私の音楽

まろ

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始まりの音楽

4月

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1.
 窓から優しい光が差し込む。開くことを拒む目を無理やり開けた。春らしい陽気な天気だ。ふらつく足で洗面所に行く。鏡に映る自分は今日から中学生とは言えないくらい寝ぼけた顔をしていた。
 新しい制服に腕を通す。少し大人びた制服と釣り合ってない自分がおかしくて笑みが溢れた。
「ご飯食べていくよー」
親の声に返事もせず階段を降りる。今日の朝ごはんもおにぎりだ。ふりかけの味が強い、いつもの味。入学式に向けて緊張していた心が気持ち和らいだ気がした。
 車に揺られる。いつもの見慣れた景色が新鮮に感じた。しばらくして新しく通う学校が見えてきた。近づくと人がいるのがわかった。学校前に集う人の量に驚いていると母が降りていいよと言った。ドアを開けるのを少し躊躇いつつ遠くに見つけた知り合いの背を追うように一歩踏み出した。
「おはようー!」
聴き慣れた声に振り返ると、そこにいたのは小学校からの友人であるかれことさっこだった。
「おはよ」
少しほっとしつつ軽く返事をする。少し辺りを見回すと玄関に人が集まっているのに気づいた。
「あこ、人多いね」
「クラス表じゃないかな~?」
クラス表という言葉にまた緊張が戻ってくる。誰も友人がいなかったらどうしよう、そんな考えても仕方のないことが頭を駆け巡る。
「見に行く?」
僅かにうなずく。人混みをかき分けてクラス表をみる。なかなか名前が見つからない。それもそのはずだった。5クラスもある中の5組に私の名前があったからだ。今まで2クラスしかなかった私からすると5という数字はとても大きく感じた。他に誰がいるのだろうかと目を下へと動かす。驚くことにそこにはかれことさっこの名前があった。2人も名前を見つけたようで嬉しそうにこちらを見てきた。
「よかった~知らない人ばっかりだとどうしようかと思ってたからほっとした。」
そういうかれこの隣でうなずくさっこ。3人とも同じ気持ちのようだ。
「ウチもだよー嬉しいー!5組って新鮮だね!」
ほっとしたせいかわずかに声のトーンがあがる。もう躊躇う必要もなくなり私たちは教室へと足を早めた。教室へ入ろうとした時に聞こえてきた話に足を止める。
「ねぇねぇ5組の先生中川って言うらしいよ」
「え、中川?」
「そうそうなんか大阪で虐待したからこっちにとばされたとか」
好きなこと言ってるなあ、そうおもいながら2人の方をむくとかれこもさっこも不安そうな顔をして
「うちのクラスの担任じゃありませんように」
と呟いていた。まぁいいやと思いつつ無視するのもあれなので
「怖いね」
とだけ言って教室に入った。黒板に貼られた座席表を見て周り話せそうな人が一人もいないことと同姓同名でない限り保育所の時仲が良かった子か近くにいることを確認して席に着く。かれことさっこは苗字の関係で席が近いようだ。少し羨ましい。
 時間はまだあるみたいだったので他のクラスをチラッと見てまわることにした。ほとんど知らない人ばかりだったが昔仲良かった子とかにも会えてそこそこいい時間になった。
 教室に戻り先生を待っていると保育所の頃の友達が話しかけてきた。
「まひろーーー!同じクラスとかめっちゃ嬉しいんやけど!全然変わってないね!」
「まひと一緒って知ってびっくりしたー」
私をまひろと呼ぶのはあいかで、まひと呼ぶのは、、、。あいかは全く変わってないからすぐにわかったがもう1人の方は正直わからなかった。私をまひと呼んだのはりこだ。容姿は変わってないが性格があまりにも変わっていて驚いた。6年という月日はやはり結構長いみたいだ。
「あいかはすぐ分かったけど、りこわかんなかったよ~変わったねー!」
「よく言われるー保育所の頃は全然話さなかったからね~」
「そうだよね、すごい大人しいイメージだったもん」
「なんか3年生の時のクラスがやばすぎてウチもこんなんになった~」
本当に驚く。人ってこんなに変われるんだなと。話が盛り上がってきたところに入ってきたのは結構年配の色黒眼鏡。おまけに怖そうな先生だった。嫌な予感。その予感はその人が名乗ると同時に形となって現れてしまった。
「5組を受け持つことになった、中川と言います。」
噂をたてられてもおかしくない容姿と話し方だった。まさか、本当にいるとは。しかも、担任。波乱な1年になりそうだ。入学式の説明もよく頭に入ってこないまま本番を迎えることになった。

