【R18】愛欲の施設-Love Shelter-

皐月うしこ

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第8話 長い夏休み (前編)

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セミの大合唱で始まる夏の朝はうだるように暑く、世間ではお盆の帰省ラッシュや夏祭りのイベントなどで忙しい時間を過ごす人が多い中、優羽は自室のベッドの中にいた。
年中快適な気温と湿度。防音完備の建物には虫の音色ひとつ届かない。
ある意味、季節がもたらす自然の恩恵を無下にしている気もするが、この豪華な邸宅には想像以上の近代技術が取り入れられているのだから仕方がない。


「────っも…ヤ…~ッ」


汗や日焼けとは無縁の上に、クーラーでほどよく冷やされた室内で優羽は贅沢にも"ここじゃないどこかに行きたい"と願う。
真夏の太陽が容赦なく地上を焦がそうとしているのか、窓から見える空は晴天にも関わらず、優羽は非健康的な朝を迎えていた。


「くっ…るしぃ……ッ」

「気のせいですよ。」


何故こんなに爽やかな笑顔をし続けられるのか、疑問で仕方ない。
こっちは部屋の温度設定がおかしくなったんじゃないかと勘違いするほど汗が出てくるのに、戒は寒そうに布団にもぐりこみながら優羽に笑顔をむけていた。
顔だけ出した布団の中の異変に気づいたのは、もう何時間も前のような気がする。


「優羽が風邪引くといけませんから。」


夏風邪はひくと後が大変ですよと、小さな子供を寝かしつけるように、戒は優羽が埋められた布団の上を軽くたたく。


「──あ…ヤッ…め!?」

「何もしてませんけど?」


たしかに戒は何もしてない。
優羽の隣で肩肘をつきながら寝転んでいるだけ。


「外は暑いですし、ここはとても快適です。」


ありがとうございますと、笑顔でお礼をいう戒の隣で優羽は大きく体を動かしていた。
モゾモゾと不自然に優羽の真上のシーツだけが波打っている。


「アッ!?~~っャだッ…ダメ…ぬ…ぃっ…抜いてぇッ!?」

「朝から優羽は元気ですね。こちらは明け方にようやく布団に潜り込めたというのに。」

「カィッ…寝ちゃダ…ぁぁぁっぁ───」


わざとらしい戒のあくびに焦った優羽は、体を動かして振動を強めたそれに更なる声をあげた。


「うるさいですよ。近所迷惑です。」


防音設備がばっちり行き届いた家でそんなことがないことなどわかっているのに、冷静な判断力を失った優羽は素直に唇をかんで大人しく声を飲み込む。
けれど逆に、クスクスと笑う戒の横で、押し殺した声のかわりに身体が跳び跳ねた。


「動いたら動くだけ気持ちよくなりますよ。」


よかったですねと、戒は枕の下から説明書のようなものを取り出し、これ見よがしに優羽とそれを交互に見つめる。
使い方など読まなくても知っているくせに、わざとらしく目を通す戒が憎らしかった。


「そんな目で見て誘ってるんですか?」

「ちガッ……ぁう……ん…ッあ」


涙目で首を横にふる優羽に、「そうですか。」と短く答えた後、戒はおもむろに手をのばす。
だけどすぐに、その手は行き場をなくして元の位置に戻っていった。


「結構強めにしてあげてるんですが、壊れてるんでしょうか?」

「ぁ!?今、ダ…メ…触らな…ぃでぇッ!!?」

「そうですか?せっかく抜いてあげようと思ったのに。」


優羽がいいならこのままにしておきますと、戒はまた説明書に顔を戻す。


「──ちがっ…ャ…ッ…またッ…戒っ…かぃッ!!」

「なんですか?」


戒の名前を何度も呼びながら、優羽の体はしっかりと絶頂を繰り返していく。
びくびくと、うねる真っ白なシーツが異様に湿度をあげていた。


「ああ。可愛い優羽のイクところなら、しっかり見ていますから安心して感じてください。」


笑顔で見当違いなことを口走る戒に、違うと首をふってもやまない振動に身体が痙攣をおこす。
息もまともに出来ない上に、自由に動かない体に取り付けられたもののせいで全身が熱くてしかたがなかった。


