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望まない命
しおりを挟むアルベールに捕まり犯された翌日。
目覚めると足には頑丈な足枷、そしてそこから伸びる鎖が。
「赤ちゃんが出来たって分かるまではここで妊活頑張ろうね」
そう言い放ったアルベールは言葉通りに俺を犯した。
窓や時計すらないこの部屋では時間感覚も分からない。ただひたすらアルベールに与えられる食事を食べ、そのまま男に抱かれる日々。
アルベールが外出している時はベッドの上で座りじっとしている。暇潰しにと渡された本を読む気にはならず、いつ逃げられるのか分からないこの環境は確実に俺心を蝕んだ。
鳥籠に入った妖精は何とか自分で治癒したらしい。
動けるようになった頃、俺に話しかけるようになってきた。
「ねぇエヴァ、エヴァ・・・大丈夫?・・・なわけないか。僕らアルベールに閉じ込められちゃったね」
「・・・・・・」
「僕・・・案内役として失敗しちゃったんだ。この物語はもう崩壊してる。案内人の資格を剥奪されたから僕は魔法を使えなくなっちゃった・・・。もうただの空飛ぶ生き物。攻略対象達は狂ってしまったんだ。皆エヴァを血眼になって探してる。きっとここを出ても他の攻略対象に捕まるだけ・・・。どうしてこんな事になっちゃったんだろ・・・」
「全部お前のせいだろ・・・。お前が俺にあんな魔法かけなきゃ・・・」
「・・・そうだね。全部僕のせいだ」
陽性は鳥籠の中で座り俯く。
「エヴァ・・・ごめんね。もっと上手くやれたら良かったのに・・・君の夢潰しちゃった」
「・・・いいよ。薄々分かってたんだ。途中から、俺がこの物語から逃げることなんて出来ないって」
「エヴァ・・・」
そこからはお互い何も言うことが出来なかっあ。ただ静寂の中呼吸だけしていた。
そうしていればいつものようにアルベールが帰ってきてまた俺の世話をする。
「皆エヴァのこと探してるんだ。あの裁判で精神的におかしくなってしまったから僕の屋敷で療養させてるって言ってるのに信じなくてね。まだチャンスがあるなんて思ってるみたい。ほんと笑っちゃうよね、エヴァはこうして僕と妊活中なのに」
「っ・・・いつになったらここから出れるの・・・」
「そんなの、エヴァが僕の子供を妊娠するまでだよ。そうしたらここから出してあげる。あいつらにエヴァは僕の物だって分からせるんだ」
ちゅっと薄い腹にキスを落とされる。
アルベールの願いが叶ったのはすぐの事だった。
監禁されて数ヶ月が経った時、生理が来なくなった。正直動悸と目眩が止まらなかった。
急激な体の変化に自分でもこれは確実に妊娠していると分かったからだ。好きでもない男に孕まされ、嫌悪感しかない。得体の知れない生き物が腹に居ると言うだけで耐えきれなくて、その事実を知った時はパニックになって部屋の中で大暴れした。
「エヴァッエヴァ、落ち着いて!僕らの赤ちゃんだよ、きっと可愛い。エヴァに似て可愛い子が生まれるよ、ねえ僕らパパとママになるんだよ?そんなに暴れたら赤ちゃんビックリしちゃうでしょ?ほら、赤ちゃんに優しいママにならないと」
俺を抱きしめ宥めるように背中をポンポンと叩く。
ボロボロと涙を零し嗚咽しながら俺は促されるままベッドに横になった。
「良い子だね。安定期に入るまではここにいようね?勝手におろしたりなんかしたら大変だから・・・」
アルベールは1番卑怯な手を使った。
エヴァが錯乱する度、子供のことを口にする。
エヴァが食事を拒否する度、死のうとガラスの破片を手にした時も、「子供を殺すの?」「僕らの大切な子だよ」「子供に罪は無いのに」
子供を人質にされ、いつも最後には大泣きするエヴァを宥めるのだ。
逃げたくても逃げられない、死にたくても死ねない。
エヴァのお腹の中にいる存在が、エヴァを苦しめた。
2,015
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※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
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