3 / 35
3. 契約
しおりを挟む
エリックは俯いて、シャツの襟元をいじる。何も言えなかった。
レオポルトはうっすらと笑みを浮かべて、さらに続ける。
「まあ、そういうことだ。どこの者とも知れない女から生まれた野良犬王子だから、ある程度のお目こぼしはもらってしかるべきさ。貞操観念なく、男女構わず寝所へ引き込もうとな」
なぜこんなに自虐的で、露悪的な物言いをするのだろう。きっと、その言葉通りの人柄ではないだろうに。
どうしてと尋ねる代わりに、エリックは顔を上げた。レオポルトの青い瞳を、彼がしてくれるように、真っ直ぐ見つめる。
「助けてくださって、ありがとうございます」
「よい。気にするな。……結局、これも私利私欲なんだよ。礼を言われることではない」
また露悪的な言い方だ。エリックはうっすらと愛想笑いを浮かべて、目を伏せた。
「では、僕は、あなたのお役に立てるんですか?」
エリックの言葉に、レオポルトは目を丸くする。
「なんだ。役に立ちたいのか」
「恩返しは、したいです。あのままだったら、牢屋の中で死んでいたかもしれませんし。あなたは、間違いなく、僕の命の恩人だ」
決して誇張表現でなく、そう思っている。地下牢の環境は劣悪だった。あのまま放置されていたら、(例え形式上だけでも開かれはしただろう)裁判の前に衰弱死していたかもしれない。
エリックは顔を上げて、レオポルトを見つめた。
それにしても、美しい人だ。ずっと眺めていても、飽きそうにない。
レオポルトは目を逸らして、顔を遠ざけた。
「あまり見るな」
「すみません……」
エリックも俯いて視線を外し、自分の目元を押さえる。
咳払いの音がして、レオポルトは「顔をあげろ」とエリックに命じた。その通りにすると、一枚の紙を渡される。
「イオネス山脈にある集落から来た訴えだ」
それを受け取り、紙面へ視線を走らせた。
たしかイオネス山脈というと、東部の山岳地帯だ。山間に点々と小さな集落が存在している、辺境だと聞いている。
書面上で訴えられているのは、魔物の被害だった。
多くの魔物が冬眠から目覚める春と、冬眠に入る直前の秋。この期間は特に被害が増え、現地の狩人たちだけでの対応は難しい。そのため、魔物が活発な期間だけでも、村へ騎士たちを常駐させてほしい。
領主へ嘆願したが、取り合ってもらえなかった。
切実さが滲む文面から、目を上げる。レオポルトは、それへ応じるように頷いた。
「現実問題、山間部に点在する各集落へ、騎士を常駐させるのは厳しい」
エリックは紙へ視線を戻して、顎をさする。レオポルトはエリックへ視線を向けたまま、淡々と続けた。
「地方騎士団の人員は、そこまで豊富ではない。だから基本的には、最寄りの街の騎士団から、臨時で人手を派遣する。この方針自体は、変えられない」
ふむふむ、とエリックは彼の言葉を咀嚼する。レオポルトの瞳を見上げ、瞬きをした。
「なるほど。となると、魔物発見の通報をいかに早くできるかが、鍵になるんでしょうか」
「ああ。通報が入り次第、できるだけ迅速に、最寄りの拠点から騎士を派遣したいんだ」
「なるほど。なるほど」
顎から首元へ手をずらし、さする。
「つまり理想は、現地から遅延なく音声転送をして、騎士団への直接の連絡および通報ができるようになること。ですね?」
「そうだ」
頷くレオポルトをよそに、エリックはひとりぶつぶつと呟く。
「音声転送には、発信側と受信側で魔導具が必要ですもんね。そして現状の魔導具だと、どれだけ性能がよかろうと、王都の端から端までくらいが限界です」
「ああ」
「離れた街や集落間を繋いで使えるくらい、性能のいい魔導具は……まだ、ない……」
はた、と言葉が止まる。
レオポルトは微笑みを浮かべて、大きく頷いた。
「だから、お前の研究がぴったりなんだよ。音声転送の有効距離を、飛躍的に伸ばしたんだろう?」
「理論上は一応そうですけど……。でもあれはまだ、机上の空論です。実用化のためには、実験を重ねる必要がありました」
エリックはうつむき加減になって、指を腹の前で組んだ。
「……その実験のためには、どこかで予算を引っ張ってくる必要がありました」
金が必要。金を動かすためには権力が必要。
その両方とも持っていないエリックは、成果を奪われてしまった。
そして金も権力も、エリックより遥かに持っているレオポルトは、にこりと微笑む。
