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28 初夜※
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式を終えて、俺とルイ様は、二人の寝室へ戻ってきた。
お互い盛大に飾りつけられた格好のまま、寝台へと座る。なんだか気恥ずかしくて、うつむいた。膝の間で指を組むと、その上に、ルイ様の掌が置かれた。
「こっちへ来い」
俺は誘われるままに、顔を上げる。腰を持ち上げられたので、特に抵抗もせず、その膝の上に座った。
ルイ様は、低く笑った。
「向かい合わせは嫌か?」
「……いえ。喜んで」
俺は恐る恐る股を開いて、ルイ様の上にまたがった。ルイ様は満足げに頷いて、俺の腰に腕を回した。抱き寄せられて、ベールを剥かれる。ルイ様は俺の頭から浮いたそれを、無造作に払って、床へ落とした。
それを合図に、俺たちはキスをした。人前ではとてもできないような、深くて、下品で、むきだしのやつ。舌を絡めて、唾液をすすって、俺たちは淫らなことに夢中になった。
散々にキスして、俺はすっかりくたくたになってしまった。甘えるみたいに、ルイ様へしなだれかかる。ルイ様は俺の衣服に手をかけて、早速脱がそうとしていた。
その焦って、一生懸命で、丁寧な手つきに、胸が切なくなった。
この人はこんなに、俺のことが、好きなんだ。
うっとりと、俺を脱がせようとしている様子を見守る。ルイ様は「なんだ」と上目遣いに、ぶっきらぼうな口調で言った。
「馬鹿にしているのか?」
「いいえ。嬉しくて」
本音だ。なのにルイ様は「どうだかな」と言って、俺の唇に吸い付いた。
俺とキスをしながら、ルイ様の大きな手が器用に動く。俺の衣服はするすると解かれて、あっという間に床へと落ちた。
まだ花婿衣装を着ているルイ様の上に、下着だけの俺が座る。その下着というのが、また問題だった。
胸元で布が切り替わった、ネグリジェみたいなやつを着せられているのだ。白くて、ふわふわで、ウエディングドレスのようにも見える。それにしては卑猥なことに、ちょっと透けそうなんだけど。
それに加えて、お尻が丸見えの、ほとんど紐と言ってもいい、際どい下履き。
さすがにあからさますぎる。下品すぎやしないか。
引かれていないか密かに心配してしまう。俺の気持ちをよそに、ルイ様は、しきりに俺の身体を撫で回した。つるつるした布をいじって、布の上から俺の胸やお腹に触る。下履きをすこし下にずらされて、俺は確信した。
この人、明らかに興奮している。
こんなスケスケの下着を着た、この俺に。
「そんなもどかしくしないで。もっとちゃんと、触ってください」
俺はすっかり、得意な気分になった。お尻をわざと揺らして、胸元の乳首の辺りをルイ様の口元へ持っていった。頭を抱えて、ぎゅうと抱きつく。
「それで早く俺のこと、番にして……」
俺の誘惑に、ルイ様はしっかりと負けた。喉を鳴らしてうなって、俺の身体を寝台へと引きずり込む。
さっきと比べると、狼が獲物を貪るみたいな激しいキスだった。俺も必死で応えるけれど、ぜんぜん追いつけない。溺れているみたいに苦しくて、でもすごく幸せで、必死で目の前の身体にしがみついた。
「ん、ふぁ……んう、ん」
うっとりしながら、ルイ様の背中を撫でる。そのごつごつとした筋肉の盛り上がりや、溝のひとつひとつが愛おしい。
大きな掌が、腰周りの裾から入り込んで、俺のお腹を直接撫でる。そのじんわりと汗ばんだ感触だとか、熱さだとかに、俺の身体の中心がカッと熱くなった。
「るい、さま」
名前を呼ぶと、「なんだ」と優しい声が返ってくる。俺は安心して、笑ってしまった。ルイ様も笑う。
「なんだ、その顔は」
相当だらしない顔をしていると思う。だけどそれはきっと、お互い様だ。
いつにもなく気の抜けただらしない顔で、ルイ様が俺の身体のあちこちを撫でる。俺はすっかりいい気分で、ルイ様の首筋に懐いた。
蜂蜜酒の香り。俺のお腹はずくずく疼いて、体温はどんどんあがっていった。肌がぴりぴりして、何かが、身体の底からせぐりあげてくる。
そしてルイ様の指がうなじに触れた瞬間、すべてが弾けた。
「あ」