「っ…イクッ…も…ィヤァァァッァ──…あっ…戒…かい」

「どうしましょう?」

「イァ…ッ……なッ…ニ?」

「可愛すぎます。」


よしよしと頭を撫でながら、喘ぎ声をこぼす優羽の口に戒は舌をはわす。


「メスの顔してますよ?」

「ッ?!」


大きくひらいた瞳に戒の綺麗な笑顔をうつしながら、優羽は快感に声を震わせていく。


「優羽?」


名前を呼ばれて、優羽は苦しそうに歪めた顔を戒にむけた。


「本番は、これからですよ。」


大きな波が過ぎ去って、甘い吐息を激しく繰り返す優羽の上にかぶせられていた布団がのけられる。
するとそこには、卑猥な機械を埋め込まれた可憐な秘部があった。
時は遡ること四時間半前。朝というよりか、太陽がまだ上り始めるかどうかという夜中と朝の中間に、優羽は腕が後ろ手で縛られて動かないことに気がついた。
はじめは気のせいかと、まだ起きない頭のまま寝返りを打とうとした時だった。


「──っキャァ!?」


下腹部に走った違和感に悲鳴をあげながら、優羽は完全に目が覚めることになる。
全裸で後ろ手に縛られて、足を大きく開脚させられた間に笑顔の戒がみえる。
どうして戒がそこにいるのだろうとか、今何時なんだろうとか、考えている余裕なんてなかった。


「あッ!?」


突然、ならすように埋め込まれた戒の指にただ混乱する。
自分の身体を支配していく指の動きに合わせるように首を動かした優羽は、戒が手に持つモノを見つけて恐怖に固まった。


「怖がらなくても大丈夫ですよ。」

「──なッ…っ…ぅあぁアッ?!」


指を引き抜いた代わりに、男を主張する無機質な機械が、優羽の下肢を割って入ってくる。
抵抗をみせる蜜壺からわずかに押し戻された"それ"は、戒によって深く押し込まれると優羽の身体を震わせた。


「抵抗は許しません。」


クスクスと笑う戒に、混乱した頭は何のことだか理解できないまま本能に支配されていく。


「今日は一段と暑くなりそうなので、このまま優羽と一緒に涼むことにします。」

「…ッ…」

「ああ、少しズレてるようですので、修正しますよ。」


ジッとしていて下さいねと、ほほ笑む戒に再度引き抜かれたソレに優羽の目が涙に滲む。
太く、かたく、長い"それ"は、一度知ればもう十分なほど身体に快楽を植えつけてくれた。


「ゃだ…戒…入れな…でっ~ャダッ!?…ぁあッ!そこっダメぇぇェ──」

「ここですか?」

「────ッアァァア?!」

「とても良さそうですよ。」


後ろで縛られた両手のかわりに足をばたつかせるも、間に陣取る戒のせいで意味をなさない。
一番感じる箇所にうまくはめ込まれた玩具は、意図も簡単に最初の絶頂に優羽を導いた。


「むしろダメなのはこちらですね。」


そういって戒は鳴き声を上げ続ける優羽の秘部を拡げると、めくりあげた突起に何かをはめようと思案する。
困ったような表情は、眺める身には恐怖でしかない。
そうして数秒が数分に感じるほどの時間が経過した頃、カチリと音がして、優羽の身体は敏感に反応した。


「──ッ!?」


弓なりにのけぞって腰を暴れさす優羽に満足したのか、戒はその身体に布団をかけてやる。
布団の中では、鉄とまではいかなくても何か硬い物質でつくられた下着の形をしたものが、ピッタリと優羽の下半身をおおっていた。蜜壺には、太く長いものが最奥までひねりこまれて不規則に動いており、秘芽には微弱な振動を奏でながら激しく上下にこすりあげてくる何かが細工されてある。


「──アァッ…ゃぁッ…ぬぃ…てぇ」


完全に眠りから覚醒した優羽の隣にもぐりこんだ戒は、ひと仕事終えたようにアクビをした。
そしてあろうことか、戒はそのまま優羽の声を聞こえないことにして寝息をたてはじめる。


「ちょっ!?…っ…ぅ~───」


信じられなかった。

戒を起こそうとしても優羽の体は動かない。
いや、正確には動かせなかった。
快楽が全身を襲う。
はじめは、たんなる冗談だろうと思っていた優羽も、本当に戒が寝ていることに気づくと焦りはじめた。焦りが身体をますます制御不能にし、なんとかしようともがけばもがくほど、身体に埋め込まれたものは強弱をつけて攻めてくる。


「ヤダっ…ぃ…また…イッ…ちゃ…アッァァァァァ────…っン…ッあっ」


幾度となく絶頂をむかえて、何度か意識が途切れた。
それでも強い快楽に引き起こされて支配される。
そうして、まるで生きているみたいに優羽の中をその下着が堪能しきったころ、ようやく戒は目を覚ます。

