七宝物語

平野耕一郎

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第四部 楽園崩壊

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 時刻は二十一時を回る。咲子は寝室の柱時計の音が鳴るのを待ち望んでいた。あと一時間で消灯であり、学生たちは寝支度に入る頃だ。

 コンコン。

 夜の来訪者。寝間着に着替え、のんびりと待っていたところだった。

「ふふ、いらっしゃらないかと思っていましたわ」

「まさか。本日をどれほど心待ちにしておりましたことか」

 扉の向こうに立っていたのは須世子だった。オレンジのガウンを羽織っている。湯上りなのか、ほのかな芳香剤の匂いが漂う。咲子の招きに応じて須世子は部屋に入る。

「相変わらず豪勢なお部屋ですこと。私も将来はこのようなお部屋に住みたいものですわ」

 須世子たち一般の学生は2人部屋で暮らしている。咲子だけは聖族であり、その待遇は格別なものであった。最も須世子の国造宮家は聖族が天界より下り中つ国を平定する前から存在する歴史ある家だから学園内の待遇は高かった。

「ご心配なく。私に付いてくるならばこの部屋の数倍のお部屋、いやお屋敷を与えるわ」

「まあ素敵ですこと」

「それで? どうなの?」

 咲子は右腕の装飾品をかざす。

「あら。腕に刻まれた数字のことでしたら、もうよろしいのですわ。それよりも」

「なんだ、分かりましたの? どうして?」

「夜更けや明け方に裏山にお忍びで行っているそうですわね。夜番の者に聞きましたわ。黒魔術の修練とはいよいよ本格的ですわ。それに下級生が咲子様のお部屋を掃除したときに、ベッドの下に黒魔術の書が見つけたそうですわ」

「ずいぶんと調べておりますこと。まるで密偵ね。その子」

 須世子はホホとかすかに笑った。人に取り入り部屋を漁るとは、狼藉者と言っていい所業であるが、それは問題ではない。

「腕の紋章のことを知ってもらったからには、ただでは返せないわよ」

「ええもちろんです。ぜひとも私も仲間にお加えくださいませ。きっとお役になって見せますわ。ですが念書を頂きたく。咲子様、いえ陛下の傘下となった暁にはそれ相応の地位をお約束して頂きたいのです」

「私が王になったら。そうねえ、宰相にしてあげるわ。好きなところに領地を与えてあげるわ」

「素敵なお言葉ですわ」

「でもあなたも私たちの仲間にならないとね。洗礼を受けて頂くことになるわ」

「ふふ、ご心配には及びませんわ。実は私も」

 須世子はすっと右腕を差し出した。確かに黒くにじんだ数字「666」が記されている。

「あなた?」

「私もよく考えてみたのです。将来のことを。果たしてこのまま国造の家の保持の身を考えていけばいいのか。太古の昔、我が家は大領を持っていたとか。権勢を思うがまま振舞っていたのに、ある日天からの来訪者に土地を奪われ、一族は衰退を余儀なくされました」

 言うまでもなく咲子の聖族により衰退したということを言っているのだ。

「陛下がお立ちになり、領土と民を所有するというなら、私もかけてみたいのです。大望を持たねば、何も変えることはできませんわ」

「その気になってくれたのね。でも覚悟することね。口外は無用よ。露呈したらわかっているでしょう?」

「もちろんですわ。でも大胆ですわ。日夜、陛下の寝所には多くの者が来訪するそうで。何をなさっておりますの? 私そちらの方が気になりましたの」

「気になる?」

「黒魔術の一環でございますの?」

「あら物分かりが早いわね。あなたも会員なら分かるでしょうけど、多くの者と身を結び悪しきことをなすのよ。業が深くなければ王にはなれないわ。これは命がけの行いだわ」

「まあ恥らしいですわ。消灯まで残り僅かですが、私も何だかやってみたくなりましたわ」

「消灯なんて関係ないわ。興味あるならいいわ。あなたの体で」

 咲子は須世子の体に触れる。線が太くとても健康的な体形だった。少々大柄で、モデルとしては不適応だが、体を交えるには退屈はしないだろう。2人の呼吸は中々のものだった。体はもつれあい、まとわりついた。2人は何度も唇を重ねた。互いの唾液が糸のように垂れ下がった。

「素敵ですわ。まさかこのような。お美しい」

「あなたに同性の好みがあったのね。ずいぶん慣れているわね?」

「気のせいですわ。今日まで恋とは無縁でしたわ」

「そうかしら。隣室の多紀子様はいかがなの? 捨て起きがたい存在だわ。古くからのお付き合いでしょう?」

「多紀子様とは良き友人とお考え下さいませ」

「嘘はいけないわ。正直に話してくれないと地位は保障しかねないわ。多紀子様の部屋にあなたがよく訪れて懇ろよくしている噂を聞いたのよ」

「まあ誰がそのような根も葉もないことを」

「とぼけても無駄よ。はっきり言いなさいな。こちらだって人はいるのよ」

 咲子は強い口調に切り替えて須世子から答えを引き出そうとした。

「よき下僕をお持ちですこと。私と多紀子様との付き合いに陛下は何をお感じになられましたの?」

「あの子をここに連れてきなさい。ふふ、私多くの者から見られてきたけど、人に魅入ったことはなかった。多紀子を除いて。どういう意味かわかるかしら?」

 須世子はいったん黙って考えた。

「私に多紀子様を差し出せと?」

「差し出せとは言わないわ。あの子と交わらせて。多紀子様も私の参列にしたいわ」

「陛下がご所望なら構いませんことよ。でも私もその場にいてもよろしいですこと。ただでとは参りませんわ。やはり地位の保障を第一に。次に多紀子が他の者と情を欲している姿など認められませんわ」

「3人で交わりたいというの?」

「それが条件ですわ」

「のめなければ?」

「陛下の黒魔術への傾倒、数多くの淫蕩の日々について、飲み込むという保障ができなくなりますわ」

「脅しのつもり? ずいぶんと無礼な振る舞いですこと」

「これが交渉術というものですわ」

 須世子はやはりもろ刃の剣なのである。咲子は決断を迫られていた。今すべてが露見しては水泡に帰す。

「いいわよ。多紀子様を説得してきなさいな」

「かしこまりまして。では今宵も楽しみましょう」

 2人はまたみだりに耽ることにした。消灯時刻も忘れ、思う存分体を貪る。体ににじむ汗を舐めた。芳醇な恥部の香りを感じ取った。衣服を外し、露出した体を絡め合う。

「見るといいわ」

 咲子は体中に刻み込んだ刺青をとうとう晒した。背中には赤い竜が刻み込み、大きな躍動を感じさせる。腕には古代文字を刻み込み、神秘性を高めた。太ももには太陽を刻み込み、力強さを表した。ただ美しいだけではだめだ。あらゆる強さが王には必要だ。ようやく痛みも引いてきた。体に消えることのない刻印は決意の表れである。

「このような素晴らしい。剛毅なこと。私もあやかりたいですわ」

 須世子は腹部の唇の刺青にキスをした。

「光栄なことと思いなさいな。これからもっと楽しくしてあげる」

 咲子は須世子の肛門をなめ、しなやかな指を差し込んだ。須世子はあっと悲鳴を上げ、体を痙攣させる。

「ああ、そのようなところに、おやめになって」

 須世子はああ、ああと体をくねらせる。指を通して腸全体鈍い刺激がよぎる。

「多紀子様とはこのように恥じらい深いことをしているのかしら?」

「まさか、ああいけませんわ」

「次は多紀子様もいらっしゃるし、須世子様のこのような姿お見せできますね」

「そんな、ああ!」

 咲子はすっと指を抜いた。つんと腸の粘膜がまとわりつき、においが充満していた。

「ふふ、こういうのも悪くないわ。次からは色々用意しないとだめだわ。ねえそうでしょ?」

「いけませんわ。本当にすっかり淫蕩に耽っておりますのね」

「大胆にならないとね」

 こうして2人は夜更けにまであらゆる悪戯を行った。公女の部屋からあらゆる忌まわしい音が絶え間なく響き、荒淫の痕がまざまざと残っていた。

 後日、須世子は多紀子を連れて夜の咲子の寝室を訪れた。

「お連れ致しましたわ」

「よく来てくれたわ。くつろぐといいわ」

 多紀子は無言のまま頭を下げる。

「お茶を入れていたところだわ。飲むといいわ」

「ありがたいこと。頂きますわ」

「恐れ入ります」

 静かな茶会が始まる。

「それで? 御用とはいかが致しました?」

「こうしてお茶をするのは久しぶりだから、こうして遅くに集まってもらったの。多紀子様はどうこの所?」

「いえ。特にお変わりなく」

「相変わらずね。陛下のお気遣いに対して、もっと気の利いたことを言いなさいな」

「陛下?」

 須世子の言葉に、多紀子は違和感を持った。咲子は公女という立場にあり、その尊称は殿下であった。ただ古くからの知人である須世子と多紀子は名前で呼んでいた。

「咲子様はいよいよ大事業に乗り出すそうで。私たちは付き従う時が来たのよ」

 須世子は高らかと宣言するが、多紀子の表情は違和感が増していく。

「そんな困ったことではないわ。大いなる力を手に入れ、この世界を束ねる覇者となる。その所信表明を近々するの。あなた方は特別な友人だからお伝えしたの」

「そのようなあれほどお止めくださいとご注進申し上げたのに」

「当然あなたも私に従うわよね? 春日宮は太古の昔より我が一族に味方し、敵を打ち払った。今こそ私とともに」

 咲子の熱弁の途中に多紀子は席を立ち、首を静かに降る。もはや話にならないと言わんばかりである。

「申し訳ございませんが、そのような軽口にご賛同はできかねます。御考え直しくださいませ。では、そろそろ戻りませんと。須世子様、戻りましょう? 須世子様?」

 多紀子は隣に座っていた須世子に話しかけたが、反応がない。須世子はかすかな寝息を立て眠りについていた。手から不意にカップがこぼれ落ちる。床に落ちてカップは砕けた。

「須世子様? どうなさいました? お部屋に戻りましょう」

「ふふ、きっとお疲れなのよ。まあいいわ。夏帆に頼んで隣部屋で寝かせておきましょう」

 咲子は怪しく微笑むと隣部屋につながる扉を開き、夏帆を呼んできた。隣部屋から夏帆とその後ろに2人の少女が入ってきた。

「隣に運んであげて」

「はい」

 3人は須世子を引きずるようにして隣部屋に運んだ。まるで死体を片付けているようで

多紀子は不吉な感覚を覚えた。

「大丈夫です? 寮母さまに言わなくては」

「いいのよ。さあ私たちで楽しみましょう」

「いえ。そろそろ消灯時間ですわ。お話はもう」

「まだよろしいじゃないの。私の考えには多紀子様は不可欠なお方ですわ。私とともこの世界を末永く束ねてみたいと思わない?」

 咲子はすっと多紀子の手を取った。

「せっかくですが、ご遠慮いたしますわ。それと軽はずみな言動はお控えくださいませ」

「私が本気でないと思っているの?」

 咲子は立ち上がると自らの寝巻を脱いだ。カシミールの下着の隙間から、咲子の素肌が露わになる。

「これが私の姿。よく見るといいわ」

 咲子はブラジャーを外し、多紀子に背中の刺青を見せつけた。多紀子はハッと口に手を覆う。赤く塗り染められた竜を見て、異様な感覚を覚えた。

「なぜこのような」

「地深くに幽閉された烈王を称え、私は王となります。どうかしら?」

 多紀子は言葉を失う。春日宮家は代々聖族と共に繁栄を謳歌してきた。それがどうだろうか? 主の変節に多紀子はどうすればいいのか分からなくなった。

「私にはどうすることもできません。ただ、このような行いを決して陛下はお喜びにならないと存じ上げます」

「陛下? どなたのことを言っているの? この私は王。その呼称は私に相応しい」

「陛下とは聖女様のことを申しております。咲子様は次期聖女となるお方。ですからこのような」

 一糸も纏わない咲子は、蛇のように多紀子の体にまとわりついた。水色のシルクの寝巻越しに多紀子の四肢を揉んだ。

「誰も邪魔する者はいない。私たちだけ。堅苦しい話は抜きにして2人きりで楽しみませんこと?」

「おやめください。はしたない行動は」

「ふふ、須世子と仲睦まじいのに私は拒むの?」

 多紀子は咲子の手を振り払い、部屋から逃げ出す。背後に夏帆と2人の少女たちが立ちはだかる。

「この子たちは私の忠実な駒。手荒いことはあまりしたくないけど。ほら」

 咲子の指示に従うと、3人は多紀子に迫った。1人が多紀子の腕をつかみ、もう一人が縛り上げた。3人がかりで多紀子を柱に括りつけた。

「ふふ、あなたがいけないのよ。でもあなたはこれで逆らえないわ。私に付いて行く気になったかしら?」

「お放し下さいませ」

「つまらないこと言わないの。これからだわ。一緒に楽しみましょう」

 どれほどこのときを待ち望んだことだろう。多紀子の自由を封じ、貪れるのだ。美しい。なんて美しい!

 ベリベリと寝巻が引き裂かれる。中の桃色の豊胸がふっと飛び出した。多紀子は持つべきものを持っている選ばれた存在である。ならば同じ存在にある自分こそが所有するにふさわしい。

「私たちは特別。あなたも心では交わりたがっているはずだわ。もう須世子なんて捨てて私と一緒になりなさい」

 まざまざと多紀子の横顔を見る。そこには恐怖と嫌悪が入り乱れている。王たる者への畏怖として捉えるべきだ。

「怖い? そうだわ。もっと怖がって! ね、解いてあげて」

 咲子は本格的に多紀子の体を弄ぶことにした。自由になったとたん、多紀子は逃げようとした。そこを4人が押さえつけ、ベッドに連れて行く。

「言いし難い快楽にあなたは耐えられる?」

「やめて」

「ふふ、何だか気弱じゃないの。大丈夫私たちだけの秘密」

 咲子は恥部を徹底的にこすり付け、じわりじわりと刺激を与え続ける。

 四肢の動きを封じられた多紀子は体をくねらせ耐えようとしていた。

「やめて。お願い。いやです」

「感じやすいのね。初心なこと」

 多紀子の揺れは大きくなりピクリピクリと痙攣し、恥部からヒュウッと音を立て体液が飛び出した。体液は四散し、4人に合わすことなく降り注いだ。咲子は顔にかかった咲子の体液を甘いジュースを飲み干すように口に含ませる。

「すごいわね。次は私の番だわ」

「陛下、私たちのことも忘れては困りますわ。さあ多紀子様お続けになって。夜の宴はこれからでございますわ」

 咲子、多紀子、夏帆と2名の少女たちを含めた5人の乙女は折り重なり、快楽の限りを尽くした。そこは紛れもない乙女たちの楽園であった。
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