7 / 35
7. 到着
しおりを挟む
東部の大領主、ダールマン侯爵家の屋敷。こちらに常駐している、地方騎士団の拠点でもある。エリックたちがこちらで仕事をする間、滞在する場所となっていた。
騎士団の訓練所になっているという広場に、一行の馬車がとまった。レオポルトに手を取られて地面に降りると、いよいよ山脈が視界に迫ってくる。その迫力に、息を呑んだ。
レオポルトが、そっと手を引く。
「エリック。行くぞ」
エリックは景色に見惚れたい気持ちを抑えて、レオポルトの隣に付き従った。
そのレオポルトは真っ先に荷馬車へ立ち寄って、御者とひとことふたこと言葉を交わす。そして御者は頷いて、荷台から何かを引き出した。黒く、平べったい木箱だ。衣装ケースだろうか。
レオポルトは手ずから箱を開き、中身をエリックへ差し出す。重たい質感の、黒く分厚い布だ。四角く畳まれている。空の箱は、護衛の騎士が引き取っていった。
エリックは、それがなんなのか尋ねようと首を傾げる。それより先に、レオポルトが口を開いた。
「魔術師のローブだ。お前のために用意した」
レオポルトがそれを両手に持つと、するりと布地が滑って開く。
布地をたっぷり使った袖やフードに、ゆるやかな裾のシルエットを持つ、黒いローブだった。宮廷魔術師の制服によく似ているが、袖や襟口には鮮やかな色糸で草花の刺繍が入っており、華やかな雰囲気だ。
さらによく見れば、制服とは形も微妙に違っている。布の質感も、制服より、こちらの方がより高級に見えた。
エリックは目を丸くして、それを受け取った。
「わざわざ、用意してくださったんですか……」
しげしげと眺めて、何度も布地を撫でた。その滑らかな手触りに、じんと胸の奥が熱くなる。
その布の重みに、エリック自身も戸惑うほどの、大きな喜びを覚えた。
「ありがとうございます」
お礼を言う声も、みっともなく震えてしまった。
宮廷魔術師という職を取り上げられたことは、これまで思っていた以上に、エリックにとって悲しいことだったようだ。胸の奥で凍っていた感情が溶け出して、いっぱいにあふれる。
「素敵なローブ」
うっとりと呟いた。新しいこの衣装は、レオポルトの共犯者として相応しい。彼の隣に立つための、鎧になってくれるはずだ。
涙まで出てきて、エリックは鼻を啜った。掌で目元を拭い、レオポルトに微笑みかける。彼は戸惑った様子で「大丈夫か」と言って、懐からハンカチを差し出した。
「なぜ泣く」
「泣くほど、嬉しかったみたいで……」
へへ、と誤魔化すように笑うと、レオポルトが目元を拭ってくれた。指先が優しく、布地越しに目元や頬を押さえる。
「……お前の着慣れた、宮廷魔術師の制服ではないが、いいか」
静かな問いかけに、エリックは迷いなく頷いた。
「はい。僕は、気に入りましたよ。これがいいです」
これを着れば、エリックはいよいよ、レオポルトの「愛人」として見做されてしまうことは分かっている。この華美な衣装を見る限り、レオポルトにも、その意図は間違いなくあるのだろう。
だとしてもレオポルトは、魔術師の象徴であるローブをくれた。ジャケットやブラウス、アクセサリーの方が、よほど「独占欲」を見せつけられただろうに。
このローブはレオポルトからのこの上ない思いやりで、エリックへの尊重だと思う。レオポルトは、エリックを魔術師として認めている。
それだけでエリックは、どんな逆境にも立ち向かえる気がした。
真新しいローブに、ためらいなく袖を通した。羽織ると幾分か、背筋が伸びる。
レオポルトはじっと、エリックを見下ろしていた。どこかあどけない表情で、唇をうっすら開けている。
レオポルトの側にヘンケルが寄って、「殿下」と声をかけた。はっと我に帰った様子で、レオポルトが顔を上げる。
ヘンケルは淡々と、「皆の荷下ろしが済みました」と報告を続けた。
「ダールマン侯爵が、エントランスでお待ちです」
レオポルトは、そうか、と頷いた。エリックに視線を戻して、「待っていろ」と微笑みかける。
「すぐ戻る」
ヘンケルはエリックを一瞥して、レオポルトに付き従った。エリックは、立ち去る二人の背中を見送る。その先に、宮廷魔術師の数人がたむろっているのが見えた。荷物を下ろして、鞄に腰掛けて、休憩しているらしい。
目を凝らせば、見知った顔ばかりだった。同じ研究室で働いていた、同僚たちだ。
しかし彼らはエリックを遠巻きにして、ひそひそと何かを話すばかりだった。表情は、決して明るくない。
エリックはローブの袖をさばいて、腰に手を当てる。魔術師たちに、微笑みかけてみた。
何人かはぎこちなく微笑みを返してくれたものの、すぐにエリックから目を逸らして、顔を見合わせた。手を振って、エリックは彼らから視線を外す。
(冤罪とはいえ投獄されてた男が、王子の愛人として現場へ出てきたら、そりゃあみんなこうなるよな)
そして、これでいい。胸は痛むが、冤罪で投獄された時ほどの苦しみではない。
魔術師たちの集団はしばらく顔を見合わせていたが、その中から一人の大柄な男がエリックの方へ歩み寄ってくる。エリックは、あっと声をあげた。
「アルベルト」
エリックと同じく地方出身で、実家の爵位も低い――といっても、彼は同性愛者ではないが――元同僚だ。境遇が近いのもあって、比較的親しくしていた。正義感の強い、気のいい男だ。
アルベルトは「よう」と声をかけて、エリックをじっと見つめた。言い出しづらそうに、しかしはっきり尋ねる。
「お前、あの噂は本当なのか。王子の愛人になったっていう」
「本当に君は、いつも直接的な物言いをするね。そうだよ」
あっさり認めたエリックに、アルベルトは顔をしかめた。
「……もしかして、お前が牢屋から出られたのは」
「さあね。想像にお任せするよ」
飄々とうそぶけば、アルベルトは目を丸くした。まさか、と呟く。そして口を引き結んで、沈痛な面持ちになった。
しばらくの沈黙の後、アルベルトは再び口を開く。
「すまない。俺たちが、お前の無実を証明できればよかったんだが」
「ううん、いいよ。大丈夫だから」
微笑んで見せる。アルベルトはまだ何か言いたげだったが、魔術師たちから呼ばれて、そちらを振り返った。
「エリック、すまん。俺は行く」
「うん。じゃあね」
そうして、アルベルトは立ち去っていった。
ひとりになったエリックは、これから始まる大仕事に思いを馳せた。
この道を選んだのは、エリックだ。あの牢の中でレオポルトの手を取らず、無実を訴えることは――難しいけれど、不可能ではなかった。命をかければ、できたことだった。そして、そんな理想に殉じることはできなかった。
清いままではいられない。それが、清濁併せ呑むということだ。
掠め取られた成果を掠め取り返す、卑怯なやり方を選んだのは、レオポルトではなくエリックだ。
それでも、他に目的があるとしたら。
(この計画が成功したら、悲しむ人が減るはず。そうして人の役に立てるなら、僕のこれまでの苦しみに、意味はあったと言えるかもしれない)
空を見上げる。思い出すのは、青い瞳のことばかりだった。
(……それから、少しだけでもいい。レオポルト殿下の気持ちが、晴れるといいな)
雄大な山々の峰から、涼しい風が降りてくる。重たいローブを羽織り直して、エリックは屋敷を見つめた。
雪を払うために、急な角度のついた青い屋根。美しく塗られた、なめらかな白い壁。鮮やかな緑の咲き誇る庭。おとぎ話の舞台ように、綺麗な建物だ。
やがてレオポルトが戻ってくる。エリックは彼と手を取り合って、屋敷の中へと入った。
使用人に案内されたのは、広い客室だった。開け放たれた大きな窓からは、春のうららかな風が吹き込んで、カーテンを揺らしている。
艶のある、重厚な木製家具が品よく佇む、瀟洒な部屋だった。部屋の奥には机と椅子が置かれていて、書き仕事が多いエリックにはありがたい。机の横には本棚もあり、資料置き場にも不便はないだろう。アイボリーの壁紙が、部屋の印象をより洗練されたものにしていた。
そして、大きなベッドが、部屋の中央に一台だけ置かれていた。対面にある革張りのソファも二人掛けで、夫婦のための部屋なのだと分かる。
二人の荷物は、既に運び込まれていた。エリックは荷ほどきをしながら、ちらりとレオポルトの様子をうかがう。彼は窓からじっと、山々の姿を見ていた。
騎士団の訓練所になっているという広場に、一行の馬車がとまった。レオポルトに手を取られて地面に降りると、いよいよ山脈が視界に迫ってくる。その迫力に、息を呑んだ。
レオポルトが、そっと手を引く。
「エリック。行くぞ」
エリックは景色に見惚れたい気持ちを抑えて、レオポルトの隣に付き従った。
そのレオポルトは真っ先に荷馬車へ立ち寄って、御者とひとことふたこと言葉を交わす。そして御者は頷いて、荷台から何かを引き出した。黒く、平べったい木箱だ。衣装ケースだろうか。
