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狼獣人ラスティの独り言
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“ 越後屋 “ の会頭の能力には驚きのあまり声も出なかった。
俺たちは、獣人を下に見て搾取するばかりの故郷を捨て獣人が王様だって噂のフリード王国を目指していたが途中の国の国境で言い掛かりをつけられ俺たちからしたら嫌な国の為に国境争いに駆り出されたんだ。
どんな理由を付けたって戦争は醜い。いつだって被害を被るのは平民だ、その中でも獣人は理不尽に扱われて来た。
人間に比べると数が少ない俺たち、魔法はそんなに上手くないが身体能力は人間とは比べるべくも無い
そんな俺たちは真っ直ぐな気質や人を疑う事を知らない者が多くずっと搾取されて来た。そうして数を減らしてきてしまったのだ。奴隷に落とされる者も多くいた為この世界のあちらこちらに散らばっている。
それでもフリード王国と言う国は表向きは人間の国って事になっているけど本当は獣人が王位に着いているらしいのだ。その話を少しずつ獣人に広げフリード王国に導いているらしい。今では二大大国のうちの一つとなっている。
そんなフリード王国を目指していた俺たちだったけれど国境争いに駆り出されて数を減らしてしまった。最前線に送られたしな。
それに、敵側にも獣人がいてお互い殺し合わない様に気を付けていた。俺たちは敵じゃないから。
やっと終わった国境争いとやらだったが俺たちの仲間はかなり数を減らしており何の補償もされず放り出された。褒賞金どころか怪我の手当もされずに放り出された。そのせいで状態の悪化した者がおり更に仲間は数を減らした。
隠していた金貨を使っても治療費は足りずとうとう全員が奴隷落ちしてしまったんだ
幸いこれまでは誰も売られる事もなく生き延びて来たが奴隷商がここから先に行く国では獣人の奴隷が売れないし四肢欠損でサンドバッグにするくらいしか使い道の無い俺たちは処分した方が良いと話しているのを聞いてしまった・・
ただでさえ怪我をして体力も消耗している所に水分も食事も殆ど与えられず、文字通りサンドバッグとして殴られ蹴られしてきた、皆んなもう限界だった。
そんな時、ふらりとやって来た若い2人に俺たちは売られる事になったんだ。だが、少し前に連れてかれた妹や他の仲間達はどうなったんだ・・・?と不安になっていたらクズ野郎の絶望的な嘲り声が聞こえて来た、いやわざと聞かせたんだ___
その後は信じられない展開で俺たちを買って下さった若いお2人が皆んなを助けてくれたばかりか治療して失った手や足も神獣様と一緒になって取り戻してくれた・・・・
人間なのに・・・俺たちを助けてくれた
__違うか、お一人は人間だけどもうお一人はフリード王国の王弟の令息だって話だ。何だかややこしいな、要は向かっていた先の王族だった嘘みたいな本当の話で・・・心配するな、任せろって言い切った顔は若いのに妙な説得力があって頼もしかった。
その上、人間と思っていた会頭は繋がり人の娘で儚くなった繋がり人様が今は神獣となって番で戻られたようだ・・・何だか空想上のお話と言ってくれた方が納得する内容なんだよな。そんな会頭はとんでもないスキルの持ち主で
冒頭に戻るって話
ルームって言うとんでもない空間を持っている上にその空間の中に更に空間が・・・て訳が分からないけど俺たちに其々部屋と言うか家を作って下さった。しかも魔道具で出てくる水やお湯に竃も便利なんだ、しかも貴族じゃないのに風呂に毎日入れる・・・天国に来ちまったかもしれないな。
その上アイテムバッグに食べた事も見た事もない美味い飯・・やっぱ天国に来ちまった
皆んなで話したんだ、俺たちこれから命をかけて会頭達をお守りしようって
これ言ったら会頭は 『命はかけないの!皆んなに幸せになって欲しいんだからね!!!』って怒るけどやっぱ命懸けで守りたいんだ俺は。妹レイラとアランの幸せそうな姿も見てるしな___ニヒヒ
獣人仲間たちの幸せそうな顔を見て満足気な笑みを浮かべるラスティ
ラスティに春が訪れる日も___そう遠く無い、かも ふふふ
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