【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

なつさ

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(11) 攻略対象2 アルベール

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「紹介しよう。こちら第1皇子のラクロワ・アルベール様だ。エヴァ、これからお前の婚約者となる」
「あ・・・エヴァ・ヴィリエです。よ、よろしくお願いします」

父に通された応接間にいたのは攻略対象の1人、エヴァの婚約者でありこの国の第1皇子であるアルベールだった。赤いベルベットのソファーに座る少年は王族らしい服を身にまとい美しいシルバーの髪に赤い瞳を持った王子様。
 エヴァは現れた2人目の攻略対象に思わず固まった。
(た、確かこいつは・・・)
作中のエヴァは幼い頃婚約者となったアルベールに酷く夢中だった。美しいだけでなく皇子という肩書きの婚約者は正に自分の伴侶に相応しいと。この婚約自体エヴァの一族が仕組んだ政略結婚以外の何物でもないのだが。
勿論恋愛結婚でもなんでもないことからアルベールはエヴァに対して1ミリの恋情も抱いていない。エヴァからの一方通行な愛だ。傍若無人で我儘なエヴァに嫌気がさしていたアルベールの元に主人公が現れアルベールは恋に落ちてしまう。
その後、婚約破棄を突きつけられるがそれに怒り狂ったエヴァが主人公を殺そうとしてしまうのだ。しかしすんでのところで助けに来たアルベールによってエヴァは捕まりその後酷い拷問にかけられ離島で無惨な姿で死んでしまう。
てか俺拷問に掛けられすぎじゃね?

(こういう立場上政略結婚とかあるあるなんだけどエヴァみたいな我儘な人間が相手だとアルベールもマジで大変だったろうな)
同情しつつも父に促され向かい合うようにソファーへと座る。こちらを無表情で見つめるアルベールはまるで吸血鬼のような冷たい美しさを身にまとっていた。今は美少年だがこの男も成長するにつれてとんでもない美形になるのだろう。

「アルベール殿下はお前と同い年だ。きっと話も合うはず、私は仕事があるから2人で交流を深めるといい。それでは失礼する」

父が立ち去り室内は静寂に包み込まれる。
(いやいやいや!こんな皇子様と2人にされて何話せって言うんだよ!?)
困って汗を流す俺にアルベールは口を開いた。

「君の噂はよく聞いてるよ。我儘で貴族とは思えない振る舞いをしているって」
「え・・・」
「使用人達への扱いも酷いらしいね。正直そんな相手が僕の婚約者だなんて本当に嫌だけどこれは政略結婚だからね」
「・・・・・」
「でも勘違いしないで。僕は君の事好きじゃないしこれからも好きにならない。婚約者だからって僕に会いに王都へ来たりしないで。必要があれば僕からここに来るから」

あまりの言い草に唖然とする。確かにアルベールとエヴァの関係は最悪なものだと知ってはいたがまさか初対面からこんなに好感度低いなんて思ってもいなかった。一目惚れした相手からこんな冷たいことを言われたらエヴァもそりゃおかしくなっても仕方ないだろ。でもこいつは攻略対象の中でも皇子という1番の権力者で反感をかったらどうなるか分からない相手だ。
とにかく敵に回したくない。というか関わらないが吉。

「わかりました。僕から会いに行くことも手紙を送ることもしません。殿下も大変でしょうから用事があれば使用人を通して伝言していただければ構いませんよ。わざわざここに来なくても」
「・・・そうか。分かったそうするよ、じゃあそろそろ行くね。ここに長居する意味もないし」

颯爽と退室した皇子に俺はほっと息をついた。


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