「その研究だが、今は首席殿の名義になっている。ちなみに、仕事は止まっているらしいぞ。他にもするべきことがたくさんある、忙しいお方だからな」
首席殿というのは、宮廷魔術師のトップ――首席宮廷魔術師の俗称だ。現在は、先王の長弟であるドミニク卿が勤めている。
「お前の冤罪については、ドミニク閣下もグルだ。まったくあの方の野心は、六十を過ぎてなお、まったく衰えというものを知らない」
あの野郎。レオポルトの言葉で、エリックは歯を食いしばった。そのエリックをよそに、レオポルトは飄々と言う。
「あのお方と私には、ちょっとした因縁があってな。率直に言って私は、あのお方の足を引っ張りたいのだ」
どこか茶目っ気のある声色に、エリックは思わず息をのむ。きっと今、核心を突く話をされている。
レオポルトは、にこりと微笑んで続けた。
「とはいえ、あちらがもたもたと止まっている間に、私たちで成果を挙げてしまおう」
それ以上の理由を、エリックへ明かすつもりはないらしい。それでも彼はエリックへ向かって、右手を差し出した。
「そうすれば、研究の手柄はお前のもとに帰ってくるはずだ」
エリックは顔を上げた。レオポルトの目を見つめる。どこまでも青く、吸い込まれそうな瞳。端正な薄い唇には、笑みが浮かんでいた。
大きな手に視線を落とす。優美なシルエットをして骨ばっている、指の長い手。何度も豆ができては潰れたのだろう、剣を握る人特有の分厚い掌をしていた。
この手を取ったらきっともう、もとの生活には二度と戻れない。
レオポルトの取ろうとしている手段は、正攻法ではない。不正行為に、また不正でやり返す行為だ。はっきり言って卑怯な行為だと、良心が痛む。
それにそんな手段を取ってしまったら、これからの人生の手段に、不正を働くという選択肢ができてしまう。それは人として、よくないことだと思う。
だけど、やってやれ、と心が叫んでいた。
あいつらに払う敬意はないし、誠実であり続けるのも疲れた。もとの生活だって、ろくなものじゃなかっただろう。
田舎の領主の次男として生まれた。家督を継ぐ兄ばかりかわいがられて、後継でないエリックがいくらいい成績を出しても、褒めてもらえなかった。
同性に恋をしたことをきっかけに、いよいよ居場所がなくなった。
研究だけが拠り所になって、ますます没頭した。
宮廷魔術師にまでなれたときは、本当に嬉しかった。これまでの過去がすべて、報われたと思った。
だというのに、研究成果を盗まれた挙げ句、投獄された。
全てを取り上げられた。どん底に突き落とされた。
それだというのに、「正しく」あり続ける意義は、あるのだろうか。
「……ふ」
笑っているのか、うめいているのかも分からない声が漏れた。
もう、これまでの人生に未練はない。あったとしても捨てるべきだ。こめかみの内側で、血がどくどくと熱く流れている。
あいつらから、自分自身の人生を取り戻すためには、これしかない。
先にルールを破ったのは彼らなのだから、代償を払うのもあちらだ。
気づけばエリックは、レオポルトの手を、力強く握っていた。
あとで後悔したって構わない。この手を取らない後悔より、ずっとマシなはずだと思う。
「はい。やりましょう」
レオポルトはエリックの目を、まっすぐに見つめた。深い青色の瞳がきらめく。まるで心の中をすべて見透かす、悪魔か天使のようだった。
薄い唇の端を引いて、レオポルトはさらに深く笑う。
見惚れるほど美しい表情だった。
「取引成立だな。俺たちは、共犯者だ」
その声がしんと胸まで響いて、エリックは唇を引き結んだ。
レオポルトはうっすらと笑みを浮かべて、さらに続ける。
「まあ、そういうことだ。どこの者とも知れない女から生まれた野良犬王子だから、ある程度のお目こぼしはもらってしかるべきさ。貞操観念なく、男女構わず寝所へ引き込もうとな」
なぜこんなに自虐的で、露悪的な物言いをするのだろう。きっと、その言葉通りの人柄ではないだろうに。
どうしてと尋ねる代わりに、エリックは顔を上げた。レオポルトの青い瞳を、彼がしてくれるように、真っ直ぐ見つめる。
「助けてくださって、ありがとうございます」
「よい。気にするな。……結局、これも私利私欲なんだよ。礼を言われることではない」
また露悪的な言い方だ。エリックはうっすらと愛想笑いを浮かべて、目を伏せた。
「では、僕は、あなたのお役に立てるんですか?」
エリックの言葉に、レオポルトは目を丸くする。
「なんだ。役に立ちたいのか」
「恩返しは、したいです。あのままだったら、牢屋の中で死んでいたかもしれませんし。あなたは、間違いなく、僕の命の恩人だ」
決して誇張表現でなく、そう思っている。地下牢の環境は劣悪だった。あのまま放置されていたら、(例え形式上だけでも開かれはしただろう)裁判の前に衰弱死していたかもしれない。
エリックは顔を上げて、レオポルトを見つめた。
それにしても、美しい人だ。ずっと眺めていても、飽きそうにない。
レオポルトは目を逸らして、顔を遠ざけた。
「あまり見るな」
「すみません……」
エリックも俯いて視線を外し、自分の目元を押さえる。
咳払いの音がして、レオポルトは「顔をあげろ」とエリックに命じた。その通りにすると、一枚の紙を渡される。
「イオネス山脈にある集落から来た訴えだ」
それを受け取り、紙面へ視線を走らせた。
たしかイオネス山脈というと、東部の山岳地帯だ。山間に点々と小さな集落が存在している、辺境だと聞いている。
書面上で訴えられているのは、魔物の被害だった。
多くの魔物が冬眠から目覚める春と、冬眠に入る直前の秋。この期間は特に被害が増え、現地の狩人たちだけでの対応は難しい。そのため、魔物が活発な期間だけでも、村へ騎士たちを常駐させてほしい。
領主へ嘆願したが、取り合ってもらえなかった。
切実さが滲む文面から、目を上げる。レオポルトは、それへ応じるように頷いた。
「現実問題、山間部に点在する各集落へ、騎士を常駐させるのは厳しい」
エリックは紙へ視線を戻して、顎をさする。レオポルトはエリックへ視線を向けたまま、淡々と続けた。
「地方騎士団の人員は、そこまで豊富ではない。だから基本的には、最寄りの街の騎士団から、臨時で人手を派遣する。この方針自体は、変えられない」
ふむふむ、とエリックは彼の言葉を咀嚼する。レオポルトの瞳を見上げ、瞬きをした。
「なるほど。となると、魔物発見の通報をいかに早くできるかが、鍵になるんでしょうか」
「ああ。通報が入り次第、できるだけ迅速に、最寄りの拠点から騎士を派遣したいんだ」
「なるほど。なるほど」
顎から首元へ手をずらし、さする。
「つまり理想は、現地から遅延なく音声転送をして、騎士団への直接の連絡および通報ができるようになること。ですね?」
「そうだ」
頷くレオポルトをよそに、エリックはひとりぶつぶつと呟く。
「音声転送には、発信側と受信側で魔導具が必要ですもんね。そして現状の魔導具だと、どれだけ性能がよかろうと、王都の端から端までくらいが限界です」
「ああ」
「離れた街や集落間を繋いで使えるくらい、性能のいい魔導具は……まだ、ない……」
はた、と言葉が止まる。
レオポルトは微笑みを浮かべて、大きく頷いた。
「だから、お前の研究がぴったりなんだよ。音声転送の有効距離を、飛躍的に伸ばしたんだろう?」
「理論上は一応そうですけど……。でもあれはまだ、机上の空論です。実用化のためには、実験を重ねる必要がありました」
エリックはうつむき加減になって、指を腹の前で組んだ。
「……その実験のためには、どこかで予算を引っ張ってくる必要がありました」
金が必要。金を動かすためには権力が必要。
その両方とも持っていないエリックは、成果を奪われてしまった。
そして金も権力も、エリックより遥かに持っているレオポルトは、にこりと微笑む。
「その研究だが、今は首席殿の名義になっている。ちなみに、仕事は止まっているらしいぞ。他にもするべきことがたくさんある、忙しいお方だからな」
首席殿というのは、宮廷魔術師のトップ――首席宮廷魔術師の俗称だ。現在は、先王の長弟であるドミニク卿が勤めている。
「お前の冤罪については、ドミニク閣下もグルだ。まったくあの方の野心は、六十を過ぎてなお、まったく衰えというものを知らない」
あの野郎。レオポルトの言葉で、エリックは歯を食いしばった。そのエリックをよそに、レオポルトは飄々と言う。
「あのお方と私には、ちょっとした因縁があってな。率直に言って私は、あのお方の足を引っ張りたいのだ」
どこか茶目っ気のある声色に、エリックは思わず息をのむ。きっと今、核心を突く話をされている。
レオポルトは、にこりと微笑んで続けた。
「とはいえ、あちらがもたもたと止まっている間に、私たちで成果を挙げてしまおう」
それ以上の理由を、エリックへ明かすつもりはないらしい。それでも彼はエリックへ向かって、右手を差し出した。
「そうすれば、研究の手柄はお前のもとに帰ってくるはずだ」
