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27.三日目・解決編(1)
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ゲーム内時間で三日目の朝。プレイ最終日だ。
数時間後の昼には、宇宙警察が駆け付けて、この旅が終わることは確定事項となっている。
プレイヤーは、それまでに既定の方法で解答を上げなければならない。各自パーソナルパネルから「解答」を選んで答える方式で、受付時間は朝九時から昼の十二時。
現在時刻は八時だから「解答」のアイコンはまだ選択できないようグレー表示になっていた。
自室に待機していると、来訪者を知らせるインターフォンが鳴った。にゃいぼだ。
昨夜、依頼をしておいた件の報告を聞く。彼女は思った以上に有能で、期待通りの成果を上げてくれていた。さすがは隠しキャラ、面倒な手順を踏んででも仲間にする価値がある。
「……ありがとう。おかげで裏付けがとれたよ」
「おやすい御用ですにゃ。それで、謎は解けたのですかにゃ? ご主人」
「気分爽快とはいかないけどな」
シャワーブースで身綺麗にして、クローゼットで新しい服に着替えを選択。
身も心も引き締めて、最後の舞台へと乗りだした。
***
「なんだよ朝っぱらから……」と不本意な表情をしているのはヒカル。
「謎はすべて解けたって……本当なの?」と宇佐美。
「おはようございます」とマイペースなエレノアに、皆から少し離れた位置できょどっている夢人もいる。
食堂には、すっかり見慣れたメンツが揃っていた。マーリンさんに全館放送をお願いして、食堂に全員を集めてもらったのだ。
夢人は最初は部屋を出ることを嫌がっていたが、事件の顛末について「夢人が知らないことも含めて、真相を説明する」と伝えたら、迷った末に場に加わってくれることになった。彼も自分なりの推理はあるにせよ、真実がどこにあるのかは気になっているのだろう――彼が「犯人」でない前提としての話だが。
宇佐美と夢人は顔を合わせるなり、睨みあい、ふんっと顔を背けて威嚇しあっている。
いがみ合いが始まる前に、話を進めようと口を開いた。
「みんな、朝から呼び出してしまい、申し訳ない。実は……今回の事件について、聞いてほしいことがあって、こうして全員に集まってもらいました」
ヒカルが肩をすくめ、嘲る口調を隠さずに言った。
「ハッ、なにかと思えば……どうせ犯人がわかったっていうんだろう? 推理なら各々が組み立てているんだ。わざわざ自分の推理をひけらかす必要はない。昼までに解答を上げればいいだけの話だ」
「そうよ。自分の名推理を聞いてくれだなんて……少し見損なったわ」
残念そうな表情で、宇佐美もヒカルに同意する。
推理をひけらかそうとしていると思われるのは、心外だな。
「自分の推理を披露して、得意がるつもりはありません。ただ、このまま通常どおりにゲームを終了させるわけにはいかない……プレイヤーのひとりが、この電脳空間に存在する悪意――いうなれば『電子の悪魔』による罠にかかってしまっているからです」
「電子の悪魔……?」
数人の声が同調して響き、一様に不安げな表情を見せた。
「今回のプレイゲーム。皆さんも、イレギュラーがおきている、と薄々感じていませんでしたか? この事件は――犯人と、犯行の目的が途中ですり変わってしまい、本来のシナリオとは別の、横穴へと引き込まれてしまったんです」
数時間後の昼には、宇宙警察が駆け付けて、この旅が終わることは確定事項となっている。
プレイヤーは、それまでに既定の方法で解答を上げなければならない。各自パーソナルパネルから「解答」を選んで答える方式で、受付時間は朝九時から昼の十二時。
現在時刻は八時だから「解答」のアイコンはまだ選択できないようグレー表示になっていた。
自室に待機していると、来訪者を知らせるインターフォンが鳴った。にゃいぼだ。
昨夜、依頼をしておいた件の報告を聞く。彼女は思った以上に有能で、期待通りの成果を上げてくれていた。さすがは隠しキャラ、面倒な手順を踏んででも仲間にする価値がある。
「……ありがとう。おかげで裏付けがとれたよ」
「おやすい御用ですにゃ。それで、謎は解けたのですかにゃ? ご主人」
「気分爽快とはいかないけどな」
シャワーブースで身綺麗にして、クローゼットで新しい服に着替えを選択。
身も心も引き締めて、最後の舞台へと乗りだした。
***
「なんだよ朝っぱらから……」と不本意な表情をしているのはヒカル。
「謎はすべて解けたって……本当なの?」と宇佐美。
「おはようございます」とマイペースなエレノアに、皆から少し離れた位置できょどっている夢人もいる。
食堂には、すっかり見慣れたメンツが揃っていた。マーリンさんに全館放送をお願いして、食堂に全員を集めてもらったのだ。
夢人は最初は部屋を出ることを嫌がっていたが、事件の顛末について「夢人が知らないことも含めて、真相を説明する」と伝えたら、迷った末に場に加わってくれることになった。彼も自分なりの推理はあるにせよ、真実がどこにあるのかは気になっているのだろう――彼が「犯人」でない前提としての話だが。
宇佐美と夢人は顔を合わせるなり、睨みあい、ふんっと顔を背けて威嚇しあっている。
いがみ合いが始まる前に、話を進めようと口を開いた。
「みんな、朝から呼び出してしまい、申し訳ない。実は……今回の事件について、聞いてほしいことがあって、こうして全員に集まってもらいました」
ヒカルが肩をすくめ、嘲る口調を隠さずに言った。
「ハッ、なにかと思えば……どうせ犯人がわかったっていうんだろう? 推理なら各々が組み立てているんだ。わざわざ自分の推理をひけらかす必要はない。昼までに解答を上げればいいだけの話だ」
「そうよ。自分の名推理を聞いてくれだなんて……少し見損なったわ」
残念そうな表情で、宇佐美もヒカルに同意する。
推理をひけらかそうとしていると思われるのは、心外だな。
「自分の推理を披露して、得意がるつもりはありません。ただ、このまま通常どおりにゲームを終了させるわけにはいかない……プレイヤーのひとりが、この電脳空間に存在する悪意――いうなれば『電子の悪魔』による罠にかかってしまっているからです」
「電子の悪魔……?」
数人の声が同調して響き、一様に不安げな表情を見せた。
「今回のプレイゲーム。皆さんも、イレギュラーがおきている、と薄々感じていませんでしたか? この事件は――犯人と、犯行の目的が途中ですり変わってしまい、本来のシナリオとは別の、横穴へと引き込まれてしまったんです」
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