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新入生歓迎会#2
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何とか祥吾を宥めて教室に戻ると、机の上に腕時計のようなものが置かれていた。
「なにこれ?」
「今度の新入生歓迎会で使う端末だよ。これを付けることで、誰が誰を捕まえたか、また誰に捕まったのかわかるようになってるんだよ」
俺の疑問に応えてくれたのは北峯君だった。
「ああ……さっき生徒会の人が持ってきてたやつ?」
「そう」
「でも、俺……これ……」
「どうしたの?」
俺は端末を見て言い淀んだ。
「俺、これには参加できないよ」
「え、どうして?」
「だって、鬼ごっこでしょ……?俺、すぐぶっ倒れそう」
走るのもままならない俺が、全校生徒参加の鬼ごっこになんて参加できるとはとても思えなかった。
「ああ……、でもこれ、全員強制参加なんだよね」
「え!?」
「だからよっぽどのことがない限りはどうしたって参加させられるし、参加した方がいいよ。今後に響くし」
「ど、どういうこと……?」
「うちの学校って全寮制だから、こういう行事に参加しないと、周りの皆からの心証は悪くなって、居づらくなるよ」
「あ、そういうこと……」
確かに俺、ただでさえ休んでばっかだし、こういう行事くらいは参加しないと、どんどんいない存在になるかも……
「体が心配なら、始まってすぐに誰かに捕まえてもらえばいいよ。捕まっちゃえば、そこで終了だからさ」
「あ、なるほど」
そうか、ルール的には捕まったらそこでゲームオーバーなんだった。
最初に捕まえてもらっちゃえば、あとは待機しているだけでいいんだ。
「あ、でも、捕まえてもらう人はちゃんと考えなね。その人がもし逃げ切って、デート権行使されたら困るでしょ?」
「……そういえばそんなのもあるんだっけ……」
あり得ないとは思うけど、万が一デートしてくださいなんて言われたら困る。
だとしたら、やっぱり祥吾に捕まえてもらうのが一番かな?弟だし。
「そういうことだからね、治良」
「……は?」
「お前もちゃんと参加しなよ」
「……」
突然北峯君に話を振られたハルは、露骨に嫌そうな顔をした。
「中等科のときもずっとサボってたんだから。ちょっとくらいは参加しないと、どんどん心証悪くなるよ」
「……んなの元からだろ」
「でも、色々心配じゃないの?」
そしてなぜか俺は北峯君にポン、と肩を叩かれた。
「『友達』なんでしょ?心配じゃないの?」
「……チッ」
ハルは不機嫌そうに舌打ちした。
……よくわからないけど、なんか俺のこと言われてるっぽい?
「だ、大丈夫だぞハル!俺は自分でなんとかするから!捕まえてもらうのは祥にしてもらえばいいし!」
そう言うと、ハルはさらに顔を顰めた。
「……あいつが一番駄目だろ」
「え、なんで?」
「二宮君、僕も彼に捕まえてもらうのはやめた方がいいと思うよ」
「え!?北峯君まで!?」
弟なのにどうして!?
「……やっぱり心配だね、ちゃんと『友達』として見てあげなね」
「……わかったよ」
「……??」
よくわからない空気のまま、午後の授業の開始のチャイムが鳴り、この話題は強制終了した。
***
時は進み、あっという間に新入生歓迎会の日がやってきた。
鬼ごっこの開始前、全校生徒たちは高等科の講堂にクラスごとに集まっていた。
集まった生徒たちは誰もかれもがなんだか燃えていた。
『今回こそ生徒会の皆様を……!』
『絶対にあの子を捕まえて、デートしてもらうんだ!』
『賞品!賞品!』
『俺……この歓迎会が終わったらデートするんだ……』
……うん、とても熱い。
「うう……」
俺は既に熱気に飲まれていた。
「おい。大丈夫か。酔ったのか」
「う、ううん。大丈夫」
心配して顔を覗き込んできたハルに、笑って返した。
俺は元々人がたくさんいる場所が苦手だ。
人酔いして、気持ち悪くなってくるからだ。
正直今もちょっときているが、何とか耐えた。
ここで棄権したら、皆からの心証は悪くなるかもしれない。
もちろんうちのクラスの人たちは事情がわかってるけど、できることなら棄権はしたくない。
――俺だって、こういう行事に参加するのは憧れだったんだ。
今までずっと、学校行事には体調が理由で参加できないことが多かったから。
だから、できることなら、参加したということだけでも残したい。
「始まるまでそこに座ってろよ」
「う、うん。そうする」
