孤島に浮かぶ真実

戸笠耕一

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第二部

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 試験は無事に終わった。昼は、島のなじみの喫茶店で食べることになった。前回は、島の不良に絡まれて酷い目に遭ったが、もうその心配はない。

 明日まで試験はあるが、くつろぎたい気分が全員の心にある気がした。午前中の出来事や、それ以前から起きていることにみんな疲れを感じているのだ、きっと。

 そう、ダーツでもやって気を休めよう、何事もない日常を楽しもうという気配が皆の顔には、あった。もちろん明日の試験勉強もしなればならなかったが……

 試験勉強にせよ、ランチにせよ、遊びにせよ、そこの喫茶店は学生に人気だった。すでに、幾人かの生徒が中で食べ、遊んでもいた。

 私たち、いつもの6人衆は気ままに開いている席に座り、オーダーを取る。

 そして上質な料理を食べることで、腹を満たし少し休んで、ダーツを楽しんでいた。

 勉強は二の次になっている。まあ高校生が真面目に勉強に取り組むのは試験の本当に直前だけ。予習や復習なんて、しない。違うかもしれない、このメンバーならしている可能性もある。

 佐津間君は、直球のボールしか投げない性格だった。堀田君は、そうじゃないが、周りがやると嫌なことも渋々やる傾向がある。それはメイも似ている。最後に、彩月は普段からお茶らけてはいるが、かなり勉学は怠らない。話を聞くとMarchレベルの大学を目指している、らしい。

 じゃあやる気はないのは、私だけ、か?

 そんなことないって言われそうだけど、実際学校の勉強なんてやる気がない。それが、この島に来てさらに酷くなってきた。

 学ぼうという姿勢については前の学校のほうが嫌というほど教えてくれた。

 戻りたくないが……

 私は過去になんて思いをはせたくもないし、増してや嫌な部類に入るものなら、さっさと捨て去るのみだ。
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