【R18】帝都遊郭カタルシス

皐月うしこ

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弐書:封花印

05:守護する者

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若さとは恐ろしい。たった二歳しか違わないのに、疲弊していく体力の差に問題があると、アザミは痛む腰をさすりながらヒスイを迎えた。
ヒスイは会うなり「可哀想に、がっつかれちゃったね」と気遣うふりをみせたにも関わらず、なぜかイルハに対抗心を燃やして腰を砕いてきたのだからたまらない。


「おいおい、久しぶりに会うってのに、そりゃねぇぜ」


アベニが来訪を告げたころ、アザミは腰が使い物にならず、寝具の上から起き上がれずにいた。確信犯であるヒスイは「アザミちゃんが腰、痛むみたい」と全部をイルハのせいにして、わざとらしくアザミの腰をさすっていた。


「とどめはヒスイが刺したんだろ」

「その方が、アベニくんにとってもよかったでしょ?」

「余計なことはいいから、さっさといけ」


しっしとアベニがヒスイを手で追いやるのはいつものこと。ヒスイが去れば、湯浴びと食事は、アベニが世話を焼いてくれることを知っている。
アザミも普段通りその背中を見送った。


「アベニ様、お久しぶりです。少し日に焼けんした?」

「一ヶ月ほどジンに付き合って不在にしていたからな。会えなくて寂しかったか?」


口づけて頭を撫でてくれるアベニの手に、アザミは無言ですり寄る。
態度で「はい」と返答すればアベニは嬉しそうに口角をあげた。


「で、腰はどのくらい痛む?」


うつぶせで布団と一体化していたアザミは、アベニに腰をさすられてそっと目を閉じる。
アベニの手は気持ちいい。欲しいところに欲しい刺激をくれる。
イルハは若さゆえの激しさもあったが、まだ優しさの加減があったのに、ヒスイは本当に容赦がない。声が掠れているのはヒスイのせい。
腰が砕けて、子宮がまだ疼いたままなのもヒスイのせい。
そのヒスイは世話を放棄して立ち去ってしまったのだから、文句のぶつけ先はない。


「……っ、ぅ……ひどい目に遭いんした」

「そうみたいだな」


本当は、そこまで腰に痛みはない。
ヒスイが容赦なかったのは最初だけで、アベニが来る時には大分落ち着いていた。
それでもアベニが事後処理を自分から引き受けたのだから、アベニに甘えてもいいだろうと、アザミは被害者ぶった声を吐き出す。


「寝る前にこれ飲んどけ」


おそらくニガナが用意してくれた薬だろう。アザミは半分寝返りを打った状態で、アベニに薬を飲ませてもらう。口を開けて、閉じて、飲み込む。最小限の動きだけをしていればいいと躾けられたアザミにとって、それは何も難しいことではない。
だから素直に飲んで、そのまま怠惰に微睡む意識に身を任せた。
眠りが体力を回復する一番だと知っているからこそ、アベニに甘えてアザミは眠りを受け入れていた。


「……っ……ンッん゛……」


それが間違いだったことに気付いたのは、強烈な快楽に刺激されて跳ね起きた時。口に布をかまされ、手を胸元で拘束されている。足は折り曲げられ、太ももとふくらはぎが離れないように片方ずつ結ばれ、開脚した足の間にアベニがいる。


「アザミ、起きたか。腰の具合はどうだ?」


いつも通りの声、言葉遣い。それなのに、初めて見る顔のアベニがそこにいる。
いったい何をしているのか。
アザミは恐る恐る視線をそこに向けようと体勢を変えてみるが、両手を組まされ、結ばれた手首は胸から一瞬たりとも離れようとしない。足も同じく。曲がったままで、伸ばしたりはできない。


「ひっ……ぅ」


アベニが乳首をつまんだせいで、変に胸が縄で盛り上がり、強調されているのに気付いて、とたんに恥ずかしさが増す。


「恥ずかしがっても無駄だ。どうせ動けやしないさ」

「ぁ……に……んっぅ」


開いたり閉じたりできるのに、なぜか自然と開脚してしまっている足の間には、何かが埋まっているのだろう。


「ッ……ぅ、ん゛……ぅ」


ヘビでも膣に埋め込まれているのだろうか。鱗のような表面をした棒状の何かがうごめいている。いや、正確にはアベニが動かしている。ゆっくりと前後に動かしている手は、アザミの顔を覗き込んで、それから無視して作業をはじめた。


「アザミ、寝ている間も何回かいってたぞ。第壱帝国の土産だ。アザミが気に入るか、起きてから聞こうと思ってたんだがな。反応を見る限り、よほどいいらしい」

「ぅ゛……んンッ……ん゛……」

「ヒスイに相当いじめられたな。腹を押されながら動かされるのが好きになっちまって。ここ、気持ちいいだろ。いっていいぞ。太さや大きさは適当なものを選んだつもりだったが、アザミには少し物足りなかったか?」


アベニの腕だけが股の間を動いているのに、男の陰茎と同じ圧迫感が混乱を誘ってくる。
言葉通りに下腹部に圧力を加えてくるアベニの手が、膣を往来する棒状の何かを意識させて、快楽をそこに植え付けてくる。