それが今から十分ほど前。


「声、出なくなりましたか?」

「───ッ!?」

「すみません。寂しかったですよね。」


涙をためた目で顔をあげた優羽の髪を、戒は優しくすくった。
やっと起きただとか、何度も起こしたのにと泣きながら訴えてくる優羽に戒は甘い口づけを落とす。


「もう起きたので、沢山イッてかまいませんよ?ずっと見ていてあげますから。」


別に我慢していたわけでも、出来ていたわけでもない。
けれど、耳元で囁かれながら、下腹部にあてがわれたものを戒の指がなぞると違った快楽がまた優羽を襲った。
息をするのがやっとだった。
朦朧(モウロウ)とする頭が快楽に震える体に勝てずに、強制的に身体を暴れさせる。


「ぉねが…っ…戒っ…アァッぬぃて…ン…くら…さっ…ッ…ぅアァッ───」

「仕方ないですね。」


涙ながらに訴える優羽の頭をよしよしと撫でながら戒は腕の縄をほどくと、カチリと音をたてて卑猥な下着を解放した。


「──っアァッ…ァッ!?」


部屋に淫湿な音を響かせながら引き抜かれたそれに優羽は、大きく身体をのけぞらせる。
ズルズルと抜けていく感触に、身体が快感に震えていた。


「すごく濡れてますよ。」

「アァッ…っ…みな…で……」

「優羽は、本当に誘うのが上手ですね。」


うつろに首をかしげた優羽の腰を押さえつけながら、戒はクスっと笑みをこぼす。


「泣かれると、もっと鳴かしたくなります。」

「あっ…らメぇっ!?」


グチュッと溶けた音を響かせながら、ソレはゆっくりと埋め込まれてきた。
玩具とは違う。血の通った男の異物。


「優羽は、中も温かいですね。」

「ぁアっ…かい…~ヤッめ…テ──」


もう無理だと首をふる優羽に、嘘はいけないと戒は同じように首をふってみせた。


「こんなに締め付けてくるのに?」

「~っまた……イ…ッちゃ」


確認するように打ち付けられた腰の律動を、優羽は顔をゆがませながら受け入れる。
それを余裕の表情で見つめていた戒の舌は、優羽の涙をすくいとった。


「ッ!?」


こんなときだと言うのに、ペロリと美味しそうに唇を舐める戒に胸が高鳴る。
だけどもう、思考も身体も何もかもが限界だった。


「いいですよ。」


ニコリと笑った戒の言葉とは裏腹に、ピタリと止まった律動。


「ひッぁ……?」


優羽は恨めしそうに戒を見上げて、また首を横にふった。

どこまで意地悪なのだろうかと思う。

欲しくない時はこれでもかと与えられる快楽は、欲しいときほど与えられない。


「か…い……意地悪しな…ッ…で」


その見下ろしてくる瞳には抗えない。


「ほら、ちゃんと言ってください。」

「戒っ…ッ!?」

「でないとこのまま終わりますよ?」


卑怯だと思う。
ヤめてほしいと懇願したことはひとつも叶えてくれないのに、シテほしいことは懇願するまで叶えてもらえない。
いくら彼らの思惑に屈しないと決めたとしても、所詮それは儚い夢。


「戒ッ…くださ…っ…ィ」

「今度は一緒にいきましょうね。」

「ッ!?……っ…ふぁ…」


夢のような甘い世界で、口の中まで戒に支配される。
止まらない激動と込み上げてくる快感に、体が強くもっていかれた。


「────っ…アアッァッァァ」


頭の中が真っ白に染まり、戒に抱き締められた全身が強くはりつめる。
腰が逃げようとするのを許されずに悶える優羽を捕まえた戒は、楽しそうに笑っていた。

─────────────
───────────
─────────

「すみません。」


愛おしそうに謝られれば、優羽は何も言い返せない。
結局、繋がったまま何度もキスをしてくる戒に、しょうがないなと深い息を吐いて許すことになった。


「朝御飯は食べ損ねましたね。」

「……?」


半分以上、意識を眠らせていた優羽はわずかに残った意識をふりしぼって時計をとらえる。


「十時?」


いつのまにそんな時間になったのだろうとトロンとした顔をする優羽に、戒はもう一度口づけを落としてから自身を引き抜いた。


「優羽、大丈夫ですか?」

「……あッ…」

「お昼ご飯を食べたら、きちんと寝て下さい。」


どこか計画的に見えなくもない戒のいたずらな視線が気になる。
今すぐにでも眠ってしまいたかったが、家族のルールを守らなかった代償はあとが怖い。


「これ、あとで輝に返しといてくださいね。」

「──…えっ!?」


さきほどの異物がついた下着のようなものを、別の人間に渡してくれと頼む戒の依頼に耳をうたがった。


「そんなっ!?むっ無理だよ!!」

「新作の試作品らしいので、感想をのべる相手がいかなければ意味がないでしょう?」

「か…感想って……。」


正直、覚えていない。
そもそも、感想なんてあってないようなもの。
快楽にはまった体の感想なんて、大抵いつも一緒なのに一体何を伝えればいいのだろう。


「ああ、優羽は朝御飯には参加できないって先に伝えてあるので、そこは心配しなくても大丈夫です。」


早く着替えて行きましょうと戒は笑顔で手を引くが、眠気が吹き飛ぶほどの宣告をうけた優羽は自分のベッドの上に置き去りにされる玩具から意識が手放せないでいた。
朝食を食べ損ねたせいでお腹は減っている。
朝の運動は予想以上に体力を奪い取っていったらしい。


「どうしたんですか?」


元凶の戒は、なぜかとても機嫌がよかった。
顔を洗って服を着て、部屋をでて、廊下を並んで歩いて、階段を降りている間もずっと、珍しくニコニコと声が弾んでいる。


「朝から優羽を堪能できて、わたしは最高に満足させてもらいました。」

「ッ?!」


隣からのぞきこんできた顔に優羽の足は止まる。
階段を踏み外さなかったのは、踊り場だからではない。
ちゃっかり腰に手を回してきた戒に、優羽は赤面して抵抗した。


「恥ずかしいから、そういうこと言わないで。」


最後はゴニョゴニョと小さく声にならなかったのは仕方がない。
階段の踊り場にもうけられた大きな窓は、戒の綺麗な顔を真正面からとらえるには、あまりにも刺激が強すぎる。


「ッあ…ん!?」


グイッと強制的に向けさせられたアゴに、その形のいい唇が静かに重なる。


「疑うのでしたら、もう一度ベッドに戻りますか?」

「っ?!」


はぁっと離れた唇から息を吐いた優羽の息は、ゴクリと音をたててノドを通過していった。
反則に近い笑顔はズルい。
ある意味、自分の武器を自覚している戒の策略に優羽は目線を泳がせることでしか答えられなかった。


「もっもも戻らない。」


さっきまで散々な目にあっていたことを忘れていない。
と同時に、優羽はハッと部屋に残された卑猥なモノを思い出した。


「戒…っ…やっぱり無理だよ。」

「何がですか?」

「あっ、優羽みっけ。」

「ふゃぁ!?…り…陸っ?」


どこから現れたのか、急に現れた陸に後ろから抱きつかれて、優羽は甲高い裏声をあげる。
それが余計に優羽の挙動不審さを浮き彫りにさせた。


「どうかしたの?」

「なっ…なんでもない!」

「変な優羽。」


あははと屈託のない天使の笑顔が本当に納得したのかは確信が持てない。
けれどそれに反論するのもおかしかったので、優羽は二人の男の間で曖昧な笑みをしたまま固まっていた。

その後は両手に花。

重たい足取りを運びたくはないのに、右手の戒と左手の陸に半ば連行されるようにして、優羽は家族が集まる場所へとたどり着いた。
普段ならこの時間帯にいること事態珍しいのに、いてほしくない日に限って、いてほしくない人はいる。
なぜかそろっている家族の中に輝の姿を見つけた優羽は、ゴクリとつばを飲み込んだ。


「優羽。今日も可愛いね。」

「あっ晶。」

「優羽。そんなところに立ってないで、こちらに来なさい。」


そわそわと立ったまま視線を泳がしていた優羽を幸彦は呼び寄せる。
すると、あろうことか輝が席を立って

「ほら、突っ立ってねぇでこっちこい。」

と、手を引っ張った。


「ッ!?」


びくりと身体を震わせた優羽に気付いた輝が横目で戒を見たが、もちろん戒の視線は別の方向をむいている。
優羽は誰も自分の体が早朝から何時間も酷使されたことを知らないのだと言い聞かせて平常心をたもつことに意識を集中させていた。


「昼はきちんと食べるように。」


ソファーに座った優羽を確認するなり、幸彦は約束を口にする。
もちろん破りたくて破ったんじゃないが、その視線に悪寒を感じた優羽は、黙って首を縦にふった。


「だけど、残念なことにわたしはそろそろ仕事の時間だ。」

「え、お仕事?」

「ああ。今から仕事にいかなくてはならないのかと思ったら、憂鬱で病気になりそうだよ。」


その瞬間に、ゲホゲホと優羽以外の全員が咳き込む。


「なにかな?」


失礼だと、幸彦はソファーの上で優雅に足を組み替える。
そして、何かを思い付いたようにポンっと手をたたいた。


「優羽も一緒に行くかい?」


ゴホンっと一際大きな咳払いが複数聞こえる。
しかしひとつだけ、期待のこもった優羽の声が対照的に手をあげる。


「行きたっ…───ん~~~」


輝に例のものを返しにいかなくてすむのなら、喜んでお供すると手をあげかけた優羽の行動は、兄弟全員の手によって阻止された。


「冗談も休み休みにしてくださいっ!」
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