5 / 17
第5話「魚屋のにおい」
しおりを挟む
六月の雨は、まるで誰かのため息みたいに降る。
しとしと、ぽつぽつ、時折、窓ガラスをくすぐるようなやさしい調子で、小さな音を立てながら、花村家の庭を濡らしていた。
あじさいの葉の上に、透明な水玉がころころと転がっている。
「雨って……なにかこう、人生の悲しみみたいなものを連れてくると思いませんこと?」
蘭子は、縁側に座り、頬杖をつきながらそう呟いた。
隣には、母・伊都子が座布団を敷いて、お茶をすすっている。
「蘭子、宿題したんか?」
「してますわ。心の中で」
「……それは宿題とは言わんのや」
「お母様、わたくしの心は常に詩を読んでおりますのよ。“あめふりは さびしさつれて かさのなか”……ふふ、どうかしら?」
「自作の俳句かいな」
伊都子は笑って、蘭子の頭を軽く撫でた。
娘の空想癖は相変わらずだったが、最近は言葉がますます饒舌になってきて、もはや母の理解を越え始めていた。
それでも、彼女の心がどれだけ繊細で、何を思っているかは、毎晩そっとつづる日記帳の厚みによって、母なりに感じ取っていた。
今日は日曜日。
学校が休みなのをいいことに、蘭子は朝から「冒険に出ますの」と宣言して、いつものサンハットとレインブーツを履いて、家を飛び出した。
目的地は――言うまでもなく、江本鮮魚店である。
だが今日は、おつかいではない。
彼女の心に決めた「計画」があった。
その名も、“蘭子・魚屋潜入作戦”。
「わたくし、もっと晋平さまのお仕事を知りたいの。彼の世界を覗かずして、どうして真実の愛を語れましょう」
母にそう告げたとき、「愛て……」と呆れたような返事が返ってきたが、蘭子は聞こえないふりをして、にっこり笑った。
雨がしとしと降る商店街。
傘を差した客足もまばらな午前十時過ぎ。
江本鮮魚店の暖簾は、いつもより少し湿気を帯びて、重たげに揺れていた。
「おはようございます、ごきげんようでございます」
傘を畳んで入ると、奥から和江がにこにこと顔を出した。
「まあまあ、蘭子ちゃん。今日もおしゃれやねぇ。……あら? お買い物じゃないの?」
「本日はですね、実地研修にまいりましたの。将来的にこのお店の仕組みを学ぶ必要があるかと存じまして」
「……? あんまり難しいこと言うと、魚も逃げるで」
「魚は逃げても、わたくしの心は捕まえますわ」
和江は「ようわからん子やなぁ……」と笑いながら、蘭子を奥の作業場へと通してくれた。
「お父さん、蘭子ちゃん来たでー」
作業場の奥で、大きな包丁を手にした重吉が「おう」と声を上げる。
作業台には氷の上にずらりと魚が並んでいた。
鯛、カツオ、イワシ、サバ、それに聞いたことのない名前の魚まで。
「ほほう……これが、食のオーケストラ……」
蘭子は興味津々で、魚の並びを一匹ずつ観察していった。
鱗の煌めき、目の透明感、エラの赤さ
――すべてが生きている証だった。
「晋平は、奥で氷の補充しとるよ。呼んでくるか?」
「いえ……わたくし、静かに観察してまいります」
作業場の端に置かれた木箱の陰から、蘭子はそっと顔を出した。
そこには、小さな氷室の中で、一心に氷を運ぶ晋平の姿があった。
桶に氷を入れ、それを運んでは魚の下に敷き、また戻る。
その動きは小さな体にしては重労働だが、晋平は文句ひとつ言わず、黙々と手を動かしていた。
「……ああ、なんて健気なお姿」
蘭子は胸の前で手を組み、ため息を漏らした。
(手はまだ小さくて子供だけど、その働きはもう立派な紳士。ああ、いずれその手が……)
その妄想の最中、ふいに晋平がこちらを向いた。
「あれ……蘭子?」
「きゃっ……! あっ、あら、偶然ね!」
バレてしまったことに頬を染めつつ、蘭子は慌てて木箱から飛び出した。
「その……わたくし、学びに来ましたの。あなたの世界を、少しでも近くに感じたくて」
晋平は、きょとんとしたまま、桶の氷を指さした。
「……冷たいよ。さわる?」
「まあ……!」
蘭子が手を伸ばすと、氷の粒がひやりと肌に触れた。
「つめたっ……でも、気持ちいい……」
「この氷、うちのお父さんが、毎朝仕入れてくるんだ。魚が新鮮に見えるようにって。あんまり長く持たないけど……」
晋平がぽつりと語るその口調は、いつもよりほんの少しだけゆっくりで、穏やかだった。
「……それって、素敵なことね。すぐに溶けてしまう美しさのために、今日という一日をつくるなんて」
蘭子はそう言って、氷の冷たさをじっと指の腹で感じていた。
「きみ、よくそんな言葉思いつくね」
「それは……たぶん、恋をしているから、ですわ」
晋平の手がピタリと止まった。
「え……こい?」
「ええ。氷みたいに儚くて、それでいてきらきらしていて。ふれたらすぐに溶けてしまいそうなもの。でも、それでも、わたくしは触れずにはいられませんの」
そう言って、蘭子は氷の桶に手を入れたまま、じっと晋平の顔を見つめた。
少年の頬が、ふわりと赤く染まっていく。
「……そっか」
それだけ言って、晋平はまた氷を運びに戻った。
その背中を見つめながら、蘭子は心の中でひとりつぶやいた。
(今はまだ、手を重ねることはできない。でも、こうしてすこしずつ、あなたの世界の温度を知っていければ……それで、十分)
帰り道、雨はやんでいた。
空には薄日が差し始めていて、濡れた石畳がまるで宝石のようにきらきらと光っていた。
蘭子は空を見上げ、帽子のつばをそっと持ち上げた。
「今日の蘭子劇場、第一幕終了。観客一名、成功……ってところかしら?」
そうつぶやいて、そっと微笑む。
たとえ誰に理解されなくても、夢見ることだけはやめない。
それが、花村蘭子の――小さな誓いだった。
しとしと、ぽつぽつ、時折、窓ガラスをくすぐるようなやさしい調子で、小さな音を立てながら、花村家の庭を濡らしていた。
あじさいの葉の上に、透明な水玉がころころと転がっている。
「雨って……なにかこう、人生の悲しみみたいなものを連れてくると思いませんこと?」
蘭子は、縁側に座り、頬杖をつきながらそう呟いた。
隣には、母・伊都子が座布団を敷いて、お茶をすすっている。
「蘭子、宿題したんか?」
「してますわ。心の中で」
「……それは宿題とは言わんのや」
「お母様、わたくしの心は常に詩を読んでおりますのよ。“あめふりは さびしさつれて かさのなか”……ふふ、どうかしら?」
「自作の俳句かいな」
伊都子は笑って、蘭子の頭を軽く撫でた。
娘の空想癖は相変わらずだったが、最近は言葉がますます饒舌になってきて、もはや母の理解を越え始めていた。
それでも、彼女の心がどれだけ繊細で、何を思っているかは、毎晩そっとつづる日記帳の厚みによって、母なりに感じ取っていた。
今日は日曜日。
学校が休みなのをいいことに、蘭子は朝から「冒険に出ますの」と宣言して、いつものサンハットとレインブーツを履いて、家を飛び出した。
目的地は――言うまでもなく、江本鮮魚店である。
だが今日は、おつかいではない。
彼女の心に決めた「計画」があった。
その名も、“蘭子・魚屋潜入作戦”。
「わたくし、もっと晋平さまのお仕事を知りたいの。彼の世界を覗かずして、どうして真実の愛を語れましょう」
母にそう告げたとき、「愛て……」と呆れたような返事が返ってきたが、蘭子は聞こえないふりをして、にっこり笑った。
雨がしとしと降る商店街。
傘を差した客足もまばらな午前十時過ぎ。
江本鮮魚店の暖簾は、いつもより少し湿気を帯びて、重たげに揺れていた。
「おはようございます、ごきげんようでございます」
傘を畳んで入ると、奥から和江がにこにこと顔を出した。
「まあまあ、蘭子ちゃん。今日もおしゃれやねぇ。……あら? お買い物じゃないの?」
「本日はですね、実地研修にまいりましたの。将来的にこのお店の仕組みを学ぶ必要があるかと存じまして」
「……? あんまり難しいこと言うと、魚も逃げるで」
「魚は逃げても、わたくしの心は捕まえますわ」
和江は「ようわからん子やなぁ……」と笑いながら、蘭子を奥の作業場へと通してくれた。
「お父さん、蘭子ちゃん来たでー」
作業場の奥で、大きな包丁を手にした重吉が「おう」と声を上げる。
作業台には氷の上にずらりと魚が並んでいた。
鯛、カツオ、イワシ、サバ、それに聞いたことのない名前の魚まで。
「ほほう……これが、食のオーケストラ……」
蘭子は興味津々で、魚の並びを一匹ずつ観察していった。
鱗の煌めき、目の透明感、エラの赤さ
――すべてが生きている証だった。
「晋平は、奥で氷の補充しとるよ。呼んでくるか?」
「いえ……わたくし、静かに観察してまいります」
作業場の端に置かれた木箱の陰から、蘭子はそっと顔を出した。
そこには、小さな氷室の中で、一心に氷を運ぶ晋平の姿があった。
桶に氷を入れ、それを運んでは魚の下に敷き、また戻る。
その動きは小さな体にしては重労働だが、晋平は文句ひとつ言わず、黙々と手を動かしていた。
「……ああ、なんて健気なお姿」
蘭子は胸の前で手を組み、ため息を漏らした。
(手はまだ小さくて子供だけど、その働きはもう立派な紳士。ああ、いずれその手が……)
その妄想の最中、ふいに晋平がこちらを向いた。
「あれ……蘭子?」
「きゃっ……! あっ、あら、偶然ね!」
バレてしまったことに頬を染めつつ、蘭子は慌てて木箱から飛び出した。
「その……わたくし、学びに来ましたの。あなたの世界を、少しでも近くに感じたくて」
晋平は、きょとんとしたまま、桶の氷を指さした。
「……冷たいよ。さわる?」
「まあ……!」
蘭子が手を伸ばすと、氷の粒がひやりと肌に触れた。
「つめたっ……でも、気持ちいい……」
「この氷、うちのお父さんが、毎朝仕入れてくるんだ。魚が新鮮に見えるようにって。あんまり長く持たないけど……」
晋平がぽつりと語るその口調は、いつもよりほんの少しだけゆっくりで、穏やかだった。
「……それって、素敵なことね。すぐに溶けてしまう美しさのために、今日という一日をつくるなんて」
蘭子はそう言って、氷の冷たさをじっと指の腹で感じていた。
「きみ、よくそんな言葉思いつくね」
「それは……たぶん、恋をしているから、ですわ」
晋平の手がピタリと止まった。
「え……こい?」
「ええ。氷みたいに儚くて、それでいてきらきらしていて。ふれたらすぐに溶けてしまいそうなもの。でも、それでも、わたくしは触れずにはいられませんの」
そう言って、蘭子は氷の桶に手を入れたまま、じっと晋平の顔を見つめた。
少年の頬が、ふわりと赤く染まっていく。
「……そっか」
それだけ言って、晋平はまた氷を運びに戻った。
その背中を見つめながら、蘭子は心の中でひとりつぶやいた。
(今はまだ、手を重ねることはできない。でも、こうしてすこしずつ、あなたの世界の温度を知っていければ……それで、十分)
帰り道、雨はやんでいた。
空には薄日が差し始めていて、濡れた石畳がまるで宝石のようにきらきらと光っていた。
蘭子は空を見上げ、帽子のつばをそっと持ち上げた。
「今日の蘭子劇場、第一幕終了。観客一名、成功……ってところかしら?」
そうつぶやいて、そっと微笑む。
たとえ誰に理解されなくても、夢見ることだけはやめない。
それが、花村蘭子の――小さな誓いだった。
0
あなたにおすすめの小説
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】
naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。
舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。
結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。
失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。
やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。
男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。
これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。
静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。
全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる