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第10話★この世界のはなし
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往古、世界は混沌が渦巻いていた。
暗い時代が幾年も過ぎ、人々は争いが絶えず、魔物が徘徊し、誰もが絶望の縁にいた。それに心を痛めた偉大なる魔女エリスは、地上に四つの魔法、火、水、風、光を授けた。
魔女エリスから授かった魔法の力で、平穏な時代を手に入れた人間たちは、その恩恵を継承すべく、それぞれの土地で研鑽に励んだ。やがて知恵と才能あるものが集まり、街となり、国となり、現在では多数の国や地域が世界中で独自の歴史を歩んでいる。
エリーたちの暮らす王国シャルムカナンテも、そのひとつ。火の魔法の恩恵を元に築かれ、現国王ステファンとなって十五年。各国と連携し、平和な時代を送っている。
魔女エリスが魔法を授けてから1952年。魔法は生活に根付き、飛躍的に文化や文明を発展させてきた。そんな歴史に、一点の転機が訪れる。
それが、パクである。パクは、今からおよそ二百年前、シャルムカナンテ王国の南西で発見された。当時、広大な山岳地帯を茶畑にして財を成していたマトラコフは、新たに領地を開拓しようと踏み入れた山が、未発見の鉱石を産む鉱山だと知る。
元来、シャルムカナンテは島国であり、偉大なる魔女エリスが、最初に足を降ろした場所が島となったといわれている。そのせいかどうかはわからないが、魔物が少なく、肥沃した大地となっている。そのような土地で、魔法耐性のある鉱石は珍しい発見だった。魔石と呼ばれる石は、これまでにも発見されてきた。その多くが強い魔物の住む場所や秘境の地であり、容易く手に入るものでも、まして、流通するものでもなかった。魔石は力そのものを宿す代わりに扱いが難しく、高値で取引される反面、コレクション的な意味合いが強かったという。
そんなわけで、パク鉱山が発見された当初も、あまり期待はされていなかった。マトラコフの手記には「何もない結晶より温泉が涌き出て欲しかった」とあるくらい、当時は需要が見込めない残念な発見だった。
ところが、ある日、魔法を扱えないはずの使用人が、魔法を発動させた事案があった。それは小さなもので、いうなれば暖炉の火をつけた程度の話しだったが、発掘した鉱石に「魔法保管」の耐性があり、「魔法発動」の効果があることを示すには十分な出来事だった。以来、マトラコフは未知なる魔石の研究に没頭し、世界中にパクの恩恵を授けるまでに至った。
そうして伯爵の地位を賜り、王女と息子が結婚するなどし、あとは歴史が示すように、繁栄の血族としてその名前は確固たる地位に上り詰めたのである。
「オレが知ってるエリスクローズの世界そのものだな」
「えりすくろす?」
意気揚々と国のなりたちを語っていたエリーは、ぼそりと吐き出された父の言葉を拾う。
一人称も口調も違う雰囲気に圧されたのか、知りたいと全身で告げていても、エリーはそれを口にできずにいるらしい。不安げに揺れる瞳。その目に見つめられて、マトラコフ伯爵ははっと、意識を現実世界に戻してきた。
「お父さま、えりすくろすって何ですの?」
自分の知らないことは知らなければならない。なぜなら、これはエリーにとって「王子様との婚約」がかかっているからだ。とはいえ、父の「しまった」という顔は見過ごせない。エリーの好奇心が反応すれば、それは終わり。追求の手が伸びてくる。
「ねぇ、お父さま。えりすくろすって何ですの?」
こうなっては逃げるほかない。
「ねぇねぇねぇ」と鳴く小さな娘を無視することに決めたのか、伯爵はすっかり冷めたお茶をぐいっと飲み干すと、「そうだ、仕事があった」と一目散に部屋を飛び出していった。
「おとうさま!?」
またも置いてきぼりのエリーは、やはり最悪の日なのだろう。とはいえ、最悪のなかにいいこともある。
「お嬢様、リック様とハイド様からお届け物です」
父親を追いかけるために足を踏み出したエリーの前に、大きな箱を抱えたメイド。たぶん新しい人形に違いない。案の定、愛らしい人形と着せかえるには多すぎるドレスを贈られて、エリーの意識は完全に人形遊びに向いた。
一方その頃、エリーの猛攻を強制終了させた父親のヒューゴは自分の書斎に駆け込むなり、壁にある本棚を漁っていた。目当てのものは「マトラコフの日記」であり、早々にしてそれは見つかる。
「薄々そうじゃないかと思っていたが、本気でエリスクローズの世界とか、テンションあがるしかないってもんよ。なに、オレ、転生しちゃった。しかも推しのエリーたんの父親に、ああ、やばい。興奮してきた。落ち着け、オレ、落ち着け」
ペラペラと日記をめくりながら、ヒューゴは室内を巡回する。そして、机からペンと紙を取り出し、ドカッと椅子に座って、なにかを綴り始めた。
「乙女ゲーム『 エリスクローズ 』は、魔法が廃れた時代に生まれた魔女エリスの再来と呼ばれる少女と四人の攻略対象者たちの恋愛ゲーム。たしか、攻略対象はアーノルド王子と魔導師ロタリオ、魔獣騎士ディーノと繁栄の血族ハイド。どのルートでも悪役令嬢としてエリーたんが登場して、王子ルートでは断罪後に国外追放、魔導師ルートでは断罪後に死亡、騎士ルートでも断罪後に死亡、兄ルートでは行方不明という名の幽閉。うぅ、エリーたんが生き残る道は王子か兄、にしても鬼畜過ぎるぞ、運営。エリーたんは純粋で馬鹿なだけだ。そこが可愛いんだけど。マジで可愛い。ああ、ヤクザが乙女ゲームを愛して何が悪い。エリーたんの魅力を世に知らしめるために、夜な夜なゲームに明け暮れ、組のもんに笑われながら公式設定集や同人誌を読み漁り、そして、ついに、エリーたんが幸福になれる裏ルートがあるらしいという情報を手に入れて、そう、オレは抗争に巻き込まれて死んだ」
がっくりと、肩を落として、伯爵の姿をした別の誰かは、ペンを置く。紙に殴り書きされた相関図が、まだ見ぬエリーの将来を示していた。
暗い時代が幾年も過ぎ、人々は争いが絶えず、魔物が徘徊し、誰もが絶望の縁にいた。それに心を痛めた偉大なる魔女エリスは、地上に四つの魔法、火、水、風、光を授けた。
魔女エリスから授かった魔法の力で、平穏な時代を手に入れた人間たちは、その恩恵を継承すべく、それぞれの土地で研鑽に励んだ。やがて知恵と才能あるものが集まり、街となり、国となり、現在では多数の国や地域が世界中で独自の歴史を歩んでいる。
エリーたちの暮らす王国シャルムカナンテも、そのひとつ。火の魔法の恩恵を元に築かれ、現国王ステファンとなって十五年。各国と連携し、平和な時代を送っている。
魔女エリスが魔法を授けてから1952年。魔法は生活に根付き、飛躍的に文化や文明を発展させてきた。そんな歴史に、一点の転機が訪れる。
それが、パクである。パクは、今からおよそ二百年前、シャルムカナンテ王国の南西で発見された。当時、広大な山岳地帯を茶畑にして財を成していたマトラコフは、新たに領地を開拓しようと踏み入れた山が、未発見の鉱石を産む鉱山だと知る。
元来、シャルムカナンテは島国であり、偉大なる魔女エリスが、最初に足を降ろした場所が島となったといわれている。そのせいかどうかはわからないが、魔物が少なく、肥沃した大地となっている。そのような土地で、魔法耐性のある鉱石は珍しい発見だった。魔石と呼ばれる石は、これまでにも発見されてきた。その多くが強い魔物の住む場所や秘境の地であり、容易く手に入るものでも、まして、流通するものでもなかった。魔石は力そのものを宿す代わりに扱いが難しく、高値で取引される反面、コレクション的な意味合いが強かったという。
そんなわけで、パク鉱山が発見された当初も、あまり期待はされていなかった。マトラコフの手記には「何もない結晶より温泉が涌き出て欲しかった」とあるくらい、当時は需要が見込めない残念な発見だった。
ところが、ある日、魔法を扱えないはずの使用人が、魔法を発動させた事案があった。それは小さなもので、いうなれば暖炉の火をつけた程度の話しだったが、発掘した鉱石に「魔法保管」の耐性があり、「魔法発動」の効果があることを示すには十分な出来事だった。以来、マトラコフは未知なる魔石の研究に没頭し、世界中にパクの恩恵を授けるまでに至った。
そうして伯爵の地位を賜り、王女と息子が結婚するなどし、あとは歴史が示すように、繁栄の血族としてその名前は確固たる地位に上り詰めたのである。
「オレが知ってるエリスクローズの世界そのものだな」
「えりすくろす?」
意気揚々と国のなりたちを語っていたエリーは、ぼそりと吐き出された父の言葉を拾う。
一人称も口調も違う雰囲気に圧されたのか、知りたいと全身で告げていても、エリーはそれを口にできずにいるらしい。不安げに揺れる瞳。その目に見つめられて、マトラコフ伯爵ははっと、意識を現実世界に戻してきた。
「お父さま、えりすくろすって何ですの?」
自分の知らないことは知らなければならない。なぜなら、これはエリーにとって「王子様との婚約」がかかっているからだ。とはいえ、父の「しまった」という顔は見過ごせない。エリーの好奇心が反応すれば、それは終わり。追求の手が伸びてくる。
「ねぇ、お父さま。えりすくろすって何ですの?」
こうなっては逃げるほかない。
「ねぇねぇねぇ」と鳴く小さな娘を無視することに決めたのか、伯爵はすっかり冷めたお茶をぐいっと飲み干すと、「そうだ、仕事があった」と一目散に部屋を飛び出していった。
「おとうさま!?」
またも置いてきぼりのエリーは、やはり最悪の日なのだろう。とはいえ、最悪のなかにいいこともある。
「お嬢様、リック様とハイド様からお届け物です」
父親を追いかけるために足を踏み出したエリーの前に、大きな箱を抱えたメイド。たぶん新しい人形に違いない。案の定、愛らしい人形と着せかえるには多すぎるドレスを贈られて、エリーの意識は完全に人形遊びに向いた。
一方その頃、エリーの猛攻を強制終了させた父親のヒューゴは自分の書斎に駆け込むなり、壁にある本棚を漁っていた。目当てのものは「マトラコフの日記」であり、早々にしてそれは見つかる。
「薄々そうじゃないかと思っていたが、本気でエリスクローズの世界とか、テンションあがるしかないってもんよ。なに、オレ、転生しちゃった。しかも推しのエリーたんの父親に、ああ、やばい。興奮してきた。落ち着け、オレ、落ち着け」
ペラペラと日記をめくりながら、ヒューゴは室内を巡回する。そして、机からペンと紙を取り出し、ドカッと椅子に座って、なにかを綴り始めた。
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