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45 愛の巣
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フラエの退院のための手続きなどで、病院を出るときにはすっかり夜になっていた。
病院を出たその足で、フラエはグノシスとの新居に向かった。といっても、二人の領地などの様々な問題が片付くまでは、王宮の来賓用客室に住まわせてもらうらしい。
「ここが俺たちの部屋だ」
その部屋は見事な大きさのベッドが一つ鎮座しており、二つ枕が置かれている。布団は一枚で、寝所をともにすることを前提にしていた。他にも調度品が様々に置かれていて豪奢かつ上品な、素晴らしい部屋だったのだが、フラエの気持ちは一つだった。
「すごい。愛の巣って感じだ」
フラエの浮かれた感想に、グノシスはたまらなくなったのか腰を引き寄せてくる。正直満更でもなかったので、そのまま抱かれてやる。二人は引っ付いたままベッドまで向かい、並んで座った。
今の二人はお互いへの愛で思考回路が焼き払われており、愛を交わすこと以外、何も頭にないのである。
グノシスが顔を近づけると、フラエも目を閉じてそれに応じる。触れるだけの口づけを交わし、どちらともなく繋がりを深めていく。
フラエは人とキスを交わした経験はなく、それはグノシスも同様のようだった。お互いに拙く舌を絡め、口腔内を擦り、いたずらをするようにお互いの身体に指を這わせた。彼の膝の上に脚を乗せると、ひょいと持ち上げられて膝の上に座る形になる。
「いいね、くっつけて」
上機嫌で言うフラエに、グノシスはまたキスを落とした。そして彼の清涼感のある甘い香りに包まれながら、お互い獣の毛づくろいのようにキスを交わす。何度も唇がフラエの輪郭をなぞり、耳を食まれたときは変に甲高い声が漏れた。
すっかり「できあがって」しまったフラエは、火照る身体をそっとグノシスに押し付けた。責任を取れよ、と目配せのつもりで睨むと、彼は心底幸せそうに笑って、フラエに口づけた。
「疲れただろう。今日はもう遅いし、風呂に入ってくるといい」
それはもう、そういうことだろう。
期待したって、バチは当たらないだろう。
フラエは「うん……」と夢見心地で頷いて、王宮内に設置されている騎士団用の浴室で湯浴みをした。
身体のあちこちを自分で磨き上げ、事情を話して分けてもらった香りのいい軟膏を塗りたくった。ついでに髪に塗る香油も分けてくれたのでそれも塗り、ほかほかの状態でグノシスの前に現れた。
ほかほかで美味しそうなフラエを前にして、同じくほかほかで美味しそうなグノシスは、やはり幸せそうに微笑んだ。
「それじゃあ、寝るか」
フラエはドキドキしながらベッドに入った。これから彼の手で身体が暴かれるのだと思うと、腹の辺りがむずむずする。フラエとて男なので、股間のものは緩く兆していた。
ベッドに入り、ぴっとりとグノシスに抱き着く。彼は「あたたかいな」と言って、目を瞑った。
「おやすみ」
「……は?」
これ以上なく、ドスの効いた低い声が出た。その声に驚いたのかグノシスがびくりと跳ねて起きて、「フラエ?」と慌てた様子になる。
「抱けよ!」
フラエは叱責した。お互いこんなに美味しそうなのに手を出されないなんて、拷問だ。フラエはグノシスに殴り掛かる代わりに、顔中にキスを落とした。それから尖った喉仏を食み、鎖骨の辺りを吸ってみる。
グノシスへの効果は覿面のようで、彼はみるみるうちに呼吸を荒くした。待て、と彼は言うが、押しのけない辺りはフラエに勝算があった。ちゅむちゅむと鎖骨に吸い付く。跡を残そうと懸命に吸ってみるが、どうにも上手くいかない。
「ん、ふぁ……」
そうこうしている間に、フラエはグノシスの肌の香りで酔ってしまった。彼の匂いで目つきがとろんと甘くなり、ちゅうちゅうと肌に吸い付くだけになる。太腿には彼の臨戦態勢になったものが当たり、フラエも自らの兆したものを押し付ける。
「ぐ、う……」
「あん、うぅ……」
フラエは腰をゆさゆさと前後させ、自らの寝間着のシャツを懸命に指で外そうとする。快楽に縺れる指先では上手く外せず、「ぐのしす」と涙目で彼に縋った。
