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第弐章:崩壊の足音
(閑話)Side炉伯
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夜叉の男は、惚れた女を模した花をその体に刻む。なぜなら、夜叉の女は基本的には奔放で、自我が強く、ふらりと去っては何年も顔を見せないのが当たり前で、次にいつ会えるかわからないからだ。
夜叉の愛は一途で、一度決めれば心変わりなどしない。惚れた女と会瀬を交わしたいと願う意味を込めて、俗に、肌に刻む花は「愛交花(あいこうか)」と呼ばれている。
愛交花を刻んだ男を女はバカにする。自分がその気になった男に、愛すべき別の女がいるのは心底気にくわないという嫉妬であればまだ愛らしい。が、夜叉の女はそんなにしおらしいわけではない。
女は気に入った男に、自分の花を刻ませて、どれほど愛されているかを競うものだ。すでに手付きの男に関心を抱くほど、女は暇ではないのだろう。
「つまらぬ男だな。肌に刻んで自慰にふけるつもりか」
ふと、記憶に残る断片を思い出した。
常に主導権を握る夜叉の女に、男は同じ愛交花を刻ませることを夢にみる。俺は愛交花を刻んだ女を見たことがない。特に、男を好き勝手に食したい気位の高い女は愛交花を刻む風習自体を馬鹿にしているといってもいい。
例えば、先の言葉を吐いた御前。
気位の高い女の代表格だが、愛交花を刻むことも刻ませることもない。俺たちの王ですら御前を意味する白藤の花を刻もうとしたとき、「王たるものが愛玩の証を刻むなど興が失せる」と冷めた態度で告げられて、諦めていた。
「ねぇ、炉伯」
「ん、なんだ?」
俺は腕のなかにすっぽりと収まる小さな体から発せられた声に意識を戻す。
あぐらをかいた中に座り、携帯でネットショッピングとやらに夢中になっていた胡涅が、何かを告げたがっている。
俺は見上げてくる胡涅の顔を見下ろして、その愛らしさに喉をならした。胡涅の体に愛交花を刻むことを考えただけで、たまらなく欲情が刺激される。
つがい。などと、一生得ることはないと思っていたのに、人生は何があるかわからない。
「これ、可愛いと思わない?」
「胡涅なら何でも似合う」
「……ねぇ、真剣に選んでよ」
「んー、どれ。貸してみろ」
俺は胡涅から携帯を受け取って画面を流していく。
先ほどは夢中になって服やカバンをあさっていたのに、どうやらうちの姫様は、俺の返事で購入を断念したらしい。好きなものを買えばいいといっても、胡涅は俺や朱禅の意見を聞いてから決定する。思わせぶりな態度も可愛いと思ってしまうのは、すっかり胡涅におぼれている証だろうなと俺は嘆息する。
それをどう受け取ったのか、胡涅はお気に召さなかったらしい。
「私に似合うやつ本気で探してる?」
ぷくっと頬を膨らませて俺にもたれかかる。
俺を自動ショッピング椅子とでも思っているに違いない。胡涅は大人しく座ったまま、俺が画面を操作するのをじっと待っている。
「これはどうだ?」
「じゃあ、それにしようかなぁ」
小さな頭が眼下でかたむき、伸ばした足の爪先が左右に揺れている。
機嫌は悪くないようだ。
腕に当たる柔らかな胡涅の頬が、まったりとした雰囲気のまま、俺にもたれかかっている。至福の時間。胡涅を独占できる時間を俺は何より大切に思う。
「ねぇ、炉伯。買い物楽しい?」
「んー?」
甘える声は構ってほしいという合図。自分で他のアイテムを探せと命じておいて、胡涅はすでに飽きたのだろう。
