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第一部
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深い森の中にいた。
どこかで声が聞こえる――明美、明美、明美と誰かが騒いでいるようだ。
グラグラッと自らいる世界が揺れているのがわかる。やがて自分がいるところが、そこかしこから崩壊を始めていた。
美しい調和。生い茂った木々が漆黒の陥穽へ消えていく。ここから逃げるべきだと思ったが、どこへ逃げていいかわからない。
不意に体が倒れた。倒れている場合ではないのに。体が動けない。立てない。
地面に倒れて目を物憂げに開いた。生い茂っていた草木を黒い影が覆った。それは人であると気づくのに時間はかからなかった。
私はグッと首を上げてみる。
青っぽい服を着ている。女の子かもしれない。女の子だ。顔がはっきりと見えないが、口角が少しだけ上がっていた。
麦わら帽子?
最後のシーンが終わった……
はっとなって目を覚ました。
「明美、ちゃん?」
目の前に映ったのは女の子ではなくて母だった。
「そろそろ起きて。時間よ」
目がうつらうつらとして体が少しふらつく。寝起きは悪い方ではなかったが、今日は違う感情が芽生えていた。
私は着衣を直して、下の階に降りる。
「来たか」
「ええ」
「眠そうじゃないか、まあ今日は仕方ないか」
「大丈夫よ」
「船での長旅よ、そりゃ疲れるわよ」
母も降りてきて、私の気持ちを代弁した。今気づいたが、服装が清潔感あふれる淡泊な恰好から、しっかりと引き締まった格好になっていた。胸にピンクのコサージュまでつけている!
派手なんて言葉と無縁だと思っていた。母も島に来て変わりだし始めたのかもしれない。
「全員そろったことだし、それじゃ行こうか」
こうして三人は新居を出て、田村さんの家に向かった。家の前にある坂を下ってすぐだった。私たちの家が山の手にあり、そのすぐ下に彼らの家がある。本当にご近所さんだ。
家の前には黒い門があって固く閉じていた。門の間から玄関まで暗かったが、家からは明かりがこもれていた。
父がインターフォンを鳴らす。男の人の声がして、それが田村さんだとすぐにわかる。門が音を立てて左右に開いていく。同時に玄関が開いて黒いシルエットの田村さんが向かってきた。
私たち三人が邸内に入ると道の両端が門から邸宅へ向かってピカッと輝いた。その様子に驚いたのか母がぴくっとした。
地べたは白と黒の敷石が交互に敷き詰められ、その左右に人が来ると光る仕掛けがある。おそらく夜だけ光るのだろう。
敷石は両側を埋め尽くす人工芝の間にあった。それと、光るおもてなしは一風変わった印象を与えた。私は嫌いではなかった。
「いやーお越しいただきましてありがとうございます」
うやうやしい口調で言うと、田村さんは手をパンと叩く。
「ずいぶん凝った趣向ですな、この光は」
「ええ、気に入っていただけましたでしょうか?」
ニコニコした笑顔を常に崩さない田村さんに、父も笑い返すしかない様子だった。
「急に光るから少し驚きましたわ」
母が声を抑えて言う。多少の苛立ちが口調に表れている。
「申し訳ありません。びっくりしてしまいましたか?」
「ええ」
妙なぎこちない雰囲気が漂ったが、田村さんは気に止むことはせず、私たちを案内する。
「さ、こちらです」
芝生は邸宅をぐるりと取り囲むようにして生えている。芝生をまたぎ、反対側に回る。プールがあって水が中に引いており、照明に照られ青くきらめく。
プールの前で、背の高い花柄の服を着た夫人と、その背後に隠れて小柄な女の子がいた。服は青っぽい。