 「新入生入場」
拍手が響く体育館には思っていたよりも多くの人がいた。1組から順に入場していく。入場が近づくにつれて吹奏楽部の演奏が聞こえてきた。明るい感じの曲だ。不思議と気分も上がる。さあ、いよいよだ。前の人に合わせて歩き始める。両脇に先輩がいるというのは恥ずかしくもあり、怖くもあり、変な歩き方になっていないかとドキドキしながら進む。やがて全員が入場し終わり演奏が止んだ。そこからはとにかく長かった。名前を呼び上げるのにも177人もいるものだからとても時間がかかる。我慢強さが試されている気がした。途中からは知ってる人の名前を探そうとなんとか楽しみを見つけてなんとかこの時間を過ごそうと努力した。まぁ、変わった名前も多くてなかなか楽しかったのだが。問題は校長先生の話だ。壇上に上がったのはいかにも校長先生という見た目の先生だった。きっと長いだろうな…。と思っていたのだが、意外と短くて拍子抜けした。校歌は入学説明会である程度聞いていたのでなんとなくで歌うことができた。これからここでどんな物語を作っていくのだろうかと少し楽しみに思ったのは私だけの秘密にしておこう。
「新入生退場」
同じように拍手が鳴り、吹奏楽部の演奏が流れる。やっぱり両脇に先輩がいるのには慣れなかった。

 これで帰れるのかというとそういうわけでもないらしく今から色々と配布物が配られる。教室に行くと机上によくわからない書類やら生徒手帳やらが置かれていた。説明を聞く限り自転車の申請書とか、アレルギー調査とかで提出しなければいけないらしい。忘れそうだな…。ふと生徒手帳に手を伸ばしてパラパラっとめくってみた。校則とかがたくさん並んでいる。卒業までに全部読むことはないだろうななんて考えながら裏を見ると性別のところが男になっていた。またかよ。心の中でツッコミを入れる。そう、私は名前の響きや漢字が男の子っぽい関係上よくこういった間違いをされるため既に慣れていた。しかし、中学校の生徒手帳まで間違われると思っていなかったため少しイラっとはした。
ー後で先生に言うか…。正直、初日から目立つ行動は取りたくなかったんだけど…。ー
仕方ないと気持ちを落ち着かせて校章を手に取る。小さくてすぐ無くしそうだが、今まで校章が無かったこともあり少し嬉しく思った。
 話も終わりやっと帰れる時間になった。私は中川先生のもとへと行き生徒手帳の件について話した。
「あの、すみません。生徒手帳の性別のところ男ほうに丸ついてて。」
「ああ、これは失敬。名簿に性別書いてないからわからなくてね。書いてくれてたらいいのにね。まぁ、大丈夫。こんな時のために消せるボールペンにしてあるから。」
いやいや。ドヤられても。っていうか全然綺麗に消せてないし、むしろ汚くなってるし。とまたまた心の中でツッコミを入れ
「ありがとうございます。」
と一応お礼を言っておいた。これが私と中川先生との初めての会話。

 「お待たせー!」
帰り、待っててくれたかれことさっこに生徒手帳を見せながらさっきのことを愚痴る。
「それは酷いね。」
「だよね!よくある間違いだけどまさか中学校に入ってからもあるとは、びっくりだよー」
後で親にもこの話しようとか考えながらこれからの中学校生活についての話をした。外に行くと、今日はみんな車で送迎だったため先に待っててくれた親がいた。親たちも何か楽しそうに話しているようだ。きっと同じクラスでよかったわみたいな話だろう。
「お疲れー!よかったねみんな同じで~」
ほらね。
「ただいま。よかったよ、ホント。安心安心。」
「これからよろしくね、まひろちゃん」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。」
「じゃあ、うちはこれで」
いつもと変わらない別れの挨拶を交わし家に帰る。車内では誰と同じクラスだったとか、担任の先生の話とかをとにかく早口で両親に伝えた。楽しそうならよかったねと私よりも楽しそうに母はいった。
 家に着くとすぐに寝転んだ。
ー今日は本当に疲れたなー
目を閉じて今日一日をふりかえる。気付いたらそのまま眠りについていた。

