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第24話:探偵は黙して語らず(勉強しない)
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~ライブ補習旋風と、黙する名探偵~
期末試験まで、あと5日。
青葉ヶ丘高校の放課後は、例年にない活気に包まれていた。
各教室の扉には「生徒会ライブ補習 開催中!」と手描きのポスター。
放送部協力のもと、全校の空き教室で分散配信が行われている。
SNSには《#青学勉強革命》《#ギャル式解法マジ神》《#生徒会で人生変わった》といったタグが乱舞。
「ちょっとした教育改革じゃね?」
「早紀先輩、説明うますぎて普通に塾レベル」
「綾小路先輩の授業、謎だけど泣ける」
「マコト会長の配信は……」
「……なかったな」
「……ないね」
■それぞれの補習風景(ダイジェスト)
📚 早紀(国語):
1年A組教室には常に20人超の生徒が集まる人気枠。
黒板に“主語・述語・情緒”と書き殴りながら、文学作品の解釈をスピード解説。
「この比喩表現、なぜ“風”じゃなくて“雨”だったのか!
作者が泣いてるからだよ!心で読めぇ!!」
🧮 美穂(数学):
被服室でなぜかBGMが流れている。
持参したキラキラ色ペンでホワイトボードに「公式をギャル語訳」
「この因数分解、元カレと元カノにわけるイメージ~!片方(x-2)、もう片方(x+5)!はい、別れて!って感じ♪」
📘 蓮(英語):
図書室の一角で静かに進行。
テキストと辞書を片手に「英単語に潜む“犯人の動機”」まで解説。
「‘envy(羨望)’という単語は、“殺人事件の8割に関わる”感情です」
🧪 佐伯(理科):
理科室では毎日簡易実験つき。
今日は“レモンでLEDを光らせる”化学反応授業。
副題は「理科はマッドじゃなきゃ始まらない」。
🗺️ 詩織(現社):
生徒会室の一角にて資料満載。
今日のテーマは「憲法第13条と青春の相関関係」。なぜか面白いと評判。
🎭 綾小路(古典):
音楽室には観客用にライトが点き、授業冒頭は必ず寸劇からスタート。
今日の朗読は「伊勢物語~恋はまぼろし~」。
“古文の情念は、トリックと似ている”という謎理論が人気を博す。
■そして名探偵は――
図書館のすみ。
マコトは今日も、ページの先の事件に没頭していた。
『ミステリと言う勿れ』→「久能整の喋り、まじ参考になる……」
『屍人荘の殺人』→「“舞台型密室”の分類、今度議事録に使えるな……」
『そして誰もいなくなった』→「うわ、これ全滅エンドかよ……!」
ノートにはびっしりと書かれた推理構造の図と、“暗記してない数学公式”。
そこへやってきたのは、美穂だった。
ジュース片手にニッコニコ。
「おつかれ~マコト、今日の配信も“存在感ゼロ”だったね☆」
「ありがとう。でも俺、視聴専門だから。今夜まとめて録画見るし」
「その“まとめて見る”ってヤツで人生崩壊してる人、いっぱい見てきたよ?」
「俺は“名探偵”、学習方法が違うのだ……」
自信満々のマコト。
その夜。
生徒会LINEグループにて――
📝【蓮】
《“マコトの配信枠だけ”録画設定ミスってたらしい》
📷【佐伯】
《バックアップなし。残ってない。》
🎀【早紀】
《マジで“授業してない人”として終わったな》
🎨【美穂】
《逆にレア枠で人気出そうw》
🎭【綾小路】
《“教えない名探偵”――それもまた一興》
🕵️♂️【マコト】
《えっ マジ? 録画されてないの?》
🪞【詩織】
《これが俗に言う“自業自得”です》
■翌日、校内掲示板にて
📋【試験直前特別アンケート】
《生徒会の授業、わかりやすかった人は?》
【得票数トップ】
①早紀(国語)
②美穂(数学)
③蓮(英語)
④綾小路(古典)
⑤佐伯(理科)
(以下略)
【圏外】
・マコト(何もしてない)
備考:「伝説の空白配信」として伝説化しつつある
マコト「でもさ!まだ!試験前日じゃん!今からやれば間に合うかも!!」
早紀「“3日でなんとかなる”とか言う人が一番なんとかならないってデータ出てるから」
美穂「はい、次はマコトのための補習配信だね~☆」
蓮「主催・生徒会、対象・会長」
綾小路「タイトルは『探偵、公式に殺される』でどうだろう」
マコト「やめてえええええ!!!」
◆つづく◆
期末試験まで、あと5日。
青葉ヶ丘高校の放課後は、例年にない活気に包まれていた。
各教室の扉には「生徒会ライブ補習 開催中!」と手描きのポスター。
放送部協力のもと、全校の空き教室で分散配信が行われている。
SNSには《#青学勉強革命》《#ギャル式解法マジ神》《#生徒会で人生変わった》といったタグが乱舞。
「ちょっとした教育改革じゃね?」
「早紀先輩、説明うますぎて普通に塾レベル」
「綾小路先輩の授業、謎だけど泣ける」
「マコト会長の配信は……」
「……なかったな」
「……ないね」
■それぞれの補習風景(ダイジェスト)
📚 早紀(国語):
1年A組教室には常に20人超の生徒が集まる人気枠。
黒板に“主語・述語・情緒”と書き殴りながら、文学作品の解釈をスピード解説。
「この比喩表現、なぜ“風”じゃなくて“雨”だったのか!
作者が泣いてるからだよ!心で読めぇ!!」
🧮 美穂(数学):
被服室でなぜかBGMが流れている。
持参したキラキラ色ペンでホワイトボードに「公式をギャル語訳」
「この因数分解、元カレと元カノにわけるイメージ~!片方(x-2)、もう片方(x+5)!はい、別れて!って感じ♪」
📘 蓮(英語):
図書室の一角で静かに進行。
テキストと辞書を片手に「英単語に潜む“犯人の動機”」まで解説。
「‘envy(羨望)’という単語は、“殺人事件の8割に関わる”感情です」
🧪 佐伯(理科):
理科室では毎日簡易実験つき。
今日は“レモンでLEDを光らせる”化学反応授業。
副題は「理科はマッドじゃなきゃ始まらない」。
🗺️ 詩織(現社):
生徒会室の一角にて資料満載。
今日のテーマは「憲法第13条と青春の相関関係」。なぜか面白いと評判。
🎭 綾小路(古典):
音楽室には観客用にライトが点き、授業冒頭は必ず寸劇からスタート。
今日の朗読は「伊勢物語~恋はまぼろし~」。
“古文の情念は、トリックと似ている”という謎理論が人気を博す。
■そして名探偵は――
図書館のすみ。
マコトは今日も、ページの先の事件に没頭していた。
『ミステリと言う勿れ』→「久能整の喋り、まじ参考になる……」
『屍人荘の殺人』→「“舞台型密室”の分類、今度議事録に使えるな……」
『そして誰もいなくなった』→「うわ、これ全滅エンドかよ……!」
ノートにはびっしりと書かれた推理構造の図と、“暗記してない数学公式”。
そこへやってきたのは、美穂だった。
ジュース片手にニッコニコ。
「おつかれ~マコト、今日の配信も“存在感ゼロ”だったね☆」
「ありがとう。でも俺、視聴専門だから。今夜まとめて録画見るし」
「その“まとめて見る”ってヤツで人生崩壊してる人、いっぱい見てきたよ?」
「俺は“名探偵”、学習方法が違うのだ……」
自信満々のマコト。
その夜。
生徒会LINEグループにて――
📝【蓮】
《“マコトの配信枠だけ”録画設定ミスってたらしい》
📷【佐伯】
《バックアップなし。残ってない。》
🎀【早紀】
《マジで“授業してない人”として終わったな》
🎨【美穂】
《逆にレア枠で人気出そうw》
🎭【綾小路】
《“教えない名探偵”――それもまた一興》
🕵️♂️【マコト】
《えっ マジ? 録画されてないの?》
🪞【詩織】
《これが俗に言う“自業自得”です》
■翌日、校内掲示板にて
📋【試験直前特別アンケート】
《生徒会の授業、わかりやすかった人は?》
【得票数トップ】
①早紀(国語)
②美穂(数学)
③蓮(英語)
④綾小路(古典)
⑤佐伯(理科)
(以下略)
【圏外】
・マコト(何もしてない)
備考:「伝説の空白配信」として伝説化しつつある
マコト「でもさ!まだ!試験前日じゃん!今からやれば間に合うかも!!」
早紀「“3日でなんとかなる”とか言う人が一番なんとかならないってデータ出てるから」
美穂「はい、次はマコトのための補習配信だね~☆」
蓮「主催・生徒会、対象・会長」
綾小路「タイトルは『探偵、公式に殺される』でどうだろう」
マコト「やめてえええええ!!!」
◆つづく◆
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