ジュージューと肉が焼ける音で、BBQをやるのだと知る。歓迎会にはもってこいだ。
「おーい、ご到着なさったぞ~」
客人を敬う口調が、幾分くだけた口ぶりになる。私はそれが身内の者に対する対応だと思った。一瞬だけ田村さんの家族への接し方が垣間見られたような気がする。
二人が振り返り、その一人に見覚えがあった。
覚えがあった少女が、浜辺であった子で、すれ違いざまに意味深い笑いを浮かべて去っていた子だ。
水色のワンピース、白いヒール、赤みを帯びた頬、つぶらな瞳……
間違いない。
確信を抱いた瞬間、私は少々彼女への警戒心を強めた。どうしても、あの笑みが忘れられない。しっくりこないのだ。単に笑われたからというわけでなく、ただ妙に人の心をえぐる顔だった。
まるで人の心を見透かしたかのような……
だが今はしょうがない。相手の出方をうかがっていても仕方がない。
夫人が田村さんの声に促されて、挨拶をした。つられて隣にいた少女も頭を下げる。
こうして私たち家族は、田村さんのご家族と対面して歓待を受けることになった。
男性は男性で、女性は女性で――それぞれ互いの身内のこと、仕事のこと、家事のこと、食事とともに他愛もない会話が始まった。
私は、例の子と話をした。それは年が近い者同士のごく自然なやり取りだった
「初めまして、だね?」
「ええ」
相手は少し緊張したかのような素振りをしたが、ニッコリ笑って相手への敬意を見せる。
「私、田村彩月っていうの。よろしく」
彩月はサッと手を差し出し握手を求めてきた。
「星河明美です」
彼女との握手はがっちりとしていた。小柄だが意外にも握力があり、びっくりした。底知れぬ、見かけには寄らない力がこの子にはあるようにと思えた。
「東京から来たの?」
「そうよ」
「どの辺?」
「荻窪周辺に住んでいたわ」
「ふーん、私は成城に二年前から引っ越してきたんだ」
「そうなんだ。世田谷かーあんまりそっち行ったことないな」
「荻窪からだと遠くはないけど、成城へ行くのは移動が不便だもんね」
「そう、あなたも引っ越してきたんだ?」
「うん。パパが急に島がいいなんて言い出して、私たち最初は超迷惑だった」
「へえ、うちと一緒か……」
少しむくれた顔に私はぷっと笑いそうになった。
「え?」彩月が顔をしかめる。
私は父が突然島に住みたいと言い出した経緯を話した。それを聞いて彩月はへっと鼻で苦笑した。
「勝手な人だね。でも来てみると案外いい場所。色々不便なことはあるけど、昨日なんか近所の人から野菜をご馳走されたの」
いかにも田舎らしい。この島でとれる野菜ってなんだろうか?
「最初のうちは少しよそ者扱いされない?」
「まあ最初はね。でもこの島って移住者多いのよ。だからすぐに時間がたてば、溶け込めるわ」
「そう」
「なんかあった?」
島を一周したときにあったことを――浜辺のことは除き――話した。
「ああ、あそこは漁師の街なのよ。町というより村ね、漁村よ。だから不愛想な人も多いみたい。私あっち嫌い」
「漁村ね」
「こっちのメインの街から外れて、少し独特なの」
少々澄ました顔をした彩月を見て、私は
「ねえ思ったけど」
「なあに?」
「もしかしてバドミントンをやっている? 違ったらごめんなさい」
「え……なんでわかったの?」
「まあ気にしないで、適当に言っただけだから」
「え? なんでよ? ちゃんと聞かせて。適当じゃ当たらないよ」
「手にマメが少しあったわ。それは手に何か握っている証拠よ。多分ラケットだと思うわ。で、問題はどの競技かってこと」
「それで?」
「うーん、これは私の憶測だけど。マメが右手の付け根だけに出来ていたことかな。テニスだったら、多分両方の手
に出来ると思うの、球を打ち返すとき両手で握って返したりするから……」
私はしゃべっていてすごい恥ずかしくなった。なぜ推理なんてしたんだろう。とても愚かで間抜けなことをしている。反省。
「すごいわ」
ただ彼女は違った。
「別にただの推論よ。こんなの根拠のない当てずっぽう」
「でも、なかなか鋭かったわ。的を射ているわよ。明美って分析したりするのが得意そうだもの」
「そう?」
「きっとそう。ミステリーとか好きでしょ? ホームズとかポワロ」
「読むわ。アガサ・クリスティなら私に任せて」
「ほらやっぱり。じゃあ探偵さん、私のことをもっと推理してよ」
彩月は興味津々といった顔で、私の名推理をさらに聞こうと迫った。
「うーん。わかんないわ」
「あら残念」
「まだ会ったばかりだし、あなたのこと分からないわよ」
「確かにね」
浜辺でのことをとっさにぶつけてみようと思ったが、すぐにやめた。彼女のすれ違いざまの笑みの真意を見つけたかったが、今日は無理そうだ。
私たちは、好きな本の話をした。話はもっぱらミステリーだった。アガサ・クリスティ、コナン・ドイル、モーリス・ルブラン。話はどんどん弾んでいった。ミステリーには、夢中になっている者をつなぎ合わせ、ますます虜にする中毒性があった。
二人の関係は一気に接近していった。その中で私は彼女の笑みを引き出そうとした。つくりものではない笑みが大事だが、いくら話を振ってもやっぱり無意味だ。
彩月は、人懐っこい可愛らしい快活な表情を崩すことはなかった。
やがて話も底をついた。時間も遅くなった。BBQも素晴らしい。お腹も膨れて、今日はいい一日をむかえることができた。
私と彩月は最後に互いのLINEを交換してSNS上でも友達になった。最後に、後片付けを少し手伝い私たち家族は田村さんの家を後にした。
楽しい一日だった。彩月と私は、結構話が合う。なかなかミステリーで盛り上がれる人なんていなかった。
本についてなんて父と話す程度だ。こうして友達になれる人と巡り合えたのだ。ただ、どうしても疑問が残る。浜辺。その麦わら帽子は心を見透かした笑みを映し出す。
断片的な景色が頭を過ぎる。一つの記憶が、心の片隅にしまい切れずに、私の心にわだかまりを残していた。
どこかで声が聞こえる――明美、明美、明美と誰かが騒いでいるようだ。
グラグラッと自らいる世界が揺れているのがわかる。やがて自分がいるところが、そこかしこから崩壊を始めていた。
美しい調和。生い茂った木々が漆黒の陥穽へ消えていく。ここから逃げるべきだと思ったが、どこへ逃げていいかわからない。
不意に体が倒れた。倒れている場合ではないのに。体が動けない。立てない。
地面に倒れて目を物憂げに開いた。生い茂っていた草木を黒い影が覆った。それは人であると気づくのに時間はかからなかった。
私はグッと首を上げてみる。
青っぽい服を着ている。女の子かもしれない。女の子だ。顔がはっきりと見えないが、口角が少しだけ上がっていた。
麦わら帽子?
最後のシーンが終わった……
はっとなって目を覚ました。
「明美、ちゃん?」
目の前に映ったのは女の子ではなくて母だった。
「そろそろ起きて。時間よ」
目がうつらうつらとして体が少しふらつく。寝起きは悪い方ではなかったが、今日は違う感情が芽生えていた。
私は着衣を直して、下の階に降りる。
「来たか」
「ええ」
「眠そうじゃないか、まあ今日は仕方ないか」
「大丈夫よ」
「船での長旅よ、そりゃ疲れるわよ」
母も降りてきて、私の気持ちを代弁した。今気づいたが、服装が清潔感あふれる淡泊な恰好から、しっかりと引き締まった格好になっていた。胸にピンクのコサージュまでつけている!