「胡涅は可愛いな」
「え、なに……急に」
「キスしようぜ」
俺は両手で持っていた携帯を左手に任せて、右手で胡涅のあごを首筋から持ち上げる。
それまで無警戒に預けていた胡涅の体がこわばって、ごくりとのどを鳴らしたのがわかった。
「………ンッ」
これが愛情表現だと胡涅はわかっていない。そもそも、胡涅はキスを薬か何かだとして、安易に受け止めている節がある。
体調が落ち着くだの、美味しいだの、言い訳は色々あるが、その根底には俺たちを男として見ていない理由が存在する。
「ふっ…ぅ…炉伯……」
胡涅が何か言いたそうな声を無理やり塞ぐ。
隙間のないほど唇を重ね、沸いた苛立ちを訴えるように、俺は胡涅から呼吸を奪う。奪って、奪って、奪い尽くさなければ気が済まない衝動に身を任せ、胡涅の手が徐々に俺にすがりついてくるのを期待する。
「胡涅、もっと寄越せ」
「そ……な、こ…と」
拒絶も拒否も許さない。そういう意図を込めて、俺は胡涅の小さな体をさらに小さく抱きしめていく。
つたない舌の動きを抑え、のどの奥の内壁を舐めれば、胡涅は簡単にえずき、震え始める。そのうち、弱々しい声で俺の名を呼び、泣き出すのが目に見えている。
「………炉伯…ッぅ…ぁ゛」
必死に応じようとしてくる無知な胡涅を、無垢な身体を、俺の好きにできる喜びにひたる。
嗚呼、可愛い。可愛すぎてすべて俺のものにしてしまいたい。花開く前に無理矢理こじ開けて、熟れてもいない蜜を最初にすすりたい。そんな欲にかられていく。
朱禅は俺と違って、簡単に股を開き「さあ、舐めろ」といわんばかりの手軽さを好むが、俺は誰も手をつけていない浅い味が好きだ。夜叉の女はよくも悪くも、行為の意味を求めてはいない。
だからこそ脱がせた男に愛交花があると、心底イヤそうな顔をするのだが、俺も朱禅も胡涅に出会うまではそんな顔を見たことはない。
それもそうだろう。
俺たちは、胡涅をつがいにすると決めたときに花を選び、自ら刻んだ。たった六年。俺たちの変化を知るものは少ない。
「…ッ…炉伯…ぅ……」
胡涅を自分の色に染めていくことができる。その事実がたまらなく俺を興奮させて、欲望がかきたてられる。
「ゃ……ッぅ……あたっ…て」
真っ赤な顔で小さく顔をそらせようとする胡涅を羽交い締めにして、俺はさらに布越しの感触を楽しむ。
「じっとしてろ」
俺から逃げられると、胡涅も本気で思っていない。不器用に腰を揺らし、本能で惑わせる胡涅が、いやがっていないことも知っている。
嗚呼、胡涅が愛しすぎて、壊してしまいそうになる。理性を押し退け、このまま永遠に閉じ込めてしまいたい。
「炉伯」
歯止めをかけるのは、いつだって赤い瞳を持つ男。俺の片割れ。もうひとりの胡涅のつがい。
「貴様、胡涅を独占するな」
「なら、朱禅も来いよ」
俺は胡涅の声を無視して朱禅を誘う。断ることなどありはしない。胡涅も朱禅も、結局はこのかたちを望み、落ち着いている。
夜叉は性質上、ひとりの女を複数の男が囲む。それはいい。互いに選んだ相手なら、執着も、独占も、俺が勝ち取る誇りが刺激になる。
何千年と生きるのだから、刺激があるほうが面白い。
「胡涅、朱禅も欲しくなったらしい」
わざと腕のなかに閉じ込めた胡涅の耳に吹き込む。ピクリと身体を震わせて、期待に満ちた興奮に潤む瞳が俺を見つめる。
その瞳に俺の青が映りこんで、胡涅は青い瞳も似合うなと想像して、思わず瞳をべろりと舐めた。
「ヒッ…にゃ゛」
「色気のねぇ声」
