【完結】どうしてｰｰｰｰｰこうなった？悪役令嬢は王子に溺愛され困惑する。

リセットボタンあるじゃない！

ｰｰｰｰｰ王宮の深夜にある報告が入った。

「ジークフリード様、報告します。」

側近のルーベンがノックもそこそこに勢いよく、ジークフリードの執務室に入って来た。

「どうした、ルーベン。」

「一大事です、辺境の地グレザーン修道院からアンリ=クランネルが脱獄しました。」

「何だと！あの監視の目が厳しいグレザーン修道院から脱獄だと！」

ルーベンも信じられない様子で、ジークフリードに報告していた。

「誠です、信じられませんが、グレザーン修道院から忽然と姿がなくなりました。只今周辺と国境、兵士を増員し国中を捜索中です。」

「分かった、逐一報告するように。」

「御意。」

「それと、アディルの耳に入れないように。」

「はっ、」

ルーベンは報告が済むと一目散に駆け出た。

「アンリが、脱獄だとｰｰｰｰｰあの監視の目が厳しいグレザーン修道院を一人でｰｰｰｰｰ信じられない！」





アンリが脱獄したと報告を受けた深夜現ｰｰｰｰｰ。


アディルは、そんな事になっているとは夢にも思っていなかった。

ｰｰｰｰｰカタンと王宮のアディルの部屋の窓が開いた。

薄暗い靄が立ち込めた。

「ｰｰｰｰｰ何？この黒い靄ｰｰｰｰｰ。」

「ミディー！」私は慌てて侍女のミディを呼ぶ！


「アディル様、ジークフリード王子との幸せルート楽しめましたか？」
アンリがニヤリと笑う。

アディルは確かにジークのお陰で、アンリから仕掛けられた罠がアンリによる偽造罪でアディルは冤罪あった事を皆の前で示して下さった。

アンリは罪人となり、サルバドール王国の辺境の地グレザーン修道院に入っている筈なのにｰｰｰｰｰどうしてここへｰｰｰｰｰ。

信じられない様子ででアディルはアンリを見た。

「アンリさん、何故ここにｰｰｰｰｰ。」

ワケわかんないんですけどｰｰｰｰｰ。
アンリは、監獄同然の辺境の地にあるサルバドール修道院に入っている筈なのにｰｰｰｰｰそれに、あそこは女の子が一人で脱獄するなんて無理な場所なのにｰｰｰｰｰ。

「あははははっｰｰｰｰｰ、驚いてる！おっかしいの～。」

アンリは狂ったように甲高い笑いを響かせる。

「あんたをさー、嵌める為に戻って来たに決まってるだろ！」

アンリの美しかった顔は、浅黒く肌は乾燥し皮膚が毛羽だち目は窪みギョッロっとしていた。

『めっちゃ怖い！なにあのアンリの姿ｰｰｰｰｰ。昔美術の本に載っていた餓鬼のようじゃない！』ヤバイ！又アンリに遣られるの？
ミディを呼びたいのに声が出ない！

「さぁ、今度はあんたが地獄に落ちる番だよ！」アンリは高笑いしながら隠し持っていた短剣を両手で握り思い切りアディルの左肩に短剣を指した！

「うわぁぁぁｰｰｰｰｰ、」
アディルは声にならない呻き声をあげた。
刺された左肩が熱くて痛くてもの凄い激痛が走っている、アンリは更に痛め付けるように剣先をグリグリとアディルの皮膚に食い込ませた。

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ｰｰｰｰｰ、」皮膚に食い込む剣先で皮膚を裂かれる激痛で目が眩むｰｰｰｰｰ

「痛いか！痛いだろう、私はもっと痛かったんだぞー！」

アンリは刺していた剣を思い引いた！その瞬間アディル左肩から鮮血がどばっと出た、その血に「漆黒の首飾り」に掛けた。

「私の願いが叶った！もう、アディルはおしまいよ、ジークフリード様は私の者ｰｰｰｰｰ」

アンリの姿は、悪役令嬢アディル=メルフェル侯爵令嬢に変わった。

「アディル、いいえ　アンリ=クランネル。又、新たな未来で会いましょう、今後は私が愛されるのだから！」

アンリは、薄暗い靄に包まれ姿を消したｰｰｰｰｰ。


「何よこれ、リセットボタンあるじゃない！」

アディルは、肩の激痛で意識を手放した。