派手なんて言葉と無縁だと思っていた。母も島に来て変わりだし始めたのかもしれない。
「全員そろったことだし、それじゃ行こうか」
こうして三人は新居を出て、田村さんの家に向かった。家の前にある坂を下ってすぐだった。私たちの家が山の手にあり、そのすぐ下に彼らの家がある。本当にご近所さんだ。
家の前には黒い門があって固く閉じていた。門の間から玄関まで暗かったが、家からは明かりがこもれていた。
父がインターフォンを鳴らす。男の人の声がして、それが田村さんだとすぐにわかる。門が音を立てて左右に開いていく。同時に玄関が開いて黒いシルエットの田村さんが向かってきた。
私たち三人が邸内に入ると道の両端が門から邸宅へ向かってピカッと輝いた。その様子に驚いたのか母がぴくっとした。
地べたは白と黒の敷石が交互に敷き詰められ、その左右に人が来ると光る仕掛けがある。おそらく夜だけ光るのだろう。
敷石は両側を埋め尽くす人工芝の間にあった。それと、光るおもてなしは一風変わった印象を与えた。私は嫌いではなかった。
「いやーお越しいただきましてありがとうございます」
うやうやしい口調で言うと、田村さんは手をパンと叩く。
「ずいぶん凝った趣向ですな、この光は」
「ええ、気に入っていただけましたでしょうか?」
ニコニコした笑顔を常に崩さない田村さんに、父も笑い返すしかない様子だった。
「急に光るから少し驚きましたわ」
母が声を抑えて言う。多少の苛立ちが口調に表れている。
「申し訳ありません。びっくりしてしまいましたか?」
「ええ」
妙なぎこちない雰囲気が漂ったが、田村さんは気に止むことはせず、私たちを案内する。
「さ、こちらです」
芝生は邸宅をぐるりと取り囲むようにして生えている。芝生をまたぎ、反対側に回る。プールがあって水が中に引いており、照明に照られ青くきらめく。
プールの前で、背の高い花柄の服を着た夫人と、その背後に隠れて小柄な女の子がいた。服は青っぽい。
ジュージューと肉が焼ける音で、BBQをやるのだと知る。歓迎会にはもってこいだ。
「おーい、ご到着なさったぞ~」
客人を敬う口調が、幾分くだけた口ぶりになる。私はそれが身内の者に対する対応だと思った。一瞬だけ田村さんの家族への接し方が垣間見られたような気がする。
二人が振り返り、その一人に見覚えがあった。
覚えがあった少女が、浜辺であった子で、すれ違いざまに意味深い笑いを浮かべて去っていた子だ。
水色のワンピース、白いヒール、赤みを帯びた頬、つぶらな瞳……
間違いない。
確信を抱いた瞬間、私は少々彼女への警戒心を強めた。どうしても、あの笑みが忘れられない。しっくりこないのだ。単に笑われたからというわけでなく、ただ妙に人の心をえぐる顔だった。
まるで人の心を見透かしたかのような……
だが今はしょうがない。相手の出方をうかがっていても仕方がない。
夫人が田村さんの声に促されて、挨拶をした。つられて隣にいた少女も頭を下げる。
こうして私たち家族は、田村さんのご家族と対面して歓待を受けることになった。
男性は男性で、女性は女性で――それぞれ互いの身内のこと、仕事のこと、家事のこと、食事とともに他愛もない会話が始まった。
私は、例の子と話をした。それは年が近い者同士のごく自然なやり取りだった
「初めまして、だね?」
「ええ」
相手は少し緊張したかのような素振りをしたが、ニッコリ笑って相手への敬意を見せる。
「私、田村彩月っていうの。よろしく」
彩月はサッと手を差し出し握手を求めてきた。
「星河明美です」
彼女との握手はがっちりとしていた。小柄だが意外にも握力があり、びっくりした。底知れぬ、見かけには寄らない力がこの子にはあるようにと思えた。
「東京から来たの?」
「そうよ」
「どの辺?」
「荻窪周辺に住んでいたわ」
「ふーん、私は成城に二年前から引っ越してきたんだ」
「そうなんだ。世田谷かーあんまりそっち行ったことないな」
「荻窪からだと遠くはないけど、成城へ行くのは移動が不便だもんね」
「そう、あなたも引っ越してきたんだ?」
「うん。パパが急に島がいいなんて言い出して、私たち最初は超迷惑だった」
「へえ、うちと一緒か……」
少しむくれた顔に私はぷっと笑いそうになった。
「え?」彩月が顔をしかめる。
私は父が突然島に住みたいと言い出した経緯を話した。それを聞いて彩月はへっと鼻で苦笑した。
「勝手な人だね。でも来てみると案外いい場所。色々不便なことはあるけど、昨日なんか近所の人から野菜をご馳走されたの」
いかにも田舎らしい。この島でとれる野菜ってなんだろうか?