ハルに言われ、俺は始まるまで講堂の隅で座って待機した。
「なにこれ?」
「今度の新入生歓迎会で使う端末だよ。これを付けることで、誰が誰を捕まえたか、また誰に捕まったのかわかるようになってるんだよ」
俺の疑問に応えてくれたのは北峯君だった。
「ああ……さっき生徒会の人が持ってきてたやつ?」
「そう」
「でも、俺……これ……」
「どうしたの?」
俺は端末を見て言い淀んだ。
「俺、これには参加できないよ」
「え、どうして?」
「だって、鬼ごっこでしょ……?俺、すぐぶっ倒れそう」
走るのもままならない俺が、全校生徒参加の鬼ごっこになんて参加できるとはとても思えなかった。
「ああ……、でもこれ、全員強制参加なんだよね」
「え!?」
「だからよっぽどのことがない限りはどうしたって参加させられるし、参加した方がいいよ。今後に響くし」
「ど、どういうこと……?」
「うちの学校って全寮制だから、こういう行事に参加しないと、周りの皆からの心証は悪くなって、居づらくなるよ」
「あ、そういうこと……」
確かに俺、ただでさえ休んでばっかだし、こういう行事くらいは参加しないと、どんどんいない存在になるかも……
「体が心配なら、始まってすぐに誰かに捕まえてもらえばいいよ。捕まっちゃえば、そこで終了だからさ」
「あ、なるほど」
そうか、ルール的には捕まったらそこでゲームオーバーなんだった。
最初に捕まえてもらっちゃえば、あとは待機しているだけでいいんだ。
「あ、でも、捕まえてもらう人はちゃんと考えなね。その人がもし逃げ切って、デート権行使されたら困るでしょ?」
「……そういえばそんなのもあるんだっけ……」
あり得ないとは思うけど、万が一デートしてくださいなんて言われたら困る。
だとしたら、やっぱり祥吾に捕まえてもらうのが一番かな?弟だし。
「そういうことだからね、治良」
「……は?」
「お前もちゃんと参加しなよ」
「……」
突然北峯君に話を振られたハルは、露骨に嫌そうな顔をした。
「中等科のときもずっとサボってたんだから。ちょっとくらいは参加しないと、どんどん心証悪くなるよ」
「……んなの元からだろ」
「でも、色々心配じゃないの?」
そしてなぜか俺は北峯君にポン、と肩を叩かれた。
「『友達』なんでしょ?心配じゃないの?」
「……チッ」
ハルは不機嫌そうに舌打ちした。
……よくわからないけど、なんか俺のこと言われてるっぽい?
「だ、大丈夫だぞハル!俺は自分でなんとかするから!捕まえてもらうのは祥にしてもらえばいいし!」
そう言うと、ハルはさらに顔を顰めた。
「……あいつが一番駄目だろ」
「え、なんで?」
「二宮君、僕も彼に捕まえてもらうのはやめた方がいいと思うよ」
「え!?北峯君まで!?」
弟なのにどうして!?
「……やっぱり心配だね、ちゃんと『友達』として見てあげなね」
「……わかったよ」
「……??」
よくわからない空気のまま、午後の授業の開始のチャイムが鳴り、この話題は強制終了した。
***
時は進み、あっという間に新入生歓迎会の日がやってきた。
鬼ごっこの開始前、全校生徒たちは高等科の講堂にクラスごとに集まっていた。
集まった生徒たちは誰もかれもがなんだか燃えていた。
『今回こそ生徒会の皆様を……!』
『絶対にあの子を捕まえて、デートしてもらうんだ!』
『賞品!賞品!』
『俺……この歓迎会が終わったらデートするんだ……』
……うん、とても熱い。
「うう……」
俺は既に熱気に飲まれていた。
「おい。大丈夫か。酔ったのか」
「う、ううん。大丈夫」
心配して顔を覗き込んできたハルに、笑って返した。
俺は元々人がたくさんいる場所が苦手だ。
人酔いして、気持ち悪くなってくるからだ。
正直今もちょっときているが、何とか耐えた。
ここで棄権したら、皆からの心証は悪くなるかもしれない。
もちろんうちのクラスの人たちは事情がわかってるけど、できることなら棄権はしたくない。
――俺だって、こういう行事に参加するのは憧れだったんだ。
今までずっと、学校行事には体調が理由で参加できないことが多かったから。
だから、できることなら、参加したということだけでも残したい。
「始まるまでそこに座ってろよ」
「う、うん。そうする」
ハルに言われ、俺は始まるまで講堂の隅で座って待機した。
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・悲しい過去🐜のたまにシリアス
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