怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo

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91)カーナビに導かれた道

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1. 深夜のドライブ
 Hさん(30代・男性)は、仕事終わりの帰り道だった。

 時計を見ると、午前2時過ぎ。

 東京から埼玉へ向かう高速道路を走っていたが、途中で急に眠気を感じ、ナビに従って近道を選択した。

 しかし、それが間違いだった。

2. 不自然なルート
 カーナビが指示した道は、街灯もない細い山道だった。

 「こんな道あったっけ……?」

 だが、ナビは確かにここを案内している。

 「まあ、少し走れば大通りに出るだろう」

 そう思いながら、Hさんはその道を進んでいった。

3. 繰り返されるルート
 しかし、どれだけ走っても同じ景色が続く。

 カーナビの画面を見ると——

 「目的地まであと3km」

 しかし、しばらく走っても、ナビの表示は変わらない。

 「おかしいな……」

 Hさんは、不安になりながらも走り続けた。

4. 「戻れ」
 しばらくして、ようやくT字路に出た。

 Hさんは、右へ曲がろうとした。

 しかし、その瞬間——

 カーナビが突然しゃべった。

 「左に進んでください。」

 「……いや、右の方が近道だろ?」

 「左に進んでください。」

 カーナビの声が、妙に低く響いた。

 Hさんは、不気味に思いながらも、左へハンドルを切った。

5. 何もない道
 左に進むと、さらに道は細くなっていった。

 やがて、ナビが目的地に到着しましたと告げた。

 しかし、目の前には——

 森しかなかった。

 「……ふざけんなよ」

 Hさんは、車を停め、スマホで地図を確認しようとした。

 しかし、その時——

 「ガタッ……」

 車の外で、何かが動いた。

6. 画面に映るもの
 Hさんは、スマホのカメラを起動し、車の外を映した。

 暗闇に向かってスマホをかざすと——

 画面に、無数の白い影が揺れていた。

 人影だった。

 しかも、みんなこちらを向いている。

 「……やばい!!」

 Hさんは、急いで車を発進させた。

7. 「後ろを見ないでください」
 猛スピードで道を戻るHさん。

 すると、カーナビが突然しゃべった。

 「後ろを見ないでください。」

 Hさんは、ゾッとした。

 後ろに、何かいるのか?

 しかし、どうしても気になり、バックミラーをチラッと見た。

 その瞬間——

 後部座席に、女が座っていた。

8. 消えたカーナビの記録
 Hさんは、気絶寸前になりながらも、とにかく車を走らせた。

 やがて、気づくと大通りに出ていた。

 後部座席には、もう何もいなかった。

 安心してカーナビを確認すると——

 ルート履歴が、すべて消えていた。

 さらに、目的地の履歴には——

 **「目的地:墓地」**とだけ記されていた。

9. その後の異変
 Hさんは、その日から数日間、体調が優れなかった。

 さらに、ある夜——

 カーナビが、勝手に起動した。

 画面には、見たことのない道が表示され——

 「次の目的地:あなたの家」

 その瞬間、カーナビが囁いた。

 「迎えにいきます……」

***********************************

 もし、あなたのカーナビが不自然なルートを案内したら——

 決して、その道を選んではいけない。

 そして、もし——

 カーナビが「後ろを見ないでください」と言ったら。

 その瞬間、あなたの車の後部座席には——

 すでに“誰か”が座っているのだから。
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