「最初のうちは少しよそ者扱いされない?」
「まあ最初はね。でもこの島って移住者多いのよ。だからすぐに時間がたてば、溶け込めるわ」
「そう」
「なんかあった?」
島を一周したときにあったことを――浜辺のことは除き――話した。
「ああ、あそこは漁師の街なのよ。町というより村ね、漁村よ。だから不愛想な人も多いみたい。私あっち嫌い」
「漁村ね」
「こっちのメインの街から外れて、少し独特なの」
少々澄ました顔をした彩月を見て、私は
「ねえ思ったけど」
「なあに?」
「もしかしてバドミントンをやっている? 違ったらごめんなさい」
「え……なんでわかったの?」
「まあ気にしないで、適当に言っただけだから」
「え? なんでよ? ちゃんと聞かせて。適当じゃ当たらないよ」
「手にマメが少しあったわ。それは手に何か握っている証拠よ。多分ラケットだと思うわ。で、問題はどの競技かってこと」
「それで?」
「うーん、これは私の憶測だけど。マメが右手の付け根だけに出来ていたことかな。テニスだったら、多分両方の手
に出来ると思うの、球を打ち返すとき両手で握って返したりするから……」
私はしゃべっていてすごい恥ずかしくなった。なぜ推理なんてしたんだろう。とても愚かで間抜けなことをしている。反省。
「すごいわ」
ただ彼女は違った。
「別にただの推論よ。こんなの根拠のない当てずっぽう」
「でも、なかなか鋭かったわ。的を射ているわよ。明美って分析したりするのが得意そうだもの」
「そう?」
「きっとそう。ミステリーとか好きでしょ? ホームズとかポワロ」
「読むわ。アガサ・クリスティなら私に任せて」
「ほらやっぱり。じゃあ探偵さん、私のことをもっと推理してよ」
彩月は興味津々といった顔で、私の名推理をさらに聞こうと迫った。
「うーん。わかんないわ」
「あら残念」
「まだ会ったばかりだし、あなたのこと分からないわよ」
「確かにね」
浜辺でのことをとっさにぶつけてみようと思ったが、すぐにやめた。彼女のすれ違いざまの笑みの真意を見つけたかったが、今日は無理そうだ。
私たちは、好きな本の話をした。話はもっぱらミステリーだった。アガサ・クリスティ、コナン・ドイル、モーリス・ルブラン。話はどんどん弾んでいった。ミステリーには、夢中になっている者をつなぎ合わせ、ますます虜にする中毒性があった。
二人の関係は一気に接近していった。その中で私は彼女の笑みを引き出そうとした。つくりものではない笑みが大事だが、いくら話を振ってもやっぱり無意味だ。
彩月は、人懐っこい可愛らしい快活な表情を崩すことはなかった。
やがて話も底をついた。時間も遅くなった。BBQも素晴らしい。お腹も膨れて、今日はいい一日をむかえることができた。
私と彩月は最後に互いのLINEを交換してSNS上でも友達になった。最後に、後片付けを少し手伝い私たち家族は田村さんの家を後にした。
楽しい一日だった。彩月と私は、結構話が合う。なかなかミステリーで盛り上がれる人なんていなかった。
本についてなんて父と話す程度だ。こうして友達になれる人と巡り合えたのだ。ただ、どうしても疑問が残る。浜辺。その麦わら帽子は心を見透かした笑みを映し出す。
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