最強の悪役令嬢、現代日本の女子高生と入れ替わる!?~今度こそハッピーエンド勝ち取ります~

K

文字の大きさ
3 / 8

3.悪役令嬢、魔法を披露する

しおりを挟む
「…というわけで、わたくしはプロメリア王国の公爵令嬢カリン・オルコットなのだわ!」
とりあえず、弟(仮)に事情を説明する。
弟はパチパチとおざなりな拍手をした。
「ねーちゃんが頭おかしくなったことは、わかった。バイト先には俺が電話しとくから。ネット小説でも読んで休んでな。」
全然信じてもらえないわ…。
あと、知らない単語がでてきて混乱する。ネット?バイト?
「ネット小説ってなんなのかしら?小説の意味はわかるのだけれど。」
ガタッ 聞いたとたん弟が心底驚いた顔で距離を取った。
「お前ねーちゃんじゃないな!」
「さっきからそう言ってるわ!」
「あの、小麦粉を量ることと、ネット小説を読むことしか趣味がないねーちゃんがネット小説のことを忘れるはずがない!お前は偽物だ!」
なんだか体の主がかわいそうになってきた。
自分も魔法と読書くらいしか趣味はないのだが。
「ともかく、これで信じてくれたわね」
「あぁ、お前の言葉を一旦は信用してやる。これからお前のことは『人の姉の体を乗っ取ったカレン・オルなんちゃら』略して『偽ねぇ』と呼ぼう!」
「略せてないし、不敬だわ!」
…まぁ、「裏切りの令嬢」よりかはマシかしら。
「そう言えば、名前を聞いていなかったわね…えっと」
「本田 文也、文也でいい。お前を夏蓮ねーちゃんの体から追い出すまで、よろしくな。」
「よろしく。フミヤ。」
一旦、協力者を得られて、ホッとする。
肩の力が抜けた気分だ。
フミヤの方はといえば、なにやらもじもじしていた。
「あ、あのさ。お前異世界から来たんだよな?」
「ええ。」
フミヤの顔が年相応の少年らしくなる。
「じゃ、じゃあ魔法とかあるのか!?」
え!?
「この世界って魔法はないのかしら!?」
向こうでは、基本一人一種類魔法がつかえる。
魔法の種類は精神に依存するという。わたくしは炎。珍しい魔法だ。
魔法を鍛えれば威力が上がるが、一生魔法を使わなかったり、自分の魔法をしらなかったりする人もいる。
「やっぱ使えるんだ!なぁ!偽ねぇ、見せてくれよ!」
キラキラした瞳を見ると断りづらい。というかすごく見せたい!
「いいわ!わたくしの最強の炎魔法を見せてあげる!」
深呼吸をする。空気中の霊力を吸い上げる。力を指先にこめる。だんだん、指先が赤く、熱くなってきた。
(魔法は隠れてずいぶん鍛えたものね。勢いがつよすぎて屋敷の小屋を全焼させたっけ…ってあれ?)
血の気がサーッとひく。ここは、室内。
「いけないわ!いけないわ!いけないわ!」
止めようとしたが、もう遅い。

炎は放たれた。
「ぎゃわー!」
令嬢にあるまじき声をあげて、思わず目をつぶる。
ポッ
何かが優しく灯ったような音がした。おそるおそる目を開けると
「すげー!偽ねぇ!炎でた!…ライターレベルの小ささだけど!」
指先に小さく炎が灯っていた。
良かった…。
「この世界、土地の霊力がちいさいのね…」
「土地の霊力、って何?」
「魔法を使う時にその土地の聖霊から借りる力よ。この世界は霊力がすごく小さいみたい。
わたくしは生まれつき自分の魔力が強かったから炎がだせたけど、普通の人ならまず無理ね。」
得意げに語ると、先ほどまでのなめ腐った態度は嘘のように、フミヤが尊敬の眼差しで見つめてくる。
子供って単純だわ!
でも、別に悪い気はしない。
(これまで、炎魔法を鍛えて褒められたことなんてなかったような気がするわ…)
「裏切りの令嬢」
そう呼ばれるようになったのも、炎の魔法が原因だ。
プロメリア神話には、「裏切りの魔女」が存在する。彼女は取り立ててくれた神々を裏切り、人間世界で悪逆の限りをつくした。最終的に異世界から来た聖女に退治されるその日まで。
その魔女が「炎」と「精神」を操っていたらしい。
(だから裏切りの令嬢だなんて、バカげてるわ)
おかげで、魔法の練習もさせてもらえずさんざん!隠れて練習していたものの、誰にも披露出来なかった。
でも…
「偽ねぇ、凄いよ!かっこいい!」
初めて報われた気がする。
本当に単純な子供。
とりあえず、フミヤの頭をわしゃわしゃなでておく。
「いて!なにすんだよ!」
「もし、わたくしがプロメリア王国に戻れたら、取り立ててやってもいいわ!」
「いみわかんねー」
そのために、やらなきゃいけないことが沢山ある。
転生の原因を探って元に戻らなければだし。
国外追放を阻止しなければだし。
あの女の秘密を探らなければならない。
…でもその前に
「この世界を満喫してからでもいいかしら?」
面白そうで、仕方ないわ!
探索してみたい!
「それはいいけどさ、偽ねぇ明日学校だぞ!」
はい?学校…!?
「学校には俺はついてけないし、一人で頑張れよ」
「い…いきなり、ピンチだわ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...