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新入生歓迎会#1
しおりを挟む衝撃の(?)食堂体験から数日後。
「来週、新入生歓迎会が開催されると生徒会より通達がありました」
毎週水曜日にあるLHRにて、学級委員の北峯君が教壇上でそう言った途端……
『――うおおおおお!!』
教室中で歓喜の声が沸き上がった。
そんな喜ぶもの!?
「中等科から居る人は、もう毎年のことだからわかってるとは思うけど……初めての参加の人もいるから、何をするかについては事前説明をしておくように言われていますので、今から説明します」
北峯君の説明によると、新入生歓迎会というのは全校生徒で行う鬼ごっことのことだった。
互いが逃げる方でも、鬼でもある、盛大な鬼ごっこ。
捕まらなければ何人でも捕まえることができるけど、一度捕まってしまうとそこでゲームオーバーらしい。
これを、今の時期に必ず新入生歓迎会として毎年行っているのだという。
確かに楽しそうではあるけど……そんな叫ぶくらい喜ぶことか?
「この鬼ごっこでは捕まえた人一人につきポイントが入り、より多くのポイントを稼いだトップ5人には、これも毎年のことですが生徒会から素敵な賞品がありますので……皆さん頑張ってくださいとのことです」
……成程、賞品があるのか。だからあんなに喜んでたのかな?
「あと、それとは別に、鬼ごっこの最中に、一度も捕まらなかった人については……捕まえた人の中から一人選んで、その人と一日、北大路グループの経営している遊園地で遊ぶ権利が与えられるので……皆さん捕まらないように頑張ってくださいとのことです」
『――うおおおおおおーーーー!!』
また叫び声があがった!
ていうかそれって、つまり……
「皆~、デート権獲得のために頑張って!」
!?
いつのまにかあの生徒会のチャラ男が北峯君の横に立っていた!
「……天沢先輩、いつの間に居たんですか?」
「ついさっきだよ~。皆のやる気を上げたくて来ちゃった~!」
チャラ男こと天沢会計は皆へ向けて笑顔で手を振った。
『きゃー!会計様ー!』
『素敵ー!』
『流石北斗学園のキューピッド!』
なにそれ!?
……そういえばあの人、恋愛相談室みたいなことやってるって北峯君が言ってたっけ……
なんでそんなことしてんだろ……
「――貴方は無駄なことをしていないでさっさと端末を渡しなさい」
「いてっ!もー!美里はせっかちなんだから~!」
『――きゃああああああ!!副会長様ー!!』
すると今度は副会長が現れ、天沢会計の頭をはたいた。
「源副会長まで……ご苦労様です」
「ええ、本当に。この馬鹿が一つ一つの教室で油を売るから困っているんですよ」
「皆の士気を上げるのは大事なことじゃん!」
「黙りなさい。北峯さん、これが歓迎会のときに使う端末ですので、当日までに皆さんに配っておいてください」
「わかりました」
「では次に行きますよ。ほら、悠馬。愚図愚図していないでさっさと来なさい」
「はーい。じゃあね皆ー!当日よろしく~!」
生徒会二人は北峯君に箱を渡して、嵐のように去っていった。
「……というわけなので、皆、当日は頑張ってください」
『うおおおおーー!!!』
皆が雄叫びを上げる中、俺は既に若干置いて行かれ気味だった。
***
新入生歓迎会の告知があった日の昼休み。
俺はハルと祥吾と共に、空き教室で昼食を取っていた。
あれからお昼は、最初に一人で医務室で診察を受けてから、ハルと祥吾と合流して三人で昼食をとるようになっていた。
ハルと祥吾は事あるごとに言い合いをしている(主に祥吾から)が、俺にとっては、大好きな弟に加えて初めての友達とも一緒に過ごせる昼はとても楽しく、毎日幸せだった。
「あ、ハル、その春巻き美味そうだな」
ハルは自分で料理をするって言っていたとおり、いつもおいしそうなお弁当を持っていた。
「……食いたいのか?」
「う、うん。駄目?」
ハルの料理は、祥吾の作る料理に負けず劣らず美味しいので、いつもは自分から食べたいと思うことはないんだけど、ハルのお弁当については例外だった。
するとハルは、ずい、とお弁当をこちらに差し出した。
「ほらよ」
「いいの?」
「ああ」
「ありがとう!」
ハルの春巻きは中身がたっぷり入っていて、ジューシーでとても美味しかった。
「ん~!うま~!」
「食いたいならもっと食っていいぞ」
「え、いいの?」
「お前は普段食わなさすぎるからな」
「う……」
本当のことなので何も言えなかった。
春巻きをもう一つもらって咀嚼していると、そのやり取りを見ていた祥吾が叫んだ。
「ちょっと柊!北大路治良のばっか食べないでよ!オレの作ったのも食べて!」
「え?食べてるじゃん」
「そうだけど、そうじゃなくてー!」
「?」
何故そんなに怒っているのかよくわからなかった。
「あ、ハル。このおにぎりも一口食べていい?」
「あ?いいけど」
「ありがとー」
よくわからない祥吾は放っておいて、次に俵型に握られているおにぎりを一口貰うと、ハルがこちらを見て何かに気付いた。
「ん?お前……ちょっと動くな」
「え?」
するとハルは、俺の顎をつかみ、自分の方へ向けさせた。
そしてゆっくりと顔を近付けてくる。
「ちょっ……な、何……?」
突然のことに、俺は困惑した。
ドキドキと心臓がうるさい。
その間もどんどんとハルの顔が近づいて、思わず俺は目を瞑った。
すると、頬に指が触れる感覚がした。
「飯粒ついてたぞ」
「……へ?」
そう言われ目を開けると、ハルの指にご飯粒が付いていた。
「あ、ありがとう……」
ばくばくとうるさい心臓を押さえつつ、ハルに礼を言った。
……なんだ。
ご飯粒取ってくれただけか。
……って、『なんだ』ってなんだ!?
「……何してんだこのヤロー!!」
「――いってえ!?」
すると次の瞬間、祥吾がハルの指に噛み付いた。
何してんだ!?
「柊になにしようとした北大路治良!」
「っざけんな!飯粒取っただけだろうが!指噛むな!」
「お前取ったご飯粒食べるつもりだっただろ!」
「はあ!?食べるか!」
「そうはさせるか!柊のほっぺについてたご飯粒はオレのものだ!!」
「何言ってんの!?」
変なことを叫びながらハルの指に噛み付いている祥吾を慌てて引きはがした。
「なにやってんだよ祥!」
「だってこいつがまるで恋人みたいなことしてるから!」
「意味わかんねえよ!」
おかしい……祥吾はこんなことをする奴じゃなかったのに……
「……コイツ本当どうにかしろ……」
「ごめん……無理」
ついには泣き出した祥吾を宥めつつ、ハルと二人で深いため息を吐いた。
「……治良……」
――そんな俺達のことを、空き教室の扉の窓から見つめている影があったことに、当然俺は気付かなかった。
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※
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