とび跳ねた胡涅の頬にキスをして、頭を撫でて、それから朱禅の腕にわたっていくその手を掴む。
「ャ゛…っだ……炉伯」
朱禅の腕のなかで俺の名を呼ぶ。抵抗に暴れる身体を朱禅が自分の方へ集中させようとしているが、それを邪魔するのもまた一興。
「指…噛みゃ……ぅ゛……ンッ」
一本一本、口内で味わい、咀嚼して、バラバラと動く胡涅の先を取り込んでいく。
本当に自分のなかで吸収できたら、どれほど幸せか知らない。
俺しか知らない身体。いや、俺たちか。
朱禅が嫉妬にかられて胡涅の息を止めにかかっている。それを見て、思わず「ふっ」と笑みがこぼれた。
「罪深いな、胡涅は」
俺たちをどこまでも魅了して、それなのに当の本人は無自覚と来てる。
つがいなどは面倒だと思っていたのに、早く胡涅を閨(ねや)に閉じ込めて、隔離したい気持ちにかられる。
「王はこんな感情を御前にむけながら、よくもまあ色々と許してきたもんだ」
「許せないから山になったのだろう」
はぁとため息を吐きながら満足そうな顔をした朱禅が、息も絶え絶えの胡涅の頬を指の背で撫でている。
「こんな愛らしい生き物を他者にやるなど、我には到底理解できん」
「器ってやつが違うんだろうよ」
「その点、炉伯は狭量だな」
「お前にだけは言われたくねぇ」
胡涅を誰かに許すなんざ、天と地がひっくり返ってもないといえる。
「胡涅、お前もぼけーっとしてたら痛い目見るぞ」
俺と朱禅の口付けひとつで溶けたような目をしている場合じゃないと切に告げる「ぅぬ?」などと、よくわからない鳴き声は可愛いが、これほど可愛いのだから数多くのオスが狙うだろう。
冗談じゃない。
しっかりと胡涅には自覚をもってもらわなくては困る。それほど無防備では、俺たちの体がいくつあっても足りない。
だから胡涅の気の済むまで、いまの生活を続けてやる代わりに俺は告げる。
「俺たち以外にその顔をさらしてみろ」
そのときは、問答無用で連れ去ってやると、胡涅の鼓膜を震わせる程度の低音で、俺はそっと笑みを浮かべた。
夜叉の愛は一途で、一度決めれば心変わりなどしない。惚れた女と会瀬を交わしたいと願う意味を込めて、俗に、肌に刻む花は「愛交花(あいこうか)」と呼ばれている。
愛交花を刻んだ男を女はバカにする。自分がその気になった男に、愛すべき別の女がいるのは心底気にくわないという嫉妬であればまだ愛らしい。が、夜叉の女はそんなにしおらしいわけではない。
女は気に入った男に、自分の花を刻ませて、どれほど愛されているかを競うものだ。すでに手付きの男に関心を抱くほど、女は暇ではないのだろう。
「つまらぬ男だな。肌に刻んで自慰にふけるつもりか」
ふと、記憶に残る断片を思い出した。
常に主導権を握る夜叉の女に、男は同じ愛交花を刻ませることを夢にみる。俺は愛交花を刻んだ女を見たことがない。特に、男を好き勝手に食したい気位の高い女は愛交花を刻む風習自体を馬鹿にしているといってもいい。
例えば、先の言葉を吐いた御前。
気位の高い女の代表格だが、愛交花を刻むことも刻ませることもない。俺たちの王ですら御前を意味する白藤の花を刻もうとしたとき、「王たるものが愛玩の証を刻むなど興が失せる」と冷めた態度で告げられて、諦めていた。
「ねぇ、炉伯」
「ん、なんだ?」
俺は腕のなかにすっぽりと収まる小さな体から発せられた声に意識を戻す。
あぐらをかいた中に座り、携帯でネットショッピングとやらに夢中になっていた胡涅が、何かを告げたがっている。
俺は見上げてくる胡涅の顔を見下ろして、その愛らしさに喉をならした。胡涅の体に愛交花を刻むことを考えただけで、たまらなく欲情が刺激される。
つがい。などと、一生得ることはないと思っていたのに、人生は何があるかわからない。
「これ、可愛いと思わない?」
「胡涅なら何でも似合う」
「……ねぇ、真剣に選んでよ」
「んー、どれ。貸してみろ」
俺は胡涅から携帯を受け取って画面を流していく。
先ほどは夢中になって服やカバンをあさっていたのに、どうやらうちの姫様は、俺の返事で購入を断念したらしい。好きなものを買えばいいといっても、胡涅は俺や朱禅の意見を聞いてから決定する。思わせぶりな態度も可愛いと思ってしまうのは、すっかり胡涅におぼれている証だろうなと俺は嘆息する。
それをどう受け取ったのか、胡涅はお気に召さなかったらしい。
「私に似合うやつ本気で探してる?」
ぷくっと頬を膨らませて俺にもたれかかる。
俺を自動ショッピング椅子とでも思っているに違いない。胡涅は大人しく座ったまま、俺が画面を操作するのをじっと待っている。
「これはどうだ?」
「じゃあ、それにしようかなぁ」
小さな頭が眼下でかたむき、伸ばした足の爪先が左右に揺れている。
機嫌は悪くないようだ。
腕に当たる柔らかな胡涅の頬が、まったりとした雰囲気のまま、俺にもたれかかっている。至福の時間。胡涅を独占できる時間を俺は何より大切に思う。
「ねぇ、炉伯。買い物楽しい?」
「んー?」
甘える声は構ってほしいという合図。自分で他のアイテムを探せと命じておいて、胡涅はすでに飽きたのだろう。
「胡涅は可愛いな」
「え、なに……急に」
「キスしようぜ」
俺は両手で持っていた携帯を左手に任せて、右手で胡涅のあごを首筋から持ち上げる。
それまで無警戒に預けていた胡涅の体がこわばって、ごくりとのどを鳴らしたのがわかった。
「………ンッ」
これが愛情表現だと胡涅はわかっていない。そもそも、胡涅はキスを薬か何かだとして、安易に受け止めている節がある。
体調が落ち着くだの、美味しいだの、言い訳は色々あるが、その根底には俺たちを男として見ていない理由が存在する。
「ふっ…ぅ…炉伯……」
胡涅が何か言いたそうな声を無理やり塞ぐ。
隙間のないほど唇を重ね、沸いた苛立ちを訴えるように、俺は胡涅から呼吸を奪う。奪って、奪って、奪い尽くさなければ気が済まない衝動に身を任せ、胡涅の手が徐々に俺にすがりついてくるのを期待する。
「胡涅、もっと寄越せ」
「そ……な、こ…と」
拒絶も拒否も許さない。そういう意図を込めて、俺は胡涅の小さな体をさらに小さく抱きしめていく。
つたない舌の動きを抑え、のどの奥の内壁を舐めれば、胡涅は簡単にえずき、震え始める。そのうち、弱々しい声で俺の名を呼び、泣き出すのが目に見えている。
「………炉伯…ッぅ…ぁ゛」
必死に応じようとしてくる無知な胡涅を、無垢な身体を、俺の好きにできる喜びにひたる。
嗚呼、可愛い。可愛すぎてすべて俺のものにしてしまいたい。花開く前に無理矢理こじ開けて、熟れてもいない蜜を最初にすすりたい。そんな欲にかられていく。
朱禅は俺と違って、簡単に股を開き「さあ、舐めろ」といわんばかりの手軽さを好むが、俺は誰も手をつけていない浅い味が好きだ。夜叉の女はよくも悪くも、行為の意味を求めてはいない。
だからこそ脱がせた男に愛交花があると、心底イヤそうな顔をするのだが、俺も朱禅も胡涅に出会うまではそんな顔を見たことはない。
それもそうだろう。
俺たちは、胡涅をつがいにすると決めたときに花を選び、自ら刻んだ。たった六年。俺たちの変化を知るものは少ない。
「…ッ…炉伯…ぅ……」
胡涅を自分の色に染めていくことができる。その事実がたまらなく俺を興奮させて、欲望がかきたてられる。
「ゃ……ッぅ……あたっ…て」
真っ赤な顔で小さく顔をそらせようとする胡涅を羽交い締めにして、俺はさらに布越しの感触を楽しむ。
「じっとしてろ」
俺から逃げられると、胡涅も本気で思っていない。不器用に腰を揺らし、本能で惑わせる胡涅が、いやがっていないことも知っている。
嗚呼、胡涅が愛しすぎて、壊してしまいそうになる。理性を押し退け、このまま永遠に閉じ込めてしまいたい。
「炉伯」
歯止めをかけるのは、いつだって赤い瞳を持つ男。俺の片割れ。もうひとりの胡涅のつがい。
「貴様、胡涅を独占するな」
「なら、朱禅も来いよ」
俺は胡涅の声を無視して朱禅を誘う。断ることなどありはしない。胡涅も朱禅も、結局はこのかたちを望み、落ち着いている。
夜叉は性質上、ひとりの女を複数の男が囲む。それはいい。互いに選んだ相手なら、執着も、独占も、俺が勝ち取る誇りが刺激になる。
何千年と生きるのだから、刺激があるほうが面白い。
「胡涅、朱禅も欲しくなったらしい」
わざと腕のなかに閉じ込めた胡涅の耳に吹き込む。ピクリと身体を震わせて、期待に満ちた興奮に潤む瞳が俺を見つめる。
その瞳に俺の青が映りこんで、胡涅は青い瞳も似合うなと想像して、思わず瞳をべろりと舐めた。
「ヒッ…にゃ゛」
「色気のねぇ声」
とび跳ねた胡涅の頬にキスをして、頭を撫でて、それから朱禅の腕にわたっていくその手を掴む。
「ャ゛…っだ……炉伯」
朱禅の腕のなかで俺の名を呼ぶ。抵抗に暴れる身体を朱禅が自分の方へ集中させようとしているが、それを邪魔するのもまた一興。
「指…噛みゃ……ぅ゛……ンッ」
一本一本、口内で味わい、咀嚼して、バラバラと動く胡涅の先を取り込んでいく。
本当に自分のなかで吸収できたら、どれほど幸せか知らない。
俺しか知らない身体。いや、俺たちか。
朱禅が嫉妬にかられて胡涅の息を止めにかかっている。それを見て、思わず「ふっ」と笑みがこぼれた。
「罪深いな、胡涅は」
俺たちをどこまでも魅了して、それなのに当の本人は無自覚と来てる。
つがいなどは面倒だと思っていたのに、早く胡涅を閨(ねや)に閉じ込めて、隔離したい気持ちにかられる。
「王はこんな感情を御前にむけながら、よくもまあ色々と許してきたもんだ」
「許せないから山になったのだろう」
はぁとため息を吐きながら満足そうな顔をした朱禅が、息も絶え絶えの胡涅の頬を指の背で撫でている。
「こんな愛らしい生き物を他者にやるなど、我には到底理解できん」
「器ってやつが違うんだろうよ」
「その点、炉伯は狭量だな」
「お前にだけは言われたくねぇ」
胡涅を誰かに許すなんざ、天と地がひっくり返ってもないといえる。
「胡涅、お前もぼけーっとしてたら痛い目見るぞ」
俺と朱禅の口付けひとつで溶けたような目をしている場合じゃないと切に告げる「ぅぬ?」などと、よくわからない鳴き声は可愛いが、これほど可愛いのだから数多くのオスが狙うだろう。
冗談じゃない。
しっかりと胡涅には自覚をもってもらわなくては困る。それほど無防備では、俺たちの体がいくつあっても足りない。
だから胡涅の気の済むまで、いまの生活を続けてやる代わりに俺は告げる。
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