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第四部 楽園崩壊
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背中を真二つに切り裂くような痛みが走る。それが幾重にも続く。
「痛みは大いなる力を得るための通過儀礼。ご安心下さいませ。私が傍におります」
慰めの言葉も施術による痛みで届かなかった。
血潮が飛び散り、べたりと背中に注いだ。何かが抜けて何かが入り込んでいる感覚を覚えていた。
施術は半日をゆうに超えた。背中、太もも、脇腹、二の腕。咲子の純白だった肌は彩られていく。痛みが引くまでそこから何日もかかった。
全身に包帯が巻かれた。ようやく動けるようになったとき、自身の姿を見た。
ランランと輝く力強き赤い竜が背中に宿り恐怖を与えた。太ももを走る黒い蛇は大地とそこに住む民を束縛する。脇腹に赤い唇を添えた。二の腕には星が輝く。
何か違う者になれた気がした。
「どうかしら?」
「とても雄々しくありますわ。わが君と呼ぶにふさわしい御姿でございますわ」
痛みをこらえた甲斐はあった。何だか見せびらかしたいという願望がよぎる。須世子や多紀子はどう感じるのか? 恐れおののくだろうか。絶対者となろうとする自身に対し何を思い言葉にするのか楽しみで仕方がなかった。
「痛みは大いなる力を得るための通過儀礼。ご安心下さいませ。私が傍におります」
慰めの言葉も施術による痛みで届かなかった。
血潮が飛び散り、べたりと背中に注いだ。何かが抜けて何かが入り込んでいる感覚を覚えていた。
施術は半日をゆうに超えた。背中、太もも、脇腹、二の腕。咲子の純白だった肌は彩られていく。痛みが引くまでそこから何日もかかった。
全身に包帯が巻かれた。ようやく動けるようになったとき、自身の姿を見た。
ランランと輝く力強き赤い竜が背中に宿り恐怖を与えた。太ももを走る黒い蛇は大地とそこに住む民を束縛する。脇腹に赤い唇を添えた。二の腕には星が輝く。
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「どうかしら?」
「とても雄々しくありますわ。わが君と呼ぶにふさわしい御姿でございますわ」
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