日本と皇國の幻争正統記・好色秘伝

坐久靈二

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外伝『選良魂殺』

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 たけづきが時折無断で外出することは公然の秘密となっていた。
 彼女は頻繁にる人物から呼び出され、秘密の待ち合わせ場所へ向かうのだ。
 それは繁華街の片隅にある小さな建築物の、とざされた地下室だった。
 呼び鈴を押して合言葉を口にして、限られた者だけが通される秘密の部屋である。

「いつも済まないね、突然呼び出して……」
「いいえ、うしざわ少将あってのわたしですから」
「おいおい、では階級で呼ぶのは無しだといつも言っているだろう」
「申し訳御座いません、御主人様」

 づきは全裸になって一人の中年男の前に立っていた。
 実のところ、あれ程の失態を重ねたづきが一階級の降格で済み、いまなお軍に在籍して個室まで与えられているのは、このうしざわたけし少将の計らいが大きかった。
 その代償として、彼女は彼がこの場所で取り仕切る催しのために頻繁に呼び出されているのだ。

「では、今日の台本だ。しつかりと演じたまえ」
「はい……」

 づきうしざわから十枚程の用紙を受け取った。
 そこにはこれから彼女が演じるべき役割が事細かに記されている。

「これはっ……!」
「今日のは会心の出来だ。何より、これを心から演じられるのはきみを置いて他に居まい」

 づきは顔をらせた。
 台本に書かれていたのは次の通りである。

 かつて強くて気高かった女将校。
 しかしそれも昔の話、敵に不覚を取って以来戦えなくなった彼女は、軍の性処理肉便器として自分の部下だった男達の慰み者にされているのだった。
 今日も彼女は、大勢の男達の前でびを売り、自分の体を好きな様に使ってもらうのだ。

「まさかこれは……そのままわたしのことでは……?」
「今日の客達にきみのことを話したところ、是非にというのでな」

 うしざわはそう言うと手をたたいた。
 すると部屋の奥から十人程の男達が現れた。
 づきあおめる。
 誰も彼も、皆見知った顔だったからだ。

「お前達っ……!」
「おいおい、上官に向かって何だその言葉は?」

 現れたのは皆、士官学校でづきの同期だった男達だ。
 とはいえ、首席を争った相手ではなく、歯牙にも掛けなかった凡夫共である。
 しかし、それでも彼らは先の動乱でそれなりに功を立て、中尉に昇格していた。
 つまり、降格した彼女は逆転されて追い抜かれたのだ。

「此処では……軍の階級の話はしないはずでは……?」
もちろん、そうだよ。だからこれはあくまで演技だ。きみは役割として、彼らを上官として敬わなければならないというだけさ」

 うしざわは下卑た笑みを浮かべていた。
 男達も、づきを完全に見下してさげすんでいる。

「ううぅっ……!」

 づきの体の芯が熱くなる。
 嘗て見下していた同期に追い抜かれた自分の惨めな境遇と、逆らえない立場を思うと、快楽を求めてうずいてしまうのだ。

「おい……」

 そんな中、一人の男がづきの股をいじる。

「こいつ、れているぞ」
「何? 何だかんだ言って、すっかりばいが板に付いて期待しているんじゃないか」

 男達から嘲笑が漏れる。
 それが一層、づきにはたまらなかった。

(やめろ……わらうな。嗤わないでくれ……)

 そんなづきの内心など知ったものではない彼らは、とんでもないことを言い出した。

「こいつはちょっと、根性をたたなおしてやらねばならんな」
「そうだとも。おれ達の手で精神を注入してやろう」
「え?」

 男達はそう言うと、一人ずつづきの腹を殴った。

「うげっ!! ごぇっ!!」
「そぉら、もう降参か? あのお高くとどまってたたけづき様が、情けないもんだな!」
流石さすがはんぎやく者に泣いて許しを懇願した根性無しだけのことはある!」

 づきは驚いて膝から崩れ落ちた。
 どうして知っているのだろう。
 そのことは、うしざわと二人だけの秘密の筈だ。

「此処の参加者にはきみの事情と匿名で送られてきた映像を共有しているよ。彼らの口は堅いから安心し給え」

 うしざわは事も無げにそう告げた。
 あのざまな醜態・痴態を全て知っているのなら、同期の男達が彼女を蔑むのも当然だ。
 運良く機密をしやべらずに済んだだけで、実質売っていたのだから、そんな彼女を彼らが足蹴にするのもうなずける。
 十人程の男に踏み付けにされた彼女は、ただただ許しを乞うしか無かった。

「ごめんなさい! ごめんなさい!! わたしは落ちこぼれです! 根性無しの雑魚ざこです!! 調子に乗って済みませんでした! 勘違いして申し訳御座いませんでした!!」

 暴行を受け続けるづきは、何処どこか満たされていた。
 暗い快楽が体の芯から込み上げて来る。
 この感覚、あの時以来だ。
 今この場で味わっている苦痛・恐怖・屈辱・屈服はあの時以来のものだ。

「おおっ!! おおおおおおっっ!!」

 づきは体を激しくけいれんさせ、股から潮を吹いた。

「うわ、マジか! たけやつイッちまいやがった」
はや人間じゃないな、こいつ。豚ですらここまで無様じゃない。畜生以下の惨めな生態をしたそういう生き物だ」
「こんな奴が士官学校時代はおれ達に偉そうにしてたなんてな」

 幸いにして、あまりの醜態にドン引きした同期達は暴行をやめてくれた。
 づきは汚辱に満ちた余韻に浸り込む。

「ほら、起きろ。いつまで寝ているんだ」
「起床だ、起床」
「は……い……」

 づきは促されるままに立ち上がった。
 そんな彼女に、うしざわが命令を下す。

「では、台本にあったあの台詞せりふを言ってみ給え。仕草も忘れずにな」
「承知……いたしました……」

 かなしいかな、づきは優秀だった。
 台本に書かれていた内容を、あの一瞬で完璧に覚えてしまえた。
 うしざわや同期達の下卑た視線が突き刺さる中、彼女は動く。

「ふぅぅーッ……、ふううぅぅぅーッッ……」

 づきひどく興奮しながら、頭の後ろに手を組んだ。
 更に、足を開いて膝を曲げ、腰を大きく前に突き出す。
 みっともないその姿勢は、所謂いわゆるがにまたというやつだ。
 づきはその姿勢のまま腰を振り、媚びた笑顔を浮かべながら大声で台詞を読み上げる。

「本日はっ! 調子に乗って敵に完全敗北した上っ! 恥知らずにもおめおめ戻ってきたっ! 無様な負け犬女の為にっ! お集まりいただきっ! ありがとうございまぁすっ!! どうかわたしのっ! 落ち零れくそ雑魚ざこ雌穴マンコにっ! 皆様の優秀肉棒オチンポ様をお恵みくださぁいっ!! なぶられてっ! 興奮するっ! 売女をっ! 犯しまくってっ! 惨めにっ! ガチイキ痙攣絶頂させてくださぁいっっ!!」

 嘗ての自分からは考えられない痴態を演じるづきは、腰を振るその度に下品にひろげた秘部から汁を噴き出していた。
 彼女はこの夜、あの時のりようじよくを超える暗い悦楽に全身を浸らせ、汚物のらくいんで肌を埋め尽くされる様な感覚に溺れた。
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