呆気ないくらい簡単に、俺の身体は大きく跳ねた。発情期がやってきて、俺の身体はとろとろになっていく。
お互い盛大に飾りつけられた格好のまま、寝台へと座る。なんだか気恥ずかしくて、うつむいた。膝の間で指を組むと、その上に、ルイ様の掌が置かれた。
「こっちへ来い」
俺は誘われるままに、顔を上げる。腰を持ち上げられたので、特に抵抗もせず、その膝の上に座った。
ルイ様は、低く笑った。
「向かい合わせは嫌か?」
「……いえ。喜んで」
俺は恐る恐る股を開いて、ルイ様の上にまたがった。ルイ様は満足げに頷いて、俺の腰に腕を回した。抱き寄せられて、ベールを剥かれる。ルイ様は俺の頭から浮いたそれを、無造作に払って、床へ落とした。
それを合図に、俺たちはキスをした。人前ではとてもできないような、深くて、下品で、むきだしのやつ。舌を絡めて、唾液をすすって、俺たちは淫らなことに夢中になった。
散々にキスして、俺はすっかりくたくたになってしまった。甘えるみたいに、ルイ様へしなだれかかる。ルイ様は俺の衣服に手をかけて、早速脱がそうとしていた。
その焦って、一生懸命で、丁寧な手つきに、胸が切なくなった。
この人はこんなに、俺のことが、好きなんだ。
うっとりと、俺を脱がせようとしている様子を見守る。ルイ様は「なんだ」と上目遣いに、ぶっきらぼうな口調で言った。
「馬鹿にしているのか?」
「いいえ。嬉しくて」
本音だ。なのにルイ様は「どうだかな」と言って、俺の唇に吸い付いた。
俺とキスをしながら、ルイ様の大きな手が器用に動く。俺の衣服はするすると解かれて、あっという間に床へと落ちた。
まだ花婿衣装を着ているルイ様の上に、下着だけの俺が座る。その下着というのが、また問題だった。
胸元で布が切り替わった、ネグリジェみたいなやつを着せられているのだ。白くて、ふわふわで、ウエディングドレスのようにも見える。それにしては卑猥なことに、ちょっと透けそうなんだけど。
それに加えて、お尻が丸見えの、ほとんど紐と言ってもいい、際どい下履き。
さすがにあからさますぎる。下品すぎやしないか。
引かれていないか密かに心配してしまう。俺の気持ちをよそに、ルイ様は、しきりに俺の身体を撫で回した。つるつるした布をいじって、布の上から俺の胸やお腹に触る。下履きをすこし下にずらされて、俺は確信した。
この人、明らかに興奮している。
こんなスケスケの下着を着た、この俺に。
「そんなもどかしくしないで。もっとちゃんと、触ってください」
俺はすっかり、得意な気分になった。お尻をわざと揺らして、胸元の乳首の辺りをルイ様の口元へ持っていった。頭を抱えて、ぎゅうと抱きつく。
「それで早く俺のこと、番にして……」
俺の誘惑に、ルイ様はしっかりと負けた。喉を鳴らしてうなって、俺の身体を寝台へと引きずり込む。
さっきと比べると、狼が獲物を貪るみたいな激しいキスだった。俺も必死で応えるけれど、ぜんぜん追いつけない。溺れているみたいに苦しくて、でもすごく幸せで、必死で目の前の身体にしがみついた。
「ん、ふぁ……んう、ん」
うっとりしながら、ルイ様の背中を撫でる。そのごつごつとした筋肉の盛り上がりや、溝のひとつひとつが愛おしい。
大きな掌が、腰周りの裾から入り込んで、俺のお腹を直接撫でる。そのじんわりと汗ばんだ感触だとか、熱さだとかに、俺の身体の中心がカッと熱くなった。
「るい、さま」
名前を呼ぶと、「なんだ」と優しい声が返ってくる。俺は安心して、笑ってしまった。ルイ様も笑う。
「なんだ、その顔は」
相当だらしない顔をしていると思う。だけどそれはきっと、お互い様だ。
いつにもなく気の抜けただらしない顔で、ルイ様が俺の身体のあちこちを撫でる。俺はすっかりいい気分で、ルイ様の首筋に懐いた。
蜂蜜酒の香り。俺のお腹はずくずく疼いて、体温はどんどんあがっていった。肌がぴりぴりして、何かが、身体の底からせぐりあげてくる。
そしてルイ様の指がうなじに触れた瞬間、すべてが弾けた。
「あ」
呆気ないくらい簡単に、俺の身体は大きく跳ねた。発情期がやってきて、俺の身体はとろとろになっていく。
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