異世界ダークエルフの守護者 -Master of Dark Elf-

あんたれす

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プロローグ

6 欠点の補強

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 吾郎は砦の階段を下りると、荒野の果てに向かって「パスパス」とエアガンを両手で構えながら、スライドを引き引き撃ちまくる。

 装弾数は22発なので、あっという間に撃ち尽くしてしまった。

 吾郎は拳銃からマガジンを抜き出して、拳銃を右足のホルスターに収納し、ズボンのポケットに強引に突っ込んでいたBBローダーを取り出し、マガジンの給弾口とBBローダーの供給口を丁寧に合わせてから、BBローダーの押し込み棒をスコスコと押しながらBB弾をマガジン内へと詰め込んでいく。

「うん、これはダメだ」

 吾郎は弾切れからの一連の動作を、「もし戦闘中だったら」という想像の元でやってみたのだが、あまりの手順の多さと、思ったよりも細やかな作業が要求される実態に首を横に振った。

「黒蟻の群れに襲われている最中に、とてもではないけれどもこの給弾作業はできない。ゲームでも弾切れの際のリロードにはイライラしたものだったが、今思えば、あれでもなかなかの速度なのかもしれない。さすがはゲーム内の主人公様か」

 吾郎はどうしたものかと頭を捻る。

「欠点を補強する為に買いたい物は色々と浮かんできたけれども、残念ながら先立つお金が無い。とりあえず必要最低限、絶対に用意しておいた方が得策なものを優先的に選ぼう」

 吾郎はネット通販のチートを使い、眼前に通販ウインドウを浮かび上がらせると、タッチ操作で商品を探す。

「これとこれだけは買っておこう」


 ・マガジン 2個 2000金貨

 ・ダンプポーチ 1000金貨
(腰に付ける小袋、マガジンなどを放り込める)


 吾郎は購入を決定すると、足元に光の粒子に包まれながら商品が到着した。

 吾郎は頑丈そうな厚手のダンプポーチを腰に装着すると、そこにBBローダーを放り込む。

「ただの袋だから、空マガジンも弾入りマガジンもごっちゃになってしまうけれど、今はこれで何とかするしかない」

 吾郎は地面に座ってあぐらをかくと、「強化鍛冶師(インフレスト)」のチートでエアガンに強化を加えていく。

「装弾数22発はあまりにも少なすぎるから、マガジンを伸ばしてと……」

 吾郎がエアガンに魔力を注入していくと、エアガンのグリップ内に装着されているマガジンが倍近くに伸びていきロングマガジンへと変化した。

「よし、これで装弾数は50発まで増えたぞ。後は残りのマガジンも同じように伸ばしてと」

 吾郎は新たに購入したマガジン2個も強化して伸ばすと、装弾数をそれぞれ50発まで増量させる。

「んで、マガジンに給弾する」

 吾郎はエアガンのマガジンを取り外し、マガジン3個にBBローダーでスコスコと弾を押し込んでいく。

「これで、マガジン3つで合計150発になるな」

 吾郎はマガジン3つを腰のダンプポーチの手前側に入れて、BBローダーを奥側、空マガジンが出た時は、更に奥側に放り込むという感じで運用してみることにした。

 吾郎はマガジンを装着していないエアガンを、おもむろに右足のホルスターへと戻す。

「さて、やってみますか」

 吾郎はそう呟いた瞬間、すっくとその場で立ち上がると、エアガンを右手で右足のホルスターから抜き、左手で腰のダンプポーチからマガジンを1個取り出すと、素早くエアガンに装着する。

 両手でエアガンを構えつつスライドを引きまくりながら、荒野の果てに向かって何度も撃ちまくる。

 やがて50発のBB弾を撃ち尽くした瞬間、吾郎はエアガンからマガジンを抜いて、腰のダンプポーチの奥側に放り込み、手前の弾入りマガジンを取り出すと、エアガンに「カチャリ」と装着するやスライドを引いて一発だけ射撃する。

 辺りがしんと静まり返る中、吾郎は両手で構えていたエアガンをゆっくりと下ろしながら、一連の動作に納得がいったのか小さく頷いた。

「スムーズな流れだ。これなら戦闘中でも素早くリロード作業ができそうだな。もし、マガジン3つの150発が切れた時は、石ころでなんとかするしかない。ま、お金を稼げばマガジンを追加で買うなり色々と対応はできるから、とりあえずはコツコツと稼ぎながらその都度、装備を充実させていこう」

 吾郎はそのまま射撃訓練を続けるのだった。
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