レオポルトは手ずから箱を開き、中身をエリックへ差し出す。重たい質感の、黒く分厚い布だ。四角く畳まれている。空の箱は、護衛の騎士が引き取っていった。
エリックは、それがなんなのか尋ねようと首を傾げる。それより先に、レオポルトが口を開いた。
「魔術師のローブだ。お前のために用意した」
レオポルトがそれを両手に持つと、するりと布地が滑って開く。
布地をたっぷり使った袖やフードに、ゆるやかな裾のシルエットを持つ、黒いローブだった。宮廷魔術師の制服によく似ているが、袖や襟口には鮮やかな色糸で草花の刺繍が入っており、華やかな雰囲気だ。
さらによく見れば、制服とは形も微妙に違っている。布の質感も、制服より、こちらの方がより高級に見えた。
エリックは目を丸くして、それを受け取った。
「わざわざ、用意してくださったんですか……」
しげしげと眺めて、何度も布地を撫でた。その滑らかな手触りに、じんと胸の奥が熱くなる。
その布の重みに、エリック自身も戸惑うほどの、大きな喜びを覚えた。
「ありがとうございます」
お礼を言う声も、みっともなく震えてしまった。
宮廷魔術師という職を取り上げられたことは、これまで思っていた以上に、エリックにとって悲しいことだったようだ。胸の奥で凍っていた感情が溶け出して、いっぱいにあふれる。
「素敵なローブ」
うっとりと呟いた。新しいこの衣装は、レオポルトの共犯者として相応しい。彼の隣に立つための、鎧になってくれるはずだ。
涙まで出てきて、エリックは鼻を啜った。掌で目元を拭い、レオポルトに微笑みかける。彼は戸惑った様子で「大丈夫か」と言って、懐からハンカチを差し出した。
「なぜ泣く」
「泣くほど、嬉しかったみたいで……」
へへ、と誤魔化すように笑うと、レオポルトが目元を拭ってくれた。指先が優しく、布地越しに目元や頬を押さえる。
「……お前の着慣れた、宮廷魔術師の制服ではないが、いいか」
静かな問いかけに、エリックは迷いなく頷いた。
「はい。僕は、気に入りましたよ。これがいいです」
これを着れば、エリックはいよいよ、レオポルトの「愛人」として見做されてしまうことは分かっている。この華美な衣装を見る限り、レオポルトにも、その意図は間違いなくあるのだろう。
だとしてもレオポルトは、魔術師の象徴であるローブをくれた。ジャケットやブラウス、アクセサリーの方が、よほど「独占欲」を見せつけられただろうに。
このローブはレオポルトからのこの上ない思いやりで、エリックへの尊重だと思う。レオポルトは、エリックを魔術師として認めている。
それだけでエリックは、どんな逆境にも立ち向かえる気がした。
真新しいローブに、ためらいなく袖を通した。羽織ると幾分か、背筋が伸びる。
レオポルトはじっと、エリックを見下ろしていた。どこかあどけない表情で、唇をうっすら開けている。
レオポルトの側にヘンケルが寄って、「殿下」と声をかけた。はっと我に帰った様子で、レオポルトが顔を上げる。
ヘンケルは淡々と、「皆の荷下ろしが済みました」と報告を続けた。
「ダールマン侯爵が、エントランスでお待ちです」
レオポルトは、そうか、と頷いた。エリックに視線を戻して、「待っていろ」と微笑みかける。
「すぐ戻る」
ヘンケルはエリックを一瞥して、レオポルトに付き従った。エリックは、立ち去る二人の背中を見送る。その先に、宮廷魔術師の数人がたむろっているのが見えた。荷物を下ろして、鞄に腰掛けて、休憩しているらしい。
目を凝らせば、見知った顔ばかりだった。同じ研究室で働いていた、同僚たちだ。
しかし彼らはエリックを遠巻きにして、ひそひそと何かを話すばかりだった。表情は、決して明るくない。
エリックはローブの袖をさばいて、腰に手を当てる。魔術師たちに、微笑みかけてみた。
何人かはぎこちなく微笑みを返してくれたものの、すぐにエリックから目を逸らして、顔を見合わせた。手を振って、エリックは彼らから視線を外す。
(冤罪とはいえ投獄されてた男が、王子の愛人として現場へ出てきたら、そりゃあみんなこうなるよな)
そして、これでいい。胸は痛むが、冤罪で投獄された時ほどの苦しみではない。
魔術師たちの集団はしばらく顔を見合わせていたが、その中から一人の大柄な男がエリックの方へ歩み寄ってくる。エリックは、あっと声をあげた。
「アルベルト」
エリックと同じく地方出身で、実家の爵位も低い――といっても、彼は同性愛者ではないが――元同僚だ。境遇が近いのもあって、比較的親しくしていた。正義感の強い、気のいい男だ。
