族みんなで頂く。お節料理作りは少しばかり手伝わされたが、三食昼寝付きの良い身分なのだから当然の犠せ…いやいや、義務であろう。
……部長は、あの女性と一緒に過ごしてるのかなァ…お料理も上手そうだったし……
居間のオコタに入ってお節をつつきながら、ついつい浮かんでしまうのは、あの男性の面影。
同期の友人達は旅行に行く娘も多かった。実際、何人ものコに温泉や、スノボやスキーに行くグループなんかからの誘いも受けたけど。
あたしは実家での寝正月を選んだ。
個人的に初詣に誘ってくれた男性さんたちには丁寧にお断りを申し上げた。
……その理由は。
「茂、恵子さん、明けましておめでとう!」
「おめっとーございマス!!」
「お義姉さん、明けましておめでとうございます。
まあまあ、心美ちゃんも、ちゃんとご挨拶出来て偉いわね!」
「…姉さん、心美ちゃん…明けまして、おめでとう…」
父のお姉さんの節子伯母さんと、その孫の心美ちゃん。
誰のファンだか、一発で分かるやね(笑)。
でも、あんまり笑えない。
今ここにはいない、実の姪が『心優』と云うのだ。
まあ、流行りのキラキラネームでなくて、心から良かったと思うのだが。
一番上の香澄お姉ちゃんはとっくに結婚して、実家からかなり離れた処に住んでるから年始に来るかは微妙だ。すぐ上の香織お姉ちゃんは遠距離恋愛の彼氏とラブラブで、彼氏の処に飛んで行ってる。
で。
元旦の年始に必ずやって来るのは、ご近所に住んでる節子伯母さんだ。姐御肌なのは良いけど、とにかくお節介な女性なのだ。下町の江戸っ子の祖母の影響を受けてるこの女性が昔からちょっぴり苦手だったのだが、今回は別である。
待っていたのは、この人だ。
なぜなら。
「節子伯母さん、明けましておめでとうございます。」
「明日香ちゃんも、おめでとう。
まあ、好い娘さんになっちゃって…っ、…恋人は出来た?
まだだったら、是非、紹介したい人がいるのよぉ…っ!」
お母さんが作ったお海苔の付いたお餅を食べながらの話題がコレだ。
早い話が“遣り手婆”なのだ。
晩婚化が進み、少子化が叫ばれる昨今。
一人でもお見合いで話をまとめる事を、自分の使命の様に感じてるらしいのだ。笑……ってる場合じゃない、今回はコレを待っていたのだから。
「節子伯母さん…どんな男性がいるんでしょうか…伯母さんの勧める方なら間違いないと思いますし…良かったら、話を進めて頂けませんか…?」
お父さんとお母さんがびっくりした表情をしてる。
……無理もない。
寄ると触るとこんな話題を出して来る節子伯母に、あたしは些か食傷気味だったのだから。
「…!
…まあ、明日香ちゃんが、そんな事を言ってくれるなんて…っ、
…何だったら釣書かお見合い写真でも持参して来るんだったわ!!」
「…伯母さん…別にそんなに急ぎませんから…」
「何言ってるの!
佳い殿方と云うのは、急がないとどんどん売れて行ってしまうんだから…っ!!」
……一喝されてしまった……でもまあ……言い分はおっしゃる通り過ぎて、なんにも言えない……
「明日香ちゃんだったら、伯母さん、張り切っちゃうわ!
明日香ちゃんの希望はある…?
性格とか、年収とか…」
「…特にはありませんが…出来れば優しい男性で、家庭を大事にして頂ければ…」
「まあ、欲がないわね、明日香ちゃんも!」
「…私も欲張れる年齢でもありませんから…」
「理想が高過ぎても困るけど、明日香ちゃんほどの娘さんなら、大丈夫よ…っ
伯母さんに任せておいて…っ!!」
「…お願いします…」
ペコリとお辞儀をしたあたしは、砂糖醤油のお餅に手を伸ばした。
……これで良い…部長以外の男性なんて、誰でもおんなじだもん……
服部一家のみんなからお年玉をせしめて、ホクホク顔であべかわを頬張る心美ちゃん。きな粉を口の周りに付いてしまってるのを微笑みながら拭いてあげると、にっこり笑って元気良くお礼を言ってくれる。そのあどけなさに、頬と同時に心も綻ぶ。
(…可愛い…いつかあたしも、こんな子を授かれるだろうか…旦那さまになる男性の年収によっては、専業主婦になるのも良いかも知ンない…その時は寿退社だな…)
……複雑そうな両親の表情は、見ない振りをしたけれど。
……部長の、あたしを祝福する笑顔だけは、頭から消えてくれなかった……
※ ※ ※
「ええぇぇーーっっ!!
明日香、お見合いするのぉーーーっっ!!??」
「バ…ッ、…陽子、声がデカい…っ!!」
総務部の新年会で親友の陽子に打ち明けたのは良いけど、声がデカ過ぎる!
お化粧室で二人っきりの時にしたのは、正解だったワ。
「…でも…明日香…部長の事、諦めちゃうの…?」
長年の親友だから、あたしの気持ちも当然バレてる。
「…うん…そろそろ、潮時だと思って…」
「…そっかぁ…気持ちは分かるけど…会社の男共は大ショックよぉ…」
「…そんな大袈裟な…」
「大袈裟なもんですか…っ、…紹介してくれって言ってた奴らに、恨まれちゃうよぉ…」
「…それは…ゴメン…」
「…ま、タイミングとしては、良かったかもね…あの常務の恋人騒ぎで、会社中大騒ぎだからね…みんなの関心が、そっちに向いちゃってるから…」
「…ン…」
……我が社のキラキラ王子様は、“A3の熾天使”に堕ちたって、専らの噂だ……何度か見掛けた事があるけど、優し気な女性だった……でも、凄い度胸だな……会社中の憧れの男性との交際を、公にするなんて……もしも、あたしにそんな度胸があったなら、何かが変わっていただろうか……
(ええい、やめ…っ、…ヤメ…ッ!
…あたしは伯母さまのご推薦の男性と、幸せを掴むんだから…っ!!)
あたしは、根が楽天家だ。
今夜は飲むわよぉーーっ!
そんで、部長の面影を振っ切るのだ!!
お化粧直しをして、あたしたちは飲み会の席に戻ったのだった。
二次会のカラオケでは、得意の歌を歌いまくった。
勿論、飲んで食べて。
さり気なく周りの子のグラスも確認して、追加注文も重ねた。
部長はいない。
自分がいない方が盛り上がれるだろうと、諭吉さんを何人か幹事の子に渡して帰ってしまわれたのだ。
でも……ズルい。
『服部君、二次会では飲み過ぎないで下さいね。』
『…え…ど、どうしてですか…?』
『いえ…今夜はいつになくハイペースでしたから、気になってしまって…』
『……………』
『三連休だからって、羽目を外し過ぎないで下さいね。』
『……はい……』
デキる男は去り際も格好良いけど……その、あたしだけに向けられた一瞬の笑みは、反則なんじゃないですか…?
……折角、貴方の事を諦めようとしてるのに……
※ ※ ※
三次会は謹んで辞退した。
この連休中にお見合いをする事になってるからだ。
荒れた肌で出陣する勇気はない。
愛すべき酔っ払いさんのブーイングを背に、駅へと歩き出す。
送り狼の予備軍君たちにも、バイバイと陽気に手を振って。
―――すると。
「…え…雪…?
…どおりで寒いと思った…」
傘はささなかった。
手の平に、舞い落ちる雪を一片すくい上げて。
すぐに消えてしまう様を見守ってると……頬を何かが流れ落ちたけど、気にならなかった。
家に帰ったら、あったかいお風呂に入って。
ゆっくり温まって、スキンケアをして。
しっかり眠ろう。
まだ見ぬ人との出会いのために。
だから。
今だけは許して。
この胸の痛みと共に、あの男性を想う事を……
2015年の冬は逝って。
2016年の春が来るのだから―――
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