怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo

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59)赤い部屋の噂

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 「赤い部屋」——。
 インターネット黎明期から語られる都市伝説のひとつであり、そのページを見た者は死ぬとされる。

 「ネットで“赤い部屋”と検索してはいけない」
 「奇妙なポップアップが出たら、絶対に閉じてはいけない」

 しかし、最近になってこの話が再び現実になりつつあるという。

 これは、実際に“赤い部屋”を見てしまった者の体験談である。

「このサイト、知ってる?」
 大学生のKさん(20歳)は、ホラー好きの友人Tと共に、ネットの怪談を調べていた。

 その日は深夜、二人はTの部屋でYouTubeの怖い話動画を見ながら、ネットで怪談を検索していた。

 すると、Tがふと興味を持った話題を出した。

 「そういやさ、“赤い部屋”って知ってる?」

 「赤い部屋? ああ、昔流行ったやつか?」

 Kさんも聞いたことがあった。

 1990年代、ネット掲示板で広まった噂——

 「特定のサイトにアクセスすると、ポップアップが出て、“あなたは赤い部屋が好きですか?”と表示される」
 「そのポップアップを消しても、次々と表示され、最後には真っ赤な画面になる」
 「その後、アクセスした者は死亡し、部屋の壁が血で真っ赤に染まる」

 「まあ、単なるネットの怖い話だろ」

 そう言いながらも、Tはノートパソコンを開いた。

 “赤い部屋”の検索を始めたのだ。

***********************************

 「ほら、これだよ」

 Tは、とあるブログのリンクをクリックした。

 そこには、古いネット掲示板のスクリーンショットが掲載されていた。

 「赤い部屋とは?」
 「都市伝説ではなく、実際に存在するサイト」
 「2020年代になっても、消えたはずのページが時折発見されている」

 Kさんは、気味悪くなった。

 「まあ、フェイクだろ」

 しかし、Tはさらに深掘りし、あるリンクを見つけた。

 「赤い部屋 本物」

 そこには、シンプルなページが表示されていた。

 「アクセスしますか?」

 Tは迷わずクリックした。

 ピンッ——

 次の瞬間、パソコン画面に赤いウィンドウが浮かんだ。

 「あなたは赤い部屋が好きですか?」

 「うわっ、出た!」

 Kさんは驚いたが、Tは笑っていた。

 「ほら、ネタサイトだって」

 Tはポップアップを閉じた。

 だが——

 消しても、また出てくる。

 「……え?」

 何度消しても、赤い画面が表示される。

 「あなたは赤い部屋が好きですか?」

 「おい、これヤバくね?」

 Tの顔が青ざめた。

 「シャットダウンするわ」

 Tは電源ボタンを押した。

 しかし——

 画面は赤いまま、何も変わらなかった。

 Kさんは、スマホを取り出し、急いでネットで検索した。

 「赤い部屋のサイトを見た後の対処法」

 だが、検索結果の最上位にあったのは——

 「もう遅い」

 「ふざけんなよ……」

 すると、Tが震える声で言った。

 「K……壁……見てみろ……」

 Kさんは、Tの部屋の壁を見た。

 そこには、赤黒い文字が浮かんでいた。

 「田中」

 「え、誰の名前だよ!」

 Tは泣きそうな顔で首を振った。

 しかし——

 その文字は、ゆっくりと書き変わり始めた。

 「……K……」

 Kさんの名字が、壁に浮かび上がった。

 Kさんは、恐怖で部屋を飛び出そうとした。

 しかし、Tが叫んだ。

 「K! 後ろ!!」

 Kさんが振り向くと——

 画面の赤いウィンドウから、黒い手が伸びていた。

 「うわあああ!!」

 Kさんは、Tの腕を掴もうとした。

 だが——

 Tは、そのまま消えた。

 まるで、パソコンの画面に吸い込まれるように。

 Kさんは恐怖で気を失った。

 翌朝、Kさんは目を覚ました。

 しかし、Tの姿はなかった。

 警察に通報したが、部屋には異常がないと言われた。

 だが——

 Tのノートパソコンの画面には、「赤い部屋」のページが開いたままだった。

 そして、壁にはTの名前だけが、赤黒く残っていた。

「あなたも、好きですか?」
 Kさんは、その後もTを探し続けた。

 しかし、Tは二度と現れなかった。

 そして、ある日——

 Kさんのスマホに、不明な番号からの通知が届いた。

 「あなたは赤い部屋が好きですか?」

 Kさんは、その場でスマホを投げ捨てた。

***********************************

 もし、あなたがネットで「赤い部屋」の話を見つけても——

 絶対に、そのリンクをクリックしてはいけない。

 そして、もし——

 「あなたは赤い部屋が好きですか?」と聞かれたら。

 その瞬間、あなたの名前が——

 壁に浮かび上がるかもしれない。
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