アルベルトは「よう」と声をかけて、エリックをじっと見つめた。言い出しづらそうに、しかしはっきり尋ねる。
「お前、あの噂は本当なのか。王子の愛人になったっていう」
「本当に君は、いつも直接的な物言いをするね。そうだよ」
あっさり認めたエリックに、アルベルトは顔をしかめた。
「……もしかして、お前が牢屋から出られたのは」
「さあね。想像にお任せするよ」
飄々とうそぶけば、アルベルトは目を丸くした。まさか、と呟く。そして口を引き結んで、沈痛な面持ちになった。
しばらくの沈黙の後、アルベルトは再び口を開く。
「すまない。俺たちが、お前の無実を証明できればよかったんだが」
「ううん、いいよ。大丈夫だから」
微笑んで見せる。アルベルトはまだ何か言いたげだったが、魔術師たちから呼ばれて、そちらを振り返った。
「エリック、すまん。俺は行く」
「うん。じゃあね」
そうして、アルベルトは立ち去っていった。
ひとりになったエリックは、これから始まる大仕事に思いを馳せた。
この道を選んだのは、エリックだ。あの牢の中でレオポルトの手を取らず、無実を訴えることは――難しいけれど、不可能ではなかった。命をかければ、できたことだった。そして、そんな理想に殉じることはできなかった。
清いままではいられない。それが、清濁併せ呑むということだ。
掠め取られた成果を掠め取り返す、卑怯なやり方を選んだのは、レオポルトではなくエリックだ。
それでも、他に目的があるとしたら。
(この計画が成功したら、悲しむ人が減るはず。そうして人の役に立てるなら、僕のこれまでの苦しみに、意味はあったと言えるかもしれない)
空を見上げる。思い出すのは、青い瞳のことばかりだった。
(……それから、少しだけでもいい。レオポルト殿下の気持ちが、晴れるといいな)
雄大な山々の峰から、涼しい風が降りてくる。重たいローブを羽織り直して、エリックは屋敷を見つめた。
雪を払うために、急な角度のついた青い屋根。美しく塗られた、なめらかな白い壁。鮮やかな緑の咲き誇る庭。おとぎ話の舞台ように、綺麗な建物だ。
やがてレオポルトが戻ってくる。エリックは彼と手を取り合って、屋敷の中へと入った。
使用人に案内されたのは、広い客室だった。開け放たれた大きな窓からは、春のうららかな風が吹き込んで、カーテンを揺らしている。
艶のある、重厚な木製家具が品よく佇む、瀟洒な部屋だった。部屋の奥には机と椅子が置かれていて、書き仕事が多いエリックにはありがたい。机の横には本棚もあり、資料置き場にも不便はないだろう。アイボリーの壁紙が、部屋の印象をより洗練されたものにしていた。
そして、大きなベッドが、部屋の中央に一台だけ置かれていた。対面にある革張りのソファも二人掛けで、夫婦のための部屋なのだと分かる。
二人の荷物は、既に運び込まれていた。エリックは荷ほどきをしながら、ちらりとレオポルトの様子をうかがう。彼は窓からじっと、山々の姿を見ていた。
16
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
30歳の誕生日、親友にプロポーズされました。
凪
BL
同性婚が認められて10年。世間では同性愛に対する偏見は少なくなってきた。でも結婚自体、俺には関係ないけど…
缶ビール片手に心を許せる親友と一緒に過ごせればそれだけで俺は満たされる。こんな日々がずっと続いてほしい、そう思っていた。
30歳の誕生日、俺は親友のガンちゃんにプロポーズをされた。
「樹、俺と結婚してほしい」
「樹のことがずっと好きだった」
俺たちは親友だったはずだろ。結婚に興味のない俺は最初は断るがお試しで結婚生活をしてみないかと提案されて…!?
立花樹 (30) 受け 会社員
岩井充 (ガンちゃん)(30) 攻め
小説家
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜
中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」
仕事終わりの静かな執務室。
差し入れの食事と、ポーションの瓶。
信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、
ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる