【R18】サディスティックメイト

皐月うしこ

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第2章:巡る記憶の回想

第3話:噛み合わない会話(2)

「ほら、足を広げて。舐められたことくらいあるでしょう」


膝裏に差し込まれて折り曲げられた左足のせいで、ベッドの上で朝蜜が帯びるのを隠しようもない。


「舐められたことはあっても、可愛がられたことはないようですが」

「ぁっ…ぅ…ひっ…ぁ」


口の中から抜き出た指が今度は右足の膝裏を固定するのに合わせ、萌樹の右手は乃亜の花弁に沿ってその指を何度も往復していた。ゆっくりと時間をかけるように、ただ往復するだけ。強弱をつけてほぐすように割られた場所は、熟し始めた蕾を萌樹の瞳に映していた。


「乃亜、腰が動いていますよ」

「やっ萌樹…ッ…それいじょ…ぅ」


クスリと笑った萌樹の顔が股の間に消えていく。


「だめ…ッぁ…ダメッ~~ャ」


往復していた指は奥深くまで差し込まれ、思わず浮いた腰ごと萌樹の唇に捕まる。
柔らかな毛先が太ももの内側にあたって、甘噛みされた切ない刺激に、乃亜は自分の声が高鳴るのを感じていた。力を籠めれば侵入した萌樹の指は角度を変え、腰をひねれば、その綺麗な顔はどこまでも追いかけてくる。震える手を拳に変えて自身の口を押さえていなければ、果肉をむさぼるように顔を埋める萌樹の舌に喘ぐ息が漏れそうになる。


「もぅ…やめッ…んっァぁ…ァ」


閉じることの敵わない足の間に萌樹の頭を埋めたまま、昇り詰めてくる感覚から逃げられない。
沈む腰は自分から求めるように萌樹の唇と舌に反応し、気づけば声を抑えていた手は、萌樹の髪を掴もうと腕を伸ばしていた。それでも触れるのをためらってしまう。美麗な顔を崩しもせず、その舌と指で凌辱される果肉に感じているなど知られたくもない。


「~~ッく、ィク…それ…ぁ」


どこから支配者と捕虜になってしまったのか、境界線はいつも曖昧で、捕まった体に許されるのは与えられるままの快楽を受け入れることだけ。
知られたくない。
どれだけそう願おうと無駄なこと。乃亜の声、指、頭の先から足のつま先まで、反応を吸収するように追いかけてくる萌樹の行為に抗う術が見つからない。全裸に剥かれた体が提供する蜜の息が、足を広げ、腰を深く沈めていく。


「ぁッ…ぁ…ンッ…もぇ…やッァ」


どう受け止めればいいのかわからない。激しくもなく、甘すぎるわけでもなく、ただ味わい尽くすように侵食してくる舌と指だけで、どうしてここまで感じてしまうのか、理解できない脳が吐息だけを切なさに変えていく。すぐそこに迫っている白い世界に行きたくないのに、無理矢理連れていかれる感覚が怖くなる。どれだけ呼びかけようと、止めてもらえない。


「待っ…萌樹…もぇ…ぎ」


得たことのない痺れと多幸感。


「ァ…ヒッ~~っぁ…ッく…ンーーー」


捕まえるように腰を抱いてきた萌樹の指技に快楽が明滅を繰り返す。
萌樹の髪を掴む代わりに自分の声を押し殺すことに決めた乃亜は、絶頂を噛み締めながら、その体で萌樹の頭を抱いていた。小さく、小さく、丸まって死ねるなら。与えられた快楽ごと、シーツの殻に閉じこもって逝けただろう。


「これはまた、あの二人が特に喜びそうな逸材ですね」

「はぁ…はぁ…っ…な、に?」

「摘むのが好きな人間もいれば、開花させるのが好きな人間もいるという話です」


顔を上げた萌樹は、その牙をのぞかせながら乃亜の蜜で濡れた唇を舐める。
よしよしと頭を撫でてくる手は、どうやら女を鳴かせるために存在しているらしい。触れられるたびに、いちいち過剰反応してしまう敏感な神経がイヤになる。


「さ、これ以上は我慢しましょう。起きてシャワーを浴びないと」


止まった萌樹の動きに、目を閉じかけていた乃亜の瞳がそれを見つめ返す。穏やかな微笑みをたずさえた萌樹の瞳は獲物を追い詰める狩人の目をしていた。それでも本当に、ここまでにするつもりなのだろう。残念なような、安心したような、なんとも言えない感想に心音は消えてくれない。


「永遠に食事抜きを望んでいるのであれば、このまま続けますが?」


まだ余韻の抜けきらない体に萌樹の提案は再熱の選択肢を与えてくる。それでも「食事抜き」という言葉に現実を思い出した乃亜は、渋々体を起こしてシャワーを浴びに行くしかなかった。
今まで感じたことのない快楽。
朝から余計なことを教えられたものだと、憂いながらシャワーを浴びた体に服を着せて、乃亜は他の二人を探す一日を始めた。
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