6 / 17
第6話「銀幕にあこがれて」
しおりを挟む
それは、たしか秋の風がふと冷たくなった日曜日の午後だった。
風鈴の音が、まだどこか名残惜しそうに鳴っていたが、空にはもう赤とんぼが飛び始めていた。
花村家の庭の金木犀も、ぽつぽつと花を咲かせはじめ、香りが風にのってふわりと室内にまで届いてくる。
「……ああ、なんて詩的な午後かしら」
蘭子は、縁側に敷いたクッションの上でひざを抱え、愛読書
――とは名ばかりの、外国映画のパンフレットをぱらぱらとめくっていた。
今日の特別なテーマは、「銀幕の女たち」だ。
映画館に貼られていた大判ポスターに写っていた、あの西洋の女優――グレタ・ガルボ。
その表情、その構図、そのドレス。
すべてが蘭子の中で“理想の女”として君臨し、彼女の心をつかんで離さなかった。
「彼女の目線……まるで、憂いをたたえた水面。わたくしも、あんな瞳を持ちたいわ」
鏡を持ち出して、同じ表情を何度も練習してみる。
やや首をかしげ、まぶたを半分閉じて、唇をほんの少しだけ開く。
「……違う。これは“眠そうな人”ね。もっと、“愛される苦しみ”を感じさせないと」
蘭子はふたたびパンフレットを覗き込むと、そこに書かれていたキャッチコピーに目をとめた。
“To be loved is to suffer. But what a sweet pain it is.”
「愛されることは、苦しみ……。でも、それは甘美なる痛み……!」
(なるほど、愛されすぎてつらいのね。まったく、わたくしと同じですわ)
蘭子の脳内では、もう映画の一場面が出来上がっていた。
彼女は恋をした。
無骨で寡黙な魚屋の王子に。
だが、その恋は
――言葉にするにはまだ幼く、手を握るには早すぎる。
近づきたくて近づけず、見つめるだけの関係。
それはまさに、「To be loved is to suffer」の世界だった。
「お母様、わたくし、演技の練習をしたいのですが、魚屋の前に立って泣いていてもよくって?」
夕方の食卓を前に、そんな突飛な発言をしたのは蘭子だけだ。
母・伊都子は味噌汁の椀を差し出しながら、「それやったら営業妨害やで」と一言。
「でも、涙は女優の武器ですもの。晋平さまの心に訴えるためには、多少の犠牲は……」
「晋平くんに訴えてどうすんのよ。あの子、ほんまに魚さばく練習ばっかりしとるだけやで」
「そこがいいんですのよ。“心を見せない男”は、女に想像させる隙を与えるものですの」
伊都子は「はあ……」とため息をついたが、それ以上は言わなかった。
何を言ってもこの娘には通じないと、もはや諦めの境地に入っていた。
翌日、学校でも蘭子の“映画熱”は爆発していた。
国語の時間に配られた詩の朗読も、蘭子の手にかかれば立派な“朗読劇”に早変わりだ。
「秋の夕暮れに きんもくせいが匂う――その香りは、去年の私を思い出させる……」
先生が「もうちょっと普通に読んでね」と優しく言っても、蘭子はまったく悪びれない。
「わたくし、詩というものは“感じる”ものだと思っておりますの。文字だけでなく、音と間と、そして――まなざし!」
そして大仰に教室の片隅を見つめたとき、後ろの席の誰かが「また始まったよ」とささやいた。
だが、蘭子は気にしない。
いや、気にしていないふりをするのが、女優たるものの心得だった。
(ふふ……嫉妬ですわね。スポットライトの下にいる人間は、常に孤独なのですもの)
帰り道、雨が降り出した。
蘭子は傘を持っていなかった。
だが、走って帰ろうとは思わなかった。
なぜなら――雨は演出になるからだ。
(濡れながら歩く少女。その瞳に映るものは、ただ一人の王子の面影……)
そのとき、不意に後ろから声がかかった。
「蘭子、かさ!」
振り返ると、晋平が傘を差しながら立っていた。
「えっ……あら、晋平さま!」
「これ、貸す」
「いえいえ、だいじょうぶですの。これは……雨の演出なのですわ」
「え……えんしゅつ?」
「そう。“悲しみに濡れるヒロイン”という役を演じておりましたの」
晋平は困ったように眉をひそめたが、傘を傾けて、そっと蘭子の頭の上に差しかけてくれた。
「役とかいいから。風邪ひくよ」
その言葉に、蘭子の胸がじんとした。
台詞でもない、演技でもない、まっすぐな気遣い。
たった一言のその優しさに、彼女の心は波打った。
(ああ……彼は、何も言わずに優しさをくれる人。そういう人に、わたくしは恋をしていたのね)
ふたり並んで歩く帰り道。
傘はひとつ。
背の低い蘭子は、少しだけ背伸びをして晋平に肩を寄せる。
晋平は何も言わないまま、傘の柄を傾けて、ぎりぎりまで蘭子を濡らさないように気を配っていた。
「ねえ、晋平さま。あなた、好きな映画ってありますの?」
「うーん……見たことない、かも」
「まあ……それは人生の半分を損してらっしゃる! いえ、もしかしたら三分の一……」
「そんなに?」
「でも、きっとあなたの瞳には、映画にない景色が映ってるのかもしれませんわね。……魚とか」
「魚……うん、魚しか見てないかも」
蘭子は吹き出しそうになりながらも、ぐっと堪えた。
(彼の世界には、まだ映画はない。でも――)
「そのうち、一緒に見ましょう。スクリーンの向こう側へ、わたくしがお連れしますわ」
「……うん」
小さく頷いた晋平の横顔は、やはり少年で、でもどこか頼りがいがあって。
蘭子は傘の下でそっと笑った。
夜、日記帳にペンを走らせる蘭子の筆は、いつもよりなめらかだった。
《銀幕のような午後。雨とともに現れた晋平さま。傘の下にふたり、あれはまさにロマンスの幕開け》
《演技ではなく、素のままの心でふれあったひととき。愛はセリフに頼らなくても、静かに伝わるものなのね》
《……でもやっぱり、もう少し派手なシーンも欲しいわね》
ページの最後にそう書いて、蘭子はふっと笑う。
明日もまた、彼女の人生は続いていく。
銀幕にあこがれて、でも現実の中で、確かに一歩ずつ。
風鈴の音が、まだどこか名残惜しそうに鳴っていたが、空にはもう赤とんぼが飛び始めていた。
花村家の庭の金木犀も、ぽつぽつと花を咲かせはじめ、香りが風にのってふわりと室内にまで届いてくる。
「……ああ、なんて詩的な午後かしら」
蘭子は、縁側に敷いたクッションの上でひざを抱え、愛読書
――とは名ばかりの、外国映画のパンフレットをぱらぱらとめくっていた。
今日の特別なテーマは、「銀幕の女たち」だ。
映画館に貼られていた大判ポスターに写っていた、あの西洋の女優――グレタ・ガルボ。
その表情、その構図、そのドレス。
すべてが蘭子の中で“理想の女”として君臨し、彼女の心をつかんで離さなかった。
「彼女の目線……まるで、憂いをたたえた水面。わたくしも、あんな瞳を持ちたいわ」
鏡を持ち出して、同じ表情を何度も練習してみる。
やや首をかしげ、まぶたを半分閉じて、唇をほんの少しだけ開く。
「……違う。これは“眠そうな人”ね。もっと、“愛される苦しみ”を感じさせないと」
蘭子はふたたびパンフレットを覗き込むと、そこに書かれていたキャッチコピーに目をとめた。
“To be loved is to suffer. But what a sweet pain it is.”
「愛されることは、苦しみ……。でも、それは甘美なる痛み……!」
(なるほど、愛されすぎてつらいのね。まったく、わたくしと同じですわ)
蘭子の脳内では、もう映画の一場面が出来上がっていた。
彼女は恋をした。
無骨で寡黙な魚屋の王子に。
だが、その恋は
――言葉にするにはまだ幼く、手を握るには早すぎる。
近づきたくて近づけず、見つめるだけの関係。
それはまさに、「To be loved is to suffer」の世界だった。
「お母様、わたくし、演技の練習をしたいのですが、魚屋の前に立って泣いていてもよくって?」
夕方の食卓を前に、そんな突飛な発言をしたのは蘭子だけだ。
母・伊都子は味噌汁の椀を差し出しながら、「それやったら営業妨害やで」と一言。
「でも、涙は女優の武器ですもの。晋平さまの心に訴えるためには、多少の犠牲は……」
「晋平くんに訴えてどうすんのよ。あの子、ほんまに魚さばく練習ばっかりしとるだけやで」
「そこがいいんですのよ。“心を見せない男”は、女に想像させる隙を与えるものですの」
伊都子は「はあ……」とため息をついたが、それ以上は言わなかった。
何を言ってもこの娘には通じないと、もはや諦めの境地に入っていた。
翌日、学校でも蘭子の“映画熱”は爆発していた。
国語の時間に配られた詩の朗読も、蘭子の手にかかれば立派な“朗読劇”に早変わりだ。
「秋の夕暮れに きんもくせいが匂う――その香りは、去年の私を思い出させる……」
先生が「もうちょっと普通に読んでね」と優しく言っても、蘭子はまったく悪びれない。
「わたくし、詩というものは“感じる”ものだと思っておりますの。文字だけでなく、音と間と、そして――まなざし!」
そして大仰に教室の片隅を見つめたとき、後ろの席の誰かが「また始まったよ」とささやいた。
だが、蘭子は気にしない。
いや、気にしていないふりをするのが、女優たるものの心得だった。
(ふふ……嫉妬ですわね。スポットライトの下にいる人間は、常に孤独なのですもの)
帰り道、雨が降り出した。
蘭子は傘を持っていなかった。
だが、走って帰ろうとは思わなかった。
なぜなら――雨は演出になるからだ。
(濡れながら歩く少女。その瞳に映るものは、ただ一人の王子の面影……)
そのとき、不意に後ろから声がかかった。
「蘭子、かさ!」
振り返ると、晋平が傘を差しながら立っていた。
「えっ……あら、晋平さま!」
「これ、貸す」
「いえいえ、だいじょうぶですの。これは……雨の演出なのですわ」
「え……えんしゅつ?」
「そう。“悲しみに濡れるヒロイン”という役を演じておりましたの」
晋平は困ったように眉をひそめたが、傘を傾けて、そっと蘭子の頭の上に差しかけてくれた。
「役とかいいから。風邪ひくよ」
その言葉に、蘭子の胸がじんとした。
台詞でもない、演技でもない、まっすぐな気遣い。
たった一言のその優しさに、彼女の心は波打った。
(ああ……彼は、何も言わずに優しさをくれる人。そういう人に、わたくしは恋をしていたのね)
ふたり並んで歩く帰り道。
傘はひとつ。
背の低い蘭子は、少しだけ背伸びをして晋平に肩を寄せる。
晋平は何も言わないまま、傘の柄を傾けて、ぎりぎりまで蘭子を濡らさないように気を配っていた。
「ねえ、晋平さま。あなた、好きな映画ってありますの?」
「うーん……見たことない、かも」
「まあ……それは人生の半分を損してらっしゃる! いえ、もしかしたら三分の一……」
「そんなに?」
「でも、きっとあなたの瞳には、映画にない景色が映ってるのかもしれませんわね。……魚とか」
「魚……うん、魚しか見てないかも」
蘭子は吹き出しそうになりながらも、ぐっと堪えた。
(彼の世界には、まだ映画はない。でも――)
「そのうち、一緒に見ましょう。スクリーンの向こう側へ、わたくしがお連れしますわ」
「……うん」
小さく頷いた晋平の横顔は、やはり少年で、でもどこか頼りがいがあって。
蘭子は傘の下でそっと笑った。
夜、日記帳にペンを走らせる蘭子の筆は、いつもよりなめらかだった。
《銀幕のような午後。雨とともに現れた晋平さま。傘の下にふたり、あれはまさにロマンスの幕開け》
《演技ではなく、素のままの心でふれあったひととき。愛はセリフに頼らなくても、静かに伝わるものなのね》
《……でもやっぱり、もう少し派手なシーンも欲しいわね》
ページの最後にそう書いて、蘭子はふっと笑う。
明日もまた、彼女の人生は続いていく。
銀幕にあこがれて、でも現実の中で、確かに一歩ずつ。
0
あなたにおすすめの小説
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】
naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。
舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。
結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。
失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。
やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。
男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。
これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。
静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。
全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる