26 / 79
第26話:書庫室に眠る“推薦取り消し”通知(1/4)
しおりを挟む
~その封筒は、未来を壊す~
2学期末試験も終わり、生徒たちの顔にようやく穏やかな空気が戻ってきた12月初旬。
雪の気配を含んだ曇り空が、校舎のガラス窓をぼんやりと曇らせていた。
青葉ヶ丘高校・旧校舎棟の3階。
誰も使っていない古びた書庫室で、ちょっとした**「発見」**があった。
「……これ、何?」
そこにいたのは図書委員の男子2人。
古い文集を整理していた彼らが、埃だらけのキャビネットの奥から見つけたのは――
白い封筒だった。
学校の正式な公印と校章。
中には、複数の印刷された紙。
そしてそこに記されていたのは――
『進学推薦内定 取り消し通知書』
『令和◯年度 青葉ヶ丘高校 推薦選考対象者:×××』
『取消理由:素行不良、成績不振、出席日数不足……』
数名分の名前が連なっていた。
しかも、そこには――
まだ“発表されていない”来年度内定予定者の名前も含まれていた。
■生徒会室、沈黙の中で
「……で? それが今、生徒の間で広まりかけてると?」
早紀が腕を組んで深く息を吐いた。
報告を持ってきたのは図書委員の副委員長。
正式な記録として生徒会に相談が入った、というわけだった。
「確かに、文書は本物っぽい。校章入り、日付、文面。
だけど……その“対象者”の中に**来年度内定予定の人間の名前がある”ってのが、おかしいのよ」
蓮が冷静に指摘する。
「つまり、“未来の内定取り消し”がもう用意されていた……?」
「それ、怖すぎない?」
美穂が眉をひそめる。
「推薦される前に、もう取り消す準備って……どんだけ信用してないのよ!」
「いや、そもそもこれは本物なのか? 偽物って可能性も――」
佐伯が言いかけたそのとき、静かにマコトが言った。
「いや……**これは“本物っぽく作られた偽物”**だ」
■名探偵の違和感
「公印の位置、微妙にズレてる。
しかも使用されてるフォントが、去年の推薦書類と違う。
“本物っぽいニセモノ”として作られたなら、目的はひとつだよね」
マコトは机を指でトントンと叩いた。
「“推薦を取り消されたら困る奴”に、見せるために作った。
要するに――これは脅迫だ」
■被害者? 加害者? それとも…
生徒会メンバーたちはその場で対象者の名前を控え、
慎重に調査を開始することを決定。
問題の“文書”には、以下のような構成があった:
推薦取り消し通知(印刷形式、複数人分)
差出人名なし、封筒には宛先もなし
だが一部、書き込みが鉛筆で加えられていた(※「こいつが本命」などのメモ)
「これ、“匿名のリーク”として仕組まれてるわね」
詩織が唸る。
「意図的に“見つけられるように置かれてた”可能性がある」
綾小路が呟いた。
マコトは封筒の内側をじっと見て、小さく笑った。
「この糊、去年の文化祭の入場チケットに使われてたやつと同じだ。
つまり、この封筒作った人間は“去年の文化祭の運営側”にいた可能性が高い」
「おぉ、地味だけど名探偵っぽい!」と美穂。
マコトが立ち上がり、言った。
「これは、生徒の未来を“文字”で潰すような悪意だ。
推薦という夢を、誰かがコントロールしようとしてる。
だったら俺たち――名探偵生徒会が、許すわけにはいかないでしょ」
「かっこよく言ってるけど、お前も推薦まだ決まってないだろ」と早紀が冷静にツッコむ。
「そこは今考えなくていい!!」
◆つづく◆
2学期末試験も終わり、生徒たちの顔にようやく穏やかな空気が戻ってきた12月初旬。
雪の気配を含んだ曇り空が、校舎のガラス窓をぼんやりと曇らせていた。
青葉ヶ丘高校・旧校舎棟の3階。
誰も使っていない古びた書庫室で、ちょっとした**「発見」**があった。
「……これ、何?」
そこにいたのは図書委員の男子2人。
古い文集を整理していた彼らが、埃だらけのキャビネットの奥から見つけたのは――
白い封筒だった。
学校の正式な公印と校章。
中には、複数の印刷された紙。
そしてそこに記されていたのは――
『進学推薦内定 取り消し通知書』
『令和◯年度 青葉ヶ丘高校 推薦選考対象者:×××』
『取消理由:素行不良、成績不振、出席日数不足……』
数名分の名前が連なっていた。
しかも、そこには――
まだ“発表されていない”来年度内定予定者の名前も含まれていた。
■生徒会室、沈黙の中で
「……で? それが今、生徒の間で広まりかけてると?」
早紀が腕を組んで深く息を吐いた。
報告を持ってきたのは図書委員の副委員長。
正式な記録として生徒会に相談が入った、というわけだった。
「確かに、文書は本物っぽい。校章入り、日付、文面。
だけど……その“対象者”の中に**来年度内定予定の人間の名前がある”ってのが、おかしいのよ」
蓮が冷静に指摘する。
「つまり、“未来の内定取り消し”がもう用意されていた……?」
「それ、怖すぎない?」
美穂が眉をひそめる。
「推薦される前に、もう取り消す準備って……どんだけ信用してないのよ!」
「いや、そもそもこれは本物なのか? 偽物って可能性も――」
佐伯が言いかけたそのとき、静かにマコトが言った。
「いや……**これは“本物っぽく作られた偽物”**だ」
■名探偵の違和感
「公印の位置、微妙にズレてる。
しかも使用されてるフォントが、去年の推薦書類と違う。
“本物っぽいニセモノ”として作られたなら、目的はひとつだよね」
マコトは机を指でトントンと叩いた。
「“推薦を取り消されたら困る奴”に、見せるために作った。
要するに――これは脅迫だ」
■被害者? 加害者? それとも…
生徒会メンバーたちはその場で対象者の名前を控え、
慎重に調査を開始することを決定。
問題の“文書”には、以下のような構成があった:
推薦取り消し通知(印刷形式、複数人分)
差出人名なし、封筒には宛先もなし
だが一部、書き込みが鉛筆で加えられていた(※「こいつが本命」などのメモ)
「これ、“匿名のリーク”として仕組まれてるわね」
詩織が唸る。
「意図的に“見つけられるように置かれてた”可能性がある」
綾小路が呟いた。
マコトは封筒の内側をじっと見て、小さく笑った。
「この糊、去年の文化祭の入場チケットに使われてたやつと同じだ。
つまり、この封筒作った人間は“去年の文化祭の運営側”にいた可能性が高い」
「おぉ、地味だけど名探偵っぽい!」と美穂。
マコトが立ち上がり、言った。
「これは、生徒の未来を“文字”で潰すような悪意だ。
推薦という夢を、誰かがコントロールしようとしてる。
だったら俺たち――名探偵生徒会が、許すわけにはいかないでしょ」
「かっこよく言ってるけど、お前も推薦まだ決まってないだろ」と早紀が冷静にツッコむ。
「そこは今考えなくていい!!」
◆つづく◆
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる