Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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27.三日目・解決編(2)

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 誰ともなく、息をのむ気配。

「犯人と犯行の目的が途中で変わった? ……どういうことだ」とヒカル。

「それは、これから説明します」

 事件を振り返り、順を追っての説明を開始する。

 まず、第一の事件、ダオラ船長殺害について。
 これはチュートリアルに従って、犯人役の人物が起こした最初の事件。シナリオの規定路線だ。
 犯行方法とアリバイ工作は、すでに自分が提示した方法で大方、合っていると思う。
 この犯人は、アリバイの曖昧だった黒須、夢人、あーちゃん、宇佐美の内の誰かだと仮定したが、この中の誰かが、「ゲームシステム上、正式に選ばれた犯人」だといえる。

 と、ここまでは周知の事実なので、さらりと流して――。

 次に、第二の事件、黒須殺害について。
 この件は、現場から犯人が忽然と消えた謎について、明らかにしていこう。

「まずは夢人くん。もう一度確認させてほしいんだけど……黒須さんが殺害される直前、夢人くんの部屋のインターホンが鳴った、と言っていたよね」

 尋ねられた夢人が、瞳をきょろきょろ動かして答える。
「え? う、うん……だけど、人影は見えなかったし……外に出なかったから、よくわからないよ」

「大丈夫。行動としては、それで正解だったかと。先にネタばらししてしまうと……このときの犯人は、『透明になる能力』を使っています」

「「「は?」」」

 三人の声がかぶった。声を出したのはエレノア以外の3人だ。口々に文句が飛び交う。

「なんだそれは。ふざけてるのか?」
「犯人の能力が透明だなんて、チートすぎるじゃない」
「ずるいよ、そんな能力。クソゲーじゃんか」

 あぁ気持ちはわかる。まるでこちらが悪者かのようにブーイングが浴びせられたが、今は時間もないことですから……。

「納得できるようこれから説明します。なんなら、仮定としてとらえてください。それと、なんでそんな能力を付加したのかという文句は、あとでお客様センターによろしくお願いします」

 無理やりに起動修正して、説明を再開する。

 犯人の能力が透明だと確信したのは、昨晩、裏の倉庫で何度も殺され……相まみえたからなのだが、コンティニューによるロールバックのことにまで触れるとさらにハチの巣になりそうだから、そのへんは適当に伏せておくことにする。

「では、話を戻しますが――。たとえ犯人が透明だったとしても、ロックのかかった部屋のドアをすり抜けることはできません。こんな状況ですし、普通の感覚であれば、インターホンが鳴っても、相手の姿が見えなかったらわざわざドアを開けたりしないですよね。でも、黒須さんは開けてしまった。何故開けたのか。それは、黒須さんがゲーム上定められた『犯人』だったから。自分は命を狙われるはずがない立場にいたから、油断してしまったんです」

 そう、この時点で、ゲーム上「犯人役」を命じられた者が、殺されてしまったのだ。これよりあとに起きる事件は、本来は犯人ではない人物による、イレギュラーの犯行ということになる。

 ここで異論をはさむ者はなく、全員がこちらの言葉に耳を傾けている。

「犯人役だった黒須さんが、別の誰かに殺されて……その誰かは透明になる能力を使っていた。だから私とライさんが駆け付けたとき、犯人の姿はどこにも見つけられなかった、というわけですね」
 エレノアが、確認するように呟いた。

「そう。アリバイ方面から見て、新たな犯人の能力は『透明』としか考えられません。
 俺とエレノアさんが黒須さんの叫び声を聞き、一本通路の最奥にある彼の部屋の前にたどり着いたとき、犯人の姿はなかった。けれど相手が不可視だったと考えれば、俺たちとすれ違って現場から離れ、自分の部屋に戻り、何食わぬ顔で出てくることができる……。
 そして翌朝のあーちゃん殺害の事件でも、食堂前の廊下を、俺とマーリンさんの視界に入らずに通過し、図書室であーちゃんを殺害することが容易になる」

 黙って成り行きを見守っていたマーリンさんも、ひと言添えてくれた。
「コバエ一匹見逃さないワタシでも、相手が透明だったらさすがに気づけないわね」

 どこからともなく、息をつくのが聞こえる。
 皆、頭の中で、情報を必死で整理しているのだろう。
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