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第27話:内定者リストと、その中に“紛れた名前”(2/4)
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~このリストに、ひとりだけ“嘘”がいる~
翌日。
生徒会室のホワイトボードには、**推薦取り消し通知の文書に書かれていた「内定者名リスト」**が貼られていた。
マコトが丁寧に書き写し、蓮がそれぞれの氏名に出席番号とクラスを補記。
「……5人か。内定取り消しとされてるのは」
杉本 怜司(3年A組)…バスケ部エース、スポーツ推薦で有名大学内定済
相沢 真帆(3年B組)…生徒会書記(旧任)、国公立推薦候補
松下 拓海(3年C組)…書道部、芸術系大学進学志望
鳴海 和泉(3年D組)…理系オタク、某私立薬科大内定との噂
江藤 梨花(2年E組)…文系。推薦対象者という情報は、どこにもない
「ひとりだけ、おかしい名前が混ざってる」
早紀がリストを見つめながら呟いた。
「他の4人は、確かに“推薦枠”が公に知られてる人たち。でもこの子だけ――なにも知られてない」
「しかも学年が違う。2年生だ。推薦選考は来年の話のはず」
「つまりこれは、フェイク情報。
“本物の推薦生に混ぜることで、リスト全体をリアルに見せる”という手口よ」
詩織の目が鋭く光る。
マコトは、机の上の紙をパタパタと指で叩きながら呟いた。
「……“江藤 梨花”だけが嘘の情報だとすれば、
このリストは、江藤さんを狙い撃ちにした誰かの仕業って可能性がある」
「でも逆に、“江藤さんが自分で紛れ込ませた”可能性もないとは言えないわ」
と綾小路。
「“本当に推薦がほしいのに選ばれていない誰か”が、
“自分も入っているように偽装”して、他の推薦生を巻き込んだ――そんな線もある」
■調査対象:江藤 梨花(2年E組)
成績は中の上、生活態度に特筆すべき問題なし
部活:なし(1年時は放送部だが退部)
性格:大人しく、人付き合いは狭い
推薦の話:学校側・担任ともに一切予定なし
「でも、妙なのよね……」
美穂がスマホを見ながら言った。
「江藤さんのSNS、**先週から“鍵垢になってる”**んだよ。
それまでは普通に日常つぶやいてたのに、今はプロフィールも非公開」
「じゃあ、本人も“自分がリストに載ってる”ことを知ってる可能性があるわね」
■生徒会、接触へ
放課後――
マコト、早紀、蓮、美穂の4人が2年E組の教室を訪れた。
教室には数名の生徒。
その中で、江藤 梨花は静かにノートを閉じ、カバンに教科書を詰めていた。
彼女は、マコトたちに気づくと一瞬目を見開いた。
だが、その直後――無表情に戻る。
「……生徒会が、なんの用ですか?」
マコトは、あえて穏やかに言った。
「君の名前が、推薦取り消し通知に載っていた。
でも、調べた限りでは“そもそも君は推薦予定者じゃない”」
江藤は黙ったままだった。
「この名前、君が書いたの?
それとも――誰かに“書かれた”のかな?」
彼女の肩が、わずかに震えた。
だがそのとき、背後からひとりの女生徒が教室に入ってきて、声を上げた。
「――ねえ江藤さん、もう“やめた方がいい”んじゃない?」
全員が振り向いた。
そこに立っていたのは、同じクラスの生徒――
宮地 璃子(みやじ・りこ)。
生徒会も知っている、学年トップの秀才であり、先生からも推薦筆頭とされている人物だった。
「……どうしてあなたがそれを?」
マコトが尋ねると、璃子は言った。
「江藤さん、やったんだよ。“自分でその文書を紛れ込ませた”の。
“自分も推薦されてるってことにして、話題を作って、推薦の流れを操作しようとしたんだよ」
「ねえ、江藤さん。
あたしと、あんた、ずっと比べられてたもんね。
“似たタイプの女子”って、教師に言われてた」
「でも、あたしの方が上だったでしょ?」
「だったらなんで――わざわざ、自分で嘘をついたの?」
江藤は――黙ったまま、視線を落とした。
震える指先が、机の縁をギュッと握る。
「……“本当に私がやった”って、証拠……あるんですか?」
マコトは目を細めて言った。
「ない。……でも、他に怪しい人間がいる。
むしろ、君以外に“君の名前を使って得をする人物”がいるなら――」
「この事件、まだ本当の犯人には辿り着いていないってことだ」
◆つづく◆
翌日。
生徒会室のホワイトボードには、**推薦取り消し通知の文書に書かれていた「内定者名リスト」**が貼られていた。
マコトが丁寧に書き写し、蓮がそれぞれの氏名に出席番号とクラスを補記。
「……5人か。内定取り消しとされてるのは」
杉本 怜司(3年A組)…バスケ部エース、スポーツ推薦で有名大学内定済
相沢 真帆(3年B組)…生徒会書記(旧任)、国公立推薦候補
松下 拓海(3年C組)…書道部、芸術系大学進学志望
鳴海 和泉(3年D組)…理系オタク、某私立薬科大内定との噂
江藤 梨花(2年E組)…文系。推薦対象者という情報は、どこにもない
「ひとりだけ、おかしい名前が混ざってる」
早紀がリストを見つめながら呟いた。
「他の4人は、確かに“推薦枠”が公に知られてる人たち。でもこの子だけ――なにも知られてない」
「しかも学年が違う。2年生だ。推薦選考は来年の話のはず」
「つまりこれは、フェイク情報。
“本物の推薦生に混ぜることで、リスト全体をリアルに見せる”という手口よ」
詩織の目が鋭く光る。
マコトは、机の上の紙をパタパタと指で叩きながら呟いた。
「……“江藤 梨花”だけが嘘の情報だとすれば、
このリストは、江藤さんを狙い撃ちにした誰かの仕業って可能性がある」
「でも逆に、“江藤さんが自分で紛れ込ませた”可能性もないとは言えないわ」
と綾小路。
「“本当に推薦がほしいのに選ばれていない誰か”が、
“自分も入っているように偽装”して、他の推薦生を巻き込んだ――そんな線もある」
■調査対象:江藤 梨花(2年E組)
成績は中の上、生活態度に特筆すべき問題なし
部活:なし(1年時は放送部だが退部)
性格:大人しく、人付き合いは狭い
推薦の話:学校側・担任ともに一切予定なし
「でも、妙なのよね……」
美穂がスマホを見ながら言った。
「江藤さんのSNS、**先週から“鍵垢になってる”**んだよ。
それまでは普通に日常つぶやいてたのに、今はプロフィールも非公開」
「じゃあ、本人も“自分がリストに載ってる”ことを知ってる可能性があるわね」
■生徒会、接触へ
放課後――
マコト、早紀、蓮、美穂の4人が2年E組の教室を訪れた。
教室には数名の生徒。
その中で、江藤 梨花は静かにノートを閉じ、カバンに教科書を詰めていた。
彼女は、マコトたちに気づくと一瞬目を見開いた。
だが、その直後――無表情に戻る。
「……生徒会が、なんの用ですか?」
マコトは、あえて穏やかに言った。
「君の名前が、推薦取り消し通知に載っていた。
でも、調べた限りでは“そもそも君は推薦予定者じゃない”」
江藤は黙ったままだった。
「この名前、君が書いたの?
それとも――誰かに“書かれた”のかな?」
彼女の肩が、わずかに震えた。
だがそのとき、背後からひとりの女生徒が教室に入ってきて、声を上げた。
「――ねえ江藤さん、もう“やめた方がいい”んじゃない?」
全員が振り向いた。
そこに立っていたのは、同じクラスの生徒――
宮地 璃子(みやじ・りこ)。
生徒会も知っている、学年トップの秀才であり、先生からも推薦筆頭とされている人物だった。
「……どうしてあなたがそれを?」
マコトが尋ねると、璃子は言った。
「江藤さん、やったんだよ。“自分でその文書を紛れ込ませた”の。
“自分も推薦されてるってことにして、話題を作って、推薦の流れを操作しようとしたんだよ」
「ねえ、江藤さん。
あたしと、あんた、ずっと比べられてたもんね。
“似たタイプの女子”って、教師に言われてた」
「でも、あたしの方が上だったでしょ?」
「だったらなんで――わざわざ、自分で嘘をついたの?」
江藤は――黙ったまま、視線を落とした。
震える指先が、机の縁をギュッと握る。
「……“本当に私がやった”って、証拠……あるんですか?」
マコトは目を細めて言った。
「ない。……でも、他に怪しい人間がいる。
むしろ、君以外に“君の名前を使って得をする人物”がいるなら――」
「この事件、まだ本当の犯人には辿り着いていないってことだ」
◆つづく◆
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