「ッん……~~~ァッ」


自分の意思に反して、身体は素直に内部を痙攣させていた。
理解ができない。現状把握が追いつかない。
それでも子宮が圧迫されるのを喜んで、勝手に絶頂が込み上げてくる。


「可愛いぞ、アザミ。大量に愛液をまき散らせて、みろ、こんなに濡れている」

「んッ……ぅ」

「驚いたか。いつも他の男のを指でかき出すのも芸がないと思ってな。試しに買ってみたが、これはいい。アザミに見せれば怖がるだろう。寝てる間に色々と用意したんだ」


褒められると思っているのか、嬉しそうなアベニが先ほどまでアザミの膣に埋まっていた玩具を取り出して、見せてくれる。
それはヘビのような三角の頭を持った棒状の代物で、男の陰茎を模した表面には鱗模様が彫られていた。濡れて光っているのはアザミの愛液だろう。遊郭育ちなので玩具を見たことがないとはいわない。それでも、まさか自分が使うことになるとは夢にも思っていなかった。


「他にもあるぞ」


細さが違う代わりに、しめ縄に似たとぐろが巻かれているもの、小さな団子を連ならせたもの、動物の毛を棒に取り付けたものなど、数種類を順番に紹介されて、どう反応すればいいのか。
まさかそれらを全部使うつもりなのかと、アザミが恐怖に震えた時、ヘビを模した玩具が再び膣に侵入してきた。


「……ッぐ……ぅ」

「少しずつ慣れていけばいい。でも自分がいない間のことを思うとひどくしたい気持ちにもかられる」

「ンっ…ぅ……は、ぅ……ふ」

「アザミ、腰を痛めているんだからそんなに動かすな。足を閉じるなら、こっちの穴にも玩具を埋めるぞ?」


そうは言われても、先ほどよりも深くえぐり取ろうとしてくるアベニの行為に、勝手に腰が浮いて、足が閉じてしまう。開いても閉じても強制的に続くのであれば、少しくらい自由をくれてもいいだろうと、アザミも反骨心を持っていた。


「ぅ゛……ぁ……ンッん」


三角座りの形で丸まったアザミは、すぐにその態度を反省していた。
ヘビの玩具が膣に埋まっているのに、すぐ下のお尻の穴の入り口を細い玩具がつついている。それは、「ひっ」と息をのんだアザミをあざ笑うかのように侵入し、徐々にその面積を体内の中に潜らせていく。


「散々指で慣らしてやっただろ。痛くはないはずだ」


たしかに痛くはない。クチナシの香の匂いがする以上、眠っている間にアベニは肛門もほぐしていたのだろう。ただ、そこに埋めたことはない。指以外のものが入ってくる感覚は異常で、不快で、びりびりと神経を尖らせてくる。


「アザミ、息しろ、息」

「……ん……ン゛ぅッ」

「そうだ。上手だな、えらいぞ。膣に埋めたまま尻に入れられるのはキツイけど、頑張って慣れておこうな」


そうは言われても慣れるような感覚はどこにもない。
神経が怖がって、侵入してくる異物を拒んでいる。
息をすれば無遠慮に入ってくるのがわかる以上、簡単に息もできないと、アザミは涙目でアベニを探すしかできなかった。けれど、それが何になるだろう。拘束された身体は無抵抗に施しを受け入れるもの。


「ン、ンん゛ンンッ」


陰茎よりも細く、指よりも太く長い棒がアザミの尻穴を埋め尽くす。
それを確認したアベニは一度だけ顔をのぞかせて、身体を乗り出し、アザミの唇に口づけを落とすと、また元の位置に戻っていった。


「その体勢はつらいだろ。ひっくり返すか?」


同意を求められているようで、了承は不要らしい。アザミは簡単に仰向けからうつ伏せにひっくり返される。縛られた状態でひっくり返されて、無防備な背中と玩具の埋まった性器だけがアベニの視界にあるだろう。


「ッん゛……ぉ、ふぁぁ゛んンッ」


お尻に埋まった圧迫感が一気に抜けていく感覚に、アザミの口から悲鳴がこぼれる。
布をかまされていなければ、それはニガナがすっ飛んでくる悲鳴だったかもしれない。


「ァ……ふ……ンン、ん゛ッ」

「アザミは尻穴も感じるもんな。あとで膣も可愛がってやるから、両方に埋めたまま、少し付き合え」


少しとはどれくらいを示すのか。わからないけれど、七日間あるうちの一夜目。
アベニが簡単に終わるはずがないと本能で察する。


「っ、ぅ……へ……ぁ……ンッ」

「不在にしている間、どこまで可愛がられたのか確認するだけだ。寝ている間も玩具でいっちまうくらいに躾けられたんだろ。妬けるな」

「ん゛ぁッ……ぅ……ンんンんンッぅ」

「ああ、いっちまうよな。尻穴はまだ誰もいじってないのか。アザミの好きな場所が、自分が開拓した場所で安心したよ」

「ッ………ぃ、~~~っ」


動く棒に急かされて、呆気なく星が舞い散る。
お尻の往復する玩具が聞くに堪えない卑猥な音をあげているが、アベニが嬉々としてそれを促しているので、どうすることもできない。


「膣にもちゃんと力入れろ」


お尻に気を取られて、膣の玩具を吐き出しそうになれば遠慮なく差し戻される。
仕方がない。これは不可抗力。無抵抗の身体で、強制的な快楽を受け入れているのだから、当然といえば当然のこと。


「ぉ……ぅ゛……ぅぅう゛……ぁ」


無様にお尻を振って、玩具を抜こうと奮闘する。
それがどれほど無意味で無様でも、駆け上ってくる快楽が恐ろしくて、アザミは停止を求めていることを訴える。


「ぃ、ぐ……ぅ゛……ぉ」


口にかまされている布のせいで、絶頂がくぐもる。
こんな声知らない。こんなみじめな絶頂を知らない。
ボロボロと涙をこぼして引き付けを起こすアザミは、にじんだ世界に寝具の布だけを映して、背中にアベニの唇の痕がついていくのを感じていた。


「アザミ、泣いてもやめねぇよ。これは折檻も兼ねてる。気が済むまで好きにさせてもらうぜ」


言いながら、膣に埋まる玩具も動かし始めたアベニの奇行に、アザミは理由もなく喘ぎ続ける。素材は植物か、邪獣の角か、動物か。熱のない玩具が何度も同じ場所をこするせいで、新しい快楽を覚えていく感覚が恐ろしくてたまらない。
抱きしめることも、すがりつくことも、甘えることもできない。
みじめに這いつくばって、玩具に性器を掘られ続けるだけ。


「アザミ、おーい、アザミ?」


ひくひくと痙攣するだけになったアザミの様子に、二本の玩具を引き抜いたアベニが声をかける。返事をできればよかったが、涙と鼻水と唾液に濡れた顔は白目をむいて泡を吹いていたのだから仕方がない。
アベニはアザミの舌を抑えていた布を取って、アザミの体位を横向きに変える。
縛られた罪人のように拘束していた紐をほどき、そうしてようやくアザミを強く抱きしめた。


「あー、くっそ。可愛い」


ぐったりとした身体は、アベニに抱きしめられても微弱に痙攣している。
開発は順調にすすんでいると思いたいが、相手は四人もいる。自分の知らないアザミの顔があって当然だとわかっていても、それが許せない。そして、許せないのは自分だけじゃない。こんなことを続けていれば、アザミに負担をかけるとわかっていて、止められない感情を共有している。


「四獣として、ひとりの男として、やっぱ譲れねぇんだよな」

「……っ、ぅ……」


あまりに強く抱きしめていたせいで、アザミが迷惑そうに顔をしかめる。
アザミも身体の負担が軽くなったことに気が付いたのか、ゆるゆると涙に濡れた目を開けて、それからアベニを見て、子どもが泣く前のように唇を結んでいた。


「その顔は初めて見るな」

「……っ……ぅ……ひっ、ぅ」


何かを言い返したかったのに、先に飛び出た感情がアザミに嗚咽をこぼさせる。アベニが普段のアベニに戻り、その腕に優しく包まれているせいだろう。


「可愛かったぞ、アザミ。ありがとうな」


よしよしと頭を撫で、唇を落とし、背中をたたいてあやすアベニの声がくすくすと笑っている。それでも体勢は徐々に組み敷かれる形に変わっていて、アザミの足の間にアベニの身体は縫いこんでいた。


「んじゃ、こっから本番始めるか」

「……ぅ……え?」

「えっ、じゃねぇよ。可愛いアザミを見て、こうなってんだ。もう痛いほどバッキバキ」


今度こそ視線を動かして、アザミは自分の中に入りたがっているオスの熱を認識する。
玩具の比ではない大きさと太さ、血管が浮き出た豪快さを目の当たりにすれば「待って」と告げたい。


「ほら、入るぞ。もっとこっちこい」

「……ッ、ぁ……アベニさ……まァッ、ぁ゛」


圧迫感に息が止まりそうになる。固定されていた体は自由を得ているはずなのに、アベニに腕を引かれて、浮いた上半身が腰が密着したことを伝えてくる。
玩具ではない人間の温もり。
それを認識しただけで、強く締め上げてしまうのだから、つくづく快楽に弱い体だと嘆くほかない。


「どうだ、アザミ。気持ちいいか?」

「ァッ……あ……っ、気持ち…ぃイッ」

「そうか。んじゃもっと、期待に応えてやらねぇとな」


覆いかぶさり、包み込んでくる腕の中が心地いいと思ってしまう。
腰に加わる刺激、内部を満たす感覚、肉壁の棺桶に囲まれ、喘ぐ唇をふさがれる。そうして互いの体温が交わり、高めあっていく感覚は玩具では得られない。
伸ばした腕でしがみつき、足を絡めて奥へと誘う。
それを心から喜んでくれるのが何よりも興奮を誘うと、交わる吐息が告げていた。
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