【完結】農民オメガ、領主の跡取りアルファに見初められるけど畑の方が心配

鳥羽ミワ

文字の大きさ
29 / 30

29 番契約※

しおりを挟む
 ルイ様が「アンジュ」と俺を呼んだ。それが嬉しくてたまらない。
 俺は自分で下履きを脱いだ。ルイ様も服を急いで脱いだ。
 俺たちは全裸になって、お互いに向かい合う。ルイ様が俺を抱き寄せて、ころりとうつぶせにひっくり返した。俺はすべてを心得ているから、腰を少し高くあげる。
 ルイ様の指が、ゆっくりとナカへはいってきた。そこはすっかり潤んで、抵抗なく指を受け入れた。

「吸い付いてくる……」

 感じ入ったようなルイ様の声に、胸だけじゃなくて腹もきゅんとした。俺が情けなく「あん」と鳴くと、ルイ様は低く笑った。
 大きな口が、俺のうなじにキスをする。甘噛みされたらもう、たまらない。俺は腰をとんとんと揺らして、はやくはやくとねだった。

「あまり焦るな」

 ルイ様の長い指が、奥深くまで――だけど欲しいところまでは届かないくらいの浅さで、俺をひらいていく。ナカをこすられて、出し入れされて、ひろげられて、散々だ。俺の下半身から立つとんでもない水音に、俺は興奮を煽られることしかできない。

「はやく、……はやく……」

 俺のおねだりが通じたんだろうか。ルイ様は早々に指を引き上げて、俺の腰を掴む。
 いよいよだ。腰をあげると、後ろの穴に、ルイ様のものがぴたりとつけられた。
 そして、大きくて熱いものが、はいってくる。

「んぅ」

 もう何度か経験していることなのに、相変わらず変な声が漏れてしまう。
 俺のお腹の中に、ルイ様のものが、はいってくる。お腹をひらいて、子どもを育てるところまで、届く。
 お腹の中がわなないているのが分かった。喜んでむしゃぶりついている。この人の子種を、すべて搾り取ってやりたかった。

「うごい、て」

 またおねだりをすれば、ルイ様は無言で腰を揺らした。その呼吸は全力疾走した後の猟犬みたいに荒くて、どきどきする。
 腰と腰がぶつかる。その強さがどんどん増していく。俺の身体はぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、変な声が喉から勝手にいっぱい出た。

「あっ、あんっん! んっんっ……、っあ!」

 俺は股を開いて、あんあんと情けなく喘ぐ。枕へしがみついて、うなじを一生懸命に差し出した。
 ルイ様の気配が近づいて、肩に吐息がかかる。その熱さに、ぶるりと身震いをした。
 舌でうなじを舐められる。初めてされる際どい仕草に、どきどきしすぎて、俺の全身が心臓になったみたいだ。
 ルイ様は、低く囁く。

「アンジュ。噛むぞ」
「はやくって、いって、ゆ……」

 舌ったらずになってしまった。でもそんなことを恥ずかしがっている余裕はない。俺は必死に腕をばたばた伸ばして、ルイ様の首根っこを掴んだ。

「かんで」

 ついでに、涙まで出てきてしまった。ぼろぼろ泣いていると、ルイ様は「参ったな」と笑う。

「かわいすぎる」

 お尻に強い衝撃があった。ルイ様が、激しく腰を叩きつけたんだ。俺は喉の奥から声じゃなくて、空気の塊を吐きだす。
 そして、ルイ様の呼気が一瞬、ひやりと俺のうなじをこすった。
 鋭い痛み。肉を抉られるような激しさは、いっそ気持ちよかった。

「あ、あああ」

 俺の股間のお粗末なものが、びくびく跳ねる。お腹の中もめちゃくちゃになって、全身がルイ様を搾り取ろうとしていた。ルイ様は腰をゆるゆる振って、「アンジュ」と俺を呼ぶ。

「好きなだけ、もらってくれ」

 うれしい。ルイ様が何を言っているかはよく分からないけど、俺はとにかく喜んだ。自分で腰を振って、精を搾り取ってお腹へいれた。
 まだ足りなかったから、今度はルイ様を仰向けに転がして、俺が上にのった。自分で腰を動かして搾り取ってやった。
 まだ足りない。これまで我慢させられていた分、たくさんくれないと割に合わない。
 俺は必死で腰を動かした。ルイ様は全部に応えてくれた。
 夜が更けても、空が白んでも、俺は必死にルイ様を貪っていた。これはちょっともおかしくない、自然な営みだった。
 だって俺がどれだけ我慢させられたか、ルイ様はきっと全然知らない。この人に、俺の飢えを、思い知らせてあげないといけない。
 俺は確固たる信念ってやつを持って、腰を振り続けた。ルイ様の子種が俺のお腹からあふれるたびに、それ以上を注がせないと気が済まなかった。

「アンジュ。それくらいにした方がいいんじゃないか」

 気づくと俺は、ルイ様の胸の中にいた。まぶたが重い。

「まだ、たりない……」

 そうだ。ぜんぜん足りない。
 なのに身体は限界を訴えている。もどかしくてぐずると、ルイ様は俺の頭を撫でた。

「またやればいいだろう。これが最初なんだから」

 そうか。そう言われたら、そうかもしれない。
 一休みしようと、俺は目を瞑った。そしてすぐに、気を失った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

【完結】この契約に愛なんてないはずだった

なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。 そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。 数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。 身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。 生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。 これはただの契約のはずだった。 愛なんて、最初からあるわけがなかった。 けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。 ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。 これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)

かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。 ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

処理中です...