エリックは顔を上げた。レオポルトの目を見つめる。どこまでも青く、吸い込まれそうな瞳。端正な薄い唇には、笑みが浮かんでいた。
大きな手に視線を落とす。優美なシルエットをして骨ばっている、指の長い手。何度も豆ができては潰れたのだろう、剣を握る人特有の分厚い掌をしていた。
この手を取ったらきっともう、もとの生活には二度と戻れない。
レオポルトの取ろうとしている手段は、正攻法ではない。不正行為に、また不正でやり返す行為だ。はっきり言って卑怯な行為だと、良心が痛む。
それにそんな手段を取ってしまったら、これからの人生の手段に、不正を働くという選択肢ができてしまう。それは人として、よくないことだと思う。
だけど、やってやれ、と心が叫んでいた。
あいつらに払う敬意はないし、誠実であり続けるのも疲れた。もとの生活だって、ろくなものじゃなかっただろう。
田舎の領主の次男として生まれた。家督を継ぐ兄ばかりかわいがられて、後継でないエリックがいくらいい成績を出しても、褒めてもらえなかった。
同性に恋をしたことをきっかけに、いよいよ居場所がなくなった。
研究だけが拠り所になって、ますます没頭した。
宮廷魔術師にまでなれたときは、本当に嬉しかった。これまでの過去がすべて、報われたと思った。
だというのに、研究成果を盗まれた挙げ句、投獄された。
全てを取り上げられた。どん底に突き落とされた。
それだというのに、「正しく」あり続ける意義は、あるのだろうか。
「……ふ」
笑っているのか、うめいているのかも分からない声が漏れた。
もう、これまでの人生に未練はない。あったとしても捨てるべきだ。こめかみの内側で、血がどくどくと熱く流れている。
あいつらから、自分自身の人生を取り戻すためには、これしかない。
先にルールを破ったのは彼らなのだから、代償を払うのもあちらだ。
気づけばエリックは、レオポルトの手を、力強く握っていた。
あとで後悔したって構わない。この手を取らない後悔より、ずっとマシなはずだと思う。
「はい。やりましょう」
レオポルトはエリックの目を、まっすぐに見つめた。深い青色の瞳がきらめく。まるで心の中をすべて見透かす、悪魔か天使のようだった。
薄い唇の端を引いて、レオポルトはさらに深く笑う。
見惚れるほど美しい表情だった。
「取引成立だな。俺たちは、共犯者だ」
その声がしんと胸まで響いて、エリックは唇を引き結んだ。
20
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
30歳の誕生日、親友にプロポーズされました。
凪
BL
同性婚が認められて10年。世間では同性愛に対する偏見は少なくなってきた。でも結婚自体、俺には関係ないけど…
缶ビール片手に心を許せる親友と一緒に過ごせればそれだけで俺は満たされる。こんな日々がずっと続いてほしい、そう思っていた。
30歳の誕生日、俺は親友のガンちゃんにプロポーズをされた。
「樹、俺と結婚してほしい」
「樹のことがずっと好きだった」
俺たちは親友だったはずだろ。結婚に興味のない俺は最初は断るがお試しで結婚生活をしてみないかと提案されて…!?
立花樹 (30) 受け 会社員
岩井充 (ガンちゃん)(30) 攻め
小説家
憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。
Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。
満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。
よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。
愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。
だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。
それなのに転生先にはまんまと彼が。
でも、どっち?
判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。
今世は幸せになりに来ました。
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる