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第14話「魚屋の約束」
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六月の風が、花村家の簾(すだれ)をくぐり抜け、冷たい指先で頬をなでるように通り過ぎていく。
蘭子、十八歳
――旅立ちまで、あと十日。
家の中は静かだった。
誰もその話題を口にしないが、家族全員が、その日が近づいていることを、ひしひしと感じていた。
父は無口になり、母は縫いかけの布をやたらとほどいては縫い直し、女中のお初は、たまに泣きそうな顔で湯呑を運んでくる。
蘭子だけが、奇妙に静かで明るかった。
「ふふっ、お初ったら、そんな顔。わたくし、戦地に向かうのではありませんわ。ちょっと華やかな世界に行くだけですのよ」
「でもお嬢、あたしは……あたしはきっとさみしゅうなります」
「まあ……それはわたくしも同じこと。さみしさは、思いやりの別名。上京する者の特権みたいなものですわ」
そう言って笑ってみせたが、心の中の水面には、小さな波紋が確かに揺れていた。
(わたくしは、本当に、笑っているかしら……)
東京行きの準備は、着々と進んでいた。
衣装も決まった。
滞在先の下宿も、劇団の稽古場も、すべて手配されていた。
蘭子が選ばれた劇団は、「銀座演芸座」という、近年人気を伸ばしつつある若手中心の舞台集団だった。
前衛的な演出が売りで、“セリフよりも沈黙”、“動きよりも気配”を重んじる作風だという。
「まさにわたくしに、うってつけですわね……」
そう呟いて、蘭子は荷物の準備を続けた。
新しい下着に、手鏡、小さな香水瓶、筆記具。たくさんのポスターと舞台ノート。
そして、晋平から届いた、最後の魚の包みの包み紙
――「元気でな」の走り書きが残る紙切れを、ふわりと懐に入れた。
それは、言葉にならなかった手紙。
わたしの知らない感情が、確かに滲んだ紙だった。
出発の一週間前、商店街の寄り合いが開かれた。
「花村屋の蘭子ちゃんが、いよいよ東京へ出るんだってなあ」
「わしんとこの息子が、幼稚園の時の七夕の短冊に“らんこちゃんとけっこんしたい”って書いとったのに」
「うちの婆さんなんか、仏間に貼ったポスターまだ外してへんぞ。なんか守り札みたいになっとる」
寄り合いは半分、壮行会のような賑わいになった。
蘭子はその中心に、白い浴衣姿で佇んでいた。
薄くおしろいをはたき、淡い紅を引いた唇。
すっかり大人びたその姿に、誰もがひととき言葉を失った。
「まるで、大正のお姫さまのようや……」
誰かがそう言った。
それを聞いた蘭子は、静かに首を振った。
「いいえ……“昭和のおしゃま”として、咲いてまいりますわ」
みんなが笑った。
拍手が湧いた。
だけど、胸の奥では、蘭子ひとりだけが、ひとつの問いを繰り返していた。
(本当に、これで、良いのかしら)
その夜遅く、商店街の裏路地を、ひとり歩いた。
昼間とは違う、静かな匂い。
生乾きの魚箱、遠くで誰かが洗っている食器の音。
風が動かす古い看板。
そこに、あの店があった。
江本鮮魚店。
閉店した店先に、小さな明かりがぽつんと灯っていた。
中から包丁の音が聞こえる。
蘭子は、数秒躊躇ったあと、木戸をとんとんと叩いた。
「……どなた?」
「あたくし、です」
戸を開けたのは晋平ではなく、母の和江だった。
けれどその目は、すぐにすべてを理解した。
「あの子、奥におるよ」
蘭子は軽く頭を下げ、戸をすり抜けて、奥へと進んだ。
狭い作業場の片隅で、晋平が鯛をさばいていた。
白い割烹着の背中が、淡い電球に照らされている。
「……晋平さま」
「……蘭子」
ふたりの距離は、わずか三歩。
けれど、その三歩を詰めるには、勇気が必要だった。
「行く前に、どうしても、もう一度だけ……お顔を見ておきたくて」
「……うん」
「わたくし、たぶん、しばらくは帰って来られません」
「……知ってる」
「でも、晋平さま」
蘭子は、ゆっくりと手を伸ばした。
小さな懐から、ひと枚の布を取り出した。
それは、幼い頃に晋平からもらった、鰹節を包んだ古い晒し布だった。
子どもの頃、ポスター撮影のときに、緊張した蘭子を笑わせようと、晋平が「これが魔法のハンカチや」って渡してくれたもの。
「わたくし、これ、いままでずっと大事に持っていました」
晋平は、驚いた顔をした。
でも、すぐに笑った。
「……覚えてるよ」
「わたくし、東京に持っていきます」
「……うん」
ふたりは、見つめ合った。
幼馴染としての最後の目線ではなかった。
恋人としての最初の目線でもなかった。
それは、ただ“いまこの瞬間”に存在している、かけがえのない心の交差点だった。
「がんばれよ」
「ありがとうございます」
蘭子は、その一言で、やっと本当に旅立てる気がした。
家に帰ると、すでに父と母が床についていた。
蘭子は、自室の小机に向かって、最後の日記を書いた。
《晋平さま。あなたの言葉ひとつで、わたくしの旅路が光りました》
《でも、それは“恋の証”ではありません。これは、“誠の記憶”です》
《いつかきっと、もう一度、笑ってお会いできますように。そのとき、あなたがもしもわたくしを少しでも覚えていてくだされば、それで十分です》
《では――いってまいります》
万年筆を置き、深く一礼をした。
誰にともなく、誰のためでもなく。
それは、少女が少女を卒業する、静かな儀式だった。
夜風が簾を揺らし、蘭子の髪を優しく撫でていった。
蘭子、十八歳
――旅立ちまで、あと十日。
家の中は静かだった。
誰もその話題を口にしないが、家族全員が、その日が近づいていることを、ひしひしと感じていた。
父は無口になり、母は縫いかけの布をやたらとほどいては縫い直し、女中のお初は、たまに泣きそうな顔で湯呑を運んでくる。
蘭子だけが、奇妙に静かで明るかった。
「ふふっ、お初ったら、そんな顔。わたくし、戦地に向かうのではありませんわ。ちょっと華やかな世界に行くだけですのよ」
「でもお嬢、あたしは……あたしはきっとさみしゅうなります」
「まあ……それはわたくしも同じこと。さみしさは、思いやりの別名。上京する者の特権みたいなものですわ」
そう言って笑ってみせたが、心の中の水面には、小さな波紋が確かに揺れていた。
(わたくしは、本当に、笑っているかしら……)
東京行きの準備は、着々と進んでいた。
衣装も決まった。
滞在先の下宿も、劇団の稽古場も、すべて手配されていた。
蘭子が選ばれた劇団は、「銀座演芸座」という、近年人気を伸ばしつつある若手中心の舞台集団だった。
前衛的な演出が売りで、“セリフよりも沈黙”、“動きよりも気配”を重んじる作風だという。
「まさにわたくしに、うってつけですわね……」
そう呟いて、蘭子は荷物の準備を続けた。
新しい下着に、手鏡、小さな香水瓶、筆記具。たくさんのポスターと舞台ノート。
そして、晋平から届いた、最後の魚の包みの包み紙
――「元気でな」の走り書きが残る紙切れを、ふわりと懐に入れた。
それは、言葉にならなかった手紙。
わたしの知らない感情が、確かに滲んだ紙だった。
出発の一週間前、商店街の寄り合いが開かれた。
「花村屋の蘭子ちゃんが、いよいよ東京へ出るんだってなあ」
「わしんとこの息子が、幼稚園の時の七夕の短冊に“らんこちゃんとけっこんしたい”って書いとったのに」
「うちの婆さんなんか、仏間に貼ったポスターまだ外してへんぞ。なんか守り札みたいになっとる」
寄り合いは半分、壮行会のような賑わいになった。
蘭子はその中心に、白い浴衣姿で佇んでいた。
薄くおしろいをはたき、淡い紅を引いた唇。
すっかり大人びたその姿に、誰もがひととき言葉を失った。
「まるで、大正のお姫さまのようや……」
誰かがそう言った。
それを聞いた蘭子は、静かに首を振った。
「いいえ……“昭和のおしゃま”として、咲いてまいりますわ」
みんなが笑った。
拍手が湧いた。
だけど、胸の奥では、蘭子ひとりだけが、ひとつの問いを繰り返していた。
(本当に、これで、良いのかしら)
その夜遅く、商店街の裏路地を、ひとり歩いた。
昼間とは違う、静かな匂い。
生乾きの魚箱、遠くで誰かが洗っている食器の音。
風が動かす古い看板。
そこに、あの店があった。
江本鮮魚店。
閉店した店先に、小さな明かりがぽつんと灯っていた。
中から包丁の音が聞こえる。
蘭子は、数秒躊躇ったあと、木戸をとんとんと叩いた。
「……どなた?」
「あたくし、です」
戸を開けたのは晋平ではなく、母の和江だった。
けれどその目は、すぐにすべてを理解した。
「あの子、奥におるよ」
蘭子は軽く頭を下げ、戸をすり抜けて、奥へと進んだ。
狭い作業場の片隅で、晋平が鯛をさばいていた。
白い割烹着の背中が、淡い電球に照らされている。
「……晋平さま」
「……蘭子」
ふたりの距離は、わずか三歩。
けれど、その三歩を詰めるには、勇気が必要だった。
「行く前に、どうしても、もう一度だけ……お顔を見ておきたくて」
「……うん」
「わたくし、たぶん、しばらくは帰って来られません」
「……知ってる」
「でも、晋平さま」
蘭子は、ゆっくりと手を伸ばした。
小さな懐から、ひと枚の布を取り出した。
それは、幼い頃に晋平からもらった、鰹節を包んだ古い晒し布だった。
子どもの頃、ポスター撮影のときに、緊張した蘭子を笑わせようと、晋平が「これが魔法のハンカチや」って渡してくれたもの。
「わたくし、これ、いままでずっと大事に持っていました」
晋平は、驚いた顔をした。
でも、すぐに笑った。
「……覚えてるよ」
「わたくし、東京に持っていきます」
「……うん」
ふたりは、見つめ合った。
幼馴染としての最後の目線ではなかった。
恋人としての最初の目線でもなかった。
それは、ただ“いまこの瞬間”に存在している、かけがえのない心の交差点だった。
「がんばれよ」
「ありがとうございます」
蘭子は、その一言で、やっと本当に旅立てる気がした。
家に帰ると、すでに父と母が床についていた。
蘭子は、自室の小机に向かって、最後の日記を書いた。
《晋平さま。あなたの言葉ひとつで、わたくしの旅路が光りました》
《でも、それは“恋の証”ではありません。これは、“誠の記憶”です》
《いつかきっと、もう一度、笑ってお会いできますように。そのとき、あなたがもしもわたくしを少しでも覚えていてくだされば、それで十分です》
《では――いってまいります》
万年筆を置き、深く一礼をした。
誰にともなく、誰のためでもなく。
それは、少女が少女を卒業する、静かな儀式だった。
夜風が簾を揺らし、蘭子の髪を優しく撫でていった。
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