2.
 初登校の日。めんどくさいわぁとか思いつつ自転車にまたがってみる。小学校とは違って少し高いサドルから見渡す田舎の風景は優しくて不思議と力に満ちていた。
「陽のあたる坂道を自転車で駆け登る」
今日の日にぴったりなかの有名曲を歌いながら自転車をこぐ。が、数分たった時点でいつも自転車に乗らない私はへとへとになった。
ーきつ…。これ学校までもたないのではー
とか思いながらもう一度足に力をいれる。学校に着く頃には足がパンパンになっていた。
ー帰りも同じ道帰るの?もう無理…ー
「おはよう!」
「おはよ」
今日もいつものメンバーといつもの挨拶それが嬉しかった。
 教室に入ると同じ小学校の子たちで集まって話をしていた。私たちとは違う小学校の子たちで少し怖いなって感じる。登校時刻ギリギリだったし席に着いた方がいいかなと黙って座る。すると不意に後ろから声を掛けられた。
「ねぇねぇ!名前なんていうん?めっちゃ目めっちゃ綺麗やね!」
普通に驚いた。確かに目は結構茶色くてよくいわれるけど、そんないきなり明るいトーンでいわれるとは思ってなかった。
「まひろです。ありがとう。」
私はいつも通り人見知りを発動させながら返事をする。
「まひろちゃんかー!ウチすずとか好きに呼んで!よろしく~」
「わかった。よろしくね。」
すずが何か言おうと口を開きかけたその時。中川先生が入ってきた。
「おはよう。」
先生の挨拶はすごくゆっくりしていてなんていうかツッコミどころ満載だった。この挨拶マネする生徒出てきそう。朝の時間は小学校とそんなには変わらなかった。

 学活以外の初めての授業は英語だった。しかも、英語で自己紹介という内容で。自己紹介が苦手な私は気分が下がる。
「名前と入りたい部活、後好きな食べ物にします。」
英語でというところを除けば普通の自己紹介だ。
私は出席番号10なので結構早くまわってきた。発音はよくないがなんとか止まらずにいえた。自分の番が終わってしまえば、後は聞くだけなので楽だ。まぁ聞いているようで聞いていないのだが。結局、誰一人として名前を覚えることが出来ないまま授業は終わってしまった。

 時は平和に過ぎていき給食タイムがやってきた。なんと中学校からはランチルームではなく、教室で食べるらしい。心なしか気分があがる。ギリギリ給食当番にはならなかったようだ。いきなりはきつい。
「いただきます。」
給食自体は小学校と変わりないが環境が違うと緊張してしまいあまり給食の味がしなかった。
♪~
急にBGMが鳴り全員いっせいにスピーカーをみる。
「皆さんこんにちは。放送部です。」
お昼の放送か。すごい。本当にあるんだ。と感心しながら周りをみるとみんなも驚いた顔をしながら話していた。その後は、話す相手もいないしでひたすら無言で給食を食べ続けた。いつもより早く食べ終わったのはそのせいだろう。

 午後の授業はコンピューター室であった。コンピュータ室に入ると急にすずに抱きつかれてただただ驚いた。
 PCの授業もパスワード設定とかで終わったし、今日1日はとても楽だった。
ー明日からはそうでもないんだろうなぁ、、ー
なんて残念に思いながら帰りの支度をして廊下を歩く。
「あ、まひろちゃん!まひろちゃんめっちゃ目綺麗なんだよ!ね!」
大きな声の明るいトーンで話しかけてきたのはすず。本日3回目かな。ね!っていわれても、、、隣の友達も反応に困ってるのでは。とりあえずにこにこしておこう。
「じゃーねー!また明日!」
目の話しかしないのか。ウチも話繋げようとしなかったし仕方ないかな。そう思って少し緊張しながら
「バイバイ」
と一言。またあの長い道を帰るのかと憂鬱な気持ちを抱えつつ自転車を漕ぎ始めた。

3.
 初日のあの日から二週間くらいがたった。新入生テストも終わりひと段落。と思いきや部活動を決めなければならないらしい。今日は今から部活動紹介が体育館である。部活はまだしっかりとは決めてないけど運動部は走らなければならないから嫌だ。わくわくしながら待っていると先輩達がそれぞれのユニフォームに着替えて出てきた。1年生は目を輝かせてどの部活に入ろうかとキョロキョロしている。私も同じように見渡した。やっぱり一際目を引くのは吹奏楽部である。キラキラ輝く楽器に目を奪われる。
 部活動紹介は順調に進んでいった。どれも楽しそうではあるがありきたりな感じであまり興味はわかなかった。
ーなんだろう。もっとこう、他とは違う感じのー
そう思っていた矢先、吹奏楽部が前に出てきた。
紹介を聞くのに疲れてきていたはずなのにその紹介を見た途端吸い込まれた。輝く楽器から出る音。演奏しながら動く人々。そしてその度に変わるフォーメーション。今まで見た事ない光景に思わず息を飲む。明らかに他とは違った。しかし、これだ!とならなかったのには色々理由があった。まず、練習がきつい上に先輩が怖いという事だ。先輩というものには幼い頃から良いイメージがない。そのため特に先輩と仲良くできるかどうかは私にとって重要な事なのである。また、フェンシングとの両立が厳しいというのも理由の一つである。吹奏楽は1人が抜けるとバンド全体にとても迷惑がかかる。しかし、幼い頃から続けてきたフェンシングをやめるという選択肢は私にはなかった。そんなこんなで色々悩み続けてとりあえず、全部活動の見学に行くことにした。

 あれから一週間ほど経ち今日は見学2日目である。ちなみに1日目には吹奏楽部以外の全部活動を見学してしまったため今日はゆっくりと吹奏楽部をみることができる。正直に言うとフェンシングをどうするかもまだ決めていないのに吹奏楽に夢中になってしまいそうで今日の見学は不安感からあまり気乗りしなかった。そういえばそうと
「まひー!迎えに行くね~!」
そう朝っぱらから能天気に言ってきた私の友であり変人のゆうがまだ迎えにこないのだが…。仕方ない。私から迎えに行くとするか。
 ゆうには小学生の時から吹奏楽部に誘われていた。フェンシングのことがあった私はいつもそうだなぁという感じにはぐらかしてきた。
「遅いから迎えにきたよ。」
「ごめん!帰りの会遅くってさぁー。」
「はいはい。わかったから。行くよ。」
 階段を登るたびにキラキラした音が聞こえてくる。期待と興奮が大きくなる。音楽室に入ると見たことのない楽器に囲まれていて目が回りそうになる。親がサックスかっこいいよって言ってたけどどれだろ。そうこうしてるうちに曲紹介が始まった。
「今日は来てくれてありがとうございます。1曲目はマーチ、空のエース、2曲目は花は咲くです。どうぞお聞きください。」
その言葉が終わるとほぼ同時に前に立っている小柄で細身の女の人が指揮棒を振った。
ーん?なんか見たことあるな…。……あ…!一年生の担当で4組の担任の先生だ。へー。吹奏楽部の顧問なんだー
この時は舐めていた。見た目で判断した私が馬鹿だったと後に気付くのである。
 指揮棒に合わせて様々な音が聞こえては消え聞こえては消えを繰り返す。マーチと言うだけあって、明るくて今にも歩き出しそうなメロディは見学の1曲目にふさわしかった。2曲目はマーチとは反対に優しく温かい音から始まる。誰もが知っている名曲だ。歌うようにして奏でられる音は不思議と私の心を包み込んでいくような気がした。
 ーダメだ。やっぱり入りたくなっちゃうー
ダメだと思ってはいるがやはり体験したくなってしまう自分を呪いたくなる。結局、体験してから決めることにした。
 トランペット以外の楽器の名前を知らない私はとりあえず見学でやってみたいと思った金色の音がよく聞こえる楽器とずっとやりたかったトランペットのどちらかを優先的に、全部の楽器を回ることにした。上手いかどうかは別としてどの楽器を吹いても音を出すことはできた。個人的には気になっていた楽器「サックス」、正式には「サクソフォン」が1番吹きやすくて楽しかった。パーカッションは私にはセンスがないようだ。人が殺到していたトランペットには明日いくことにした。次の日、昨日音が出せなくて悔しかったフルートと相変わらず人が殺到しているトランペットを体験した。フルートは一応音を出すことに成功したし、トランペットもそこそこ音が出た。
 この2日間で迷いも吹っ切れ、吹奏楽部に入部することを決意した。入部届けを提出する手には少し力が入っていた。
 今日も音楽室からは「始まりの音楽」が流れていた。



 
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