「ぬがせて……」
「いや、頼む、本当に頼む」
フーッ、フーッ、と獣のように息を荒くしながら、グノシスが何かに許しを請う。それでもフラエに言われるがままにシャツを脱がせてしまうあたり、彼も甘い。
上半身をさらけ出したフラエは、衝動のままにグノシスに抱き着いた。ねぇ、抱いてよ、と甘えた声でねだる。
「こんなにおいしそうなのに……」
あなたも、乗り気じゃないの? 耳元で囁いて彼の耳朶を口に含む。そのまま唇で弄び続けても、彼はうんと頷かなかった。そのくせ股間のものはずっと固いままなのだから、呆れたものだ。
「僕のこと、抱きたくないの?」
「ぐ、ぅ」
彼の腰が揺れる。確実に効いてはいるのに、決定打が足りない。どうしてぇ、と情けない声が出た。
「どうして、抱いてくれないの」
熱っぽく尋ねると、グノシスは真っ赤になりながら「本当に許してくれ」と何かに祈っていた。ねぇ、と再び尋ねると、彼はやっとフラエを見る。
「……腹に、障ると、怖い」
それは至極最もだ。万が一フラエが彼との子どもを妊娠していた場合を考えて、彼は手を出さないでいてくれているのだろう。
フラエは熱に浮かされたまま、グノシスの腕に頬ずりした。
「だいじょうぶ。ナカに出して……」
「し、しかし」
「おなかのなかで魔力結合が起こっていたとしても、まだ肉体形成には至っていないから、ナカに出しても大丈夫。つわりが出始めたら怖いけど、今ならまだ、できるよ」
専門内容について話していると、だんだん冷静になってきた。改めてグノシスを見ると、真っ赤になって股間のものをいきり立たせながらも、ずっと我慢してくれていたらしい。
愛しくなって、キスをする。彼は少し心がほどけたようで、フラエを抱く腕に力が籠る。甘やかすように名前を呼ばれて、ちいさく笑った。
「それに、あなたに抱かれたろくな記憶もないまま、子を産むのは嫌だな」
フラエは彼の腕の中に甘えた。胸に顔をすりつける。
「僕を孕ませるのは誰なのか、教えてよ」
その言葉に、グノシスは獣のように唸った。そしてフラエの口にかぶりつき、彼の素肌に指を這わせる。
病院を出たその足で、フラエはグノシスとの新居に向かった。といっても、二人の領地などの様々な問題が片付くまでは、王宮の来賓用客室に住まわせてもらうらしい。
「ここが俺たちの部屋だ」
その部屋は見事な大きさのベッドが一つ鎮座しており、二つ枕が置かれている。布団は一枚で、寝所をともにすることを前提にしていた。他にも調度品が様々に置かれていて豪奢かつ上品な、素晴らしい部屋だったのだが、フラエの気持ちは一つだった。
「すごい。愛の巣って感じだ」
フラエの浮かれた感想に、グノシスはたまらなくなったのか腰を引き寄せてくる。正直満更でもなかったので、そのまま抱かれてやる。二人は引っ付いたままベッドまで向かい、並んで座った。
今の二人はお互いへの愛で思考回路が焼き払われており、愛を交わすこと以外、何も頭にないのである。
グノシスが顔を近づけると、フラエも目を閉じてそれに応じる。触れるだけの口づけを交わし、どちらともなく繋がりを深めていく。
フラエは人とキスを交わした経験はなく、それはグノシスも同様のようだった。お互いに拙く舌を絡め、口腔内を擦り、いたずらをするようにお互いの身体に指を這わせた。彼の膝の上に脚を乗せると、ひょいと持ち上げられて膝の上に座る形になる。
「いいね、くっつけて」
上機嫌で言うフラエに、グノシスはまたキスを落とした。そして彼の清涼感のある甘い香りに包まれながら、お互い獣の毛づくろいのようにキスを交わす。何度も唇がフラエの輪郭をなぞり、耳を食まれたときは変に甲高い声が漏れた。
すっかり「できあがって」しまったフラエは、火照る身体をそっとグノシスに押し付けた。責任を取れよ、と目配せのつもりで睨むと、彼は心底幸せそうに笑って、フラエに口づけた。
「疲れただろう。今日はもう遅いし、風呂に入ってくるといい」
それはもう、そういうことだろう。
期待したって、バチは当たらないだろう。
フラエは「うん……」と夢見心地で頷いて、王宮内に設置されている騎士団用の浴室で湯浴みをした。
身体のあちこちを自分で磨き上げ、事情を話して分けてもらった香りのいい軟膏を塗りたくった。ついでに髪に塗る香油も分けてくれたのでそれも塗り、ほかほかの状態でグノシスの前に現れた。
ほかほかで美味しそうなフラエを前にして、同じくほかほかで美味しそうなグノシスは、やはり幸せそうに微笑んだ。
「それじゃあ、寝るか」
フラエはドキドキしながらベッドに入った。これから彼の手で身体が暴かれるのだと思うと、腹の辺りがむずむずする。フラエとて男なので、股間のものは緩く兆していた。
ベッドに入り、ぴっとりとグノシスに抱き着く。彼は「あたたかいな」と言って、目を瞑った。
「おやすみ」
「……は?」
これ以上なく、ドスの効いた低い声が出た。その声に驚いたのかグノシスがびくりと跳ねて起きて、「フラエ?」と慌てた様子になる。
「抱けよ!」
フラエは叱責した。お互いこんなに美味しそうなのに手を出されないなんて、拷問だ。フラエはグノシスに殴り掛かる代わりに、顔中にキスを落とした。それから尖った喉仏を食み、鎖骨の辺りを吸ってみる。
グノシスへの効果は覿面のようで、彼はみるみるうちに呼吸を荒くした。待て、と彼は言うが、押しのけない辺りはフラエに勝算があった。ちゅむちゅむと鎖骨に吸い付く。跡を残そうと懸命に吸ってみるが、どうにも上手くいかない。
「ん、ふぁ……」
そうこうしている間に、フラエはグノシスの肌の香りで酔ってしまった。彼の匂いで目つきがとろんと甘くなり、ちゅうちゅうと肌に吸い付くだけになる。太腿には彼の臨戦態勢になったものが当たり、フラエも自らの兆したものを押し付ける。
「ぐ、う……」
「あん、うぅ……」
フラエは腰をゆさゆさと前後させ、自らの寝間着のシャツを懸命に指で外そうとする。快楽に縺れる指先では上手く外せず、「ぐのしす」と涙目で彼に縋った。
「ぬがせて……」
「いや、頼む、本当に頼む」
フーッ、フーッ、と獣のように息を荒くしながら、グノシスが何かに許しを請う。それでもフラエに言われるがままにシャツを脱がせてしまうあたり、彼も甘い。
上半身をさらけ出したフラエは、衝動のままにグノシスに抱き着いた。ねぇ、抱いてよ、と甘えた声でねだる。
「こんなにおいしそうなのに……」
あなたも、乗り気じゃないの? 耳元で囁いて彼の耳朶を口に含む。そのまま唇で弄び続けても、彼はうんと頷かなかった。そのくせ股間のものはずっと固いままなのだから、呆れたものだ。
「僕のこと、抱きたくないの?」
「ぐ、ぅ」
彼の腰が揺れる。確実に効いてはいるのに、決定打が足りない。どうしてぇ、と情けない声が出た。
「どうして、抱いてくれないの」
熱っぽく尋ねると、グノシスは真っ赤になりながら「本当に許してくれ」と何かに祈っていた。ねぇ、と再び尋ねると、彼はやっとフラエを見る。
「……腹に、障ると、怖い」
それは至極最もだ。万が一フラエが彼との子どもを妊娠していた場合を考えて、彼は手を出さないでいてくれているのだろう。
フラエは熱に浮かされたまま、グノシスの腕に頬ずりした。
「だいじょうぶ。ナカに出して……」
「し、しかし」
「おなかのなかで魔力結合が起こっていたとしても、まだ肉体形成には至っていないから、ナカに出しても大丈夫。つわりが出始めたら怖いけど、今ならまだ、できるよ」
専門内容について話していると、だんだん冷静になってきた。改めてグノシスを見ると、真っ赤になって股間のものをいきり立たせながらも、ずっと我慢してくれていたらしい。
愛しくなって、キスをする。彼は少し心がほどけたようで、フラエを抱く腕に力が籠る。甘やかすように名前を呼ばれて、ちいさく笑った。
「それに、あなたに抱かれたろくな記憶もないまま、子を産むのは嫌だな」
フラエは彼の腕の中に甘えた。胸に顔をすりつける。
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その言葉に、グノシスは獣のように唸った。そしてフラエの口にかぶりつき、彼の素肌に指を這わせる。
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