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第47話:それでも私は、堂々と立っていたい(5/5・最終話)
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~「だから私は、ちゃんと笑って歩いてたい」~
日曜の午後、駅前の本屋「ブックフォレスト青葉店」。
カフェスペースの窓際、制服のまま座るふたりの少女がいた。
美穂と早紀。
2人の間に置かれたのは、ホットレモンティーとパイナップルジュース。
そして、1冊の本。
美穂がそっとその本のカバーをなでる。
「……これ。疑われたときに、手に持ってたやつ」
「買ったんだ」
「うん。むしろ、買わなきゃ気が済まないって思って」
静かな日曜の午後。
けれど、ふたりの気持ちは少し前よりずっと静かではない。
「早紀さ。あたし、ちょっとだけ“変わった”かも」
「ん?」
「昔のあたしだったら、こんなことあっても、
“は?ウケる~”とか言って笑って終わらせてたかもしんない。
“ギャルはギャルらしく笑ってればいーじゃん”って、自分に言い聞かせて」
「でも今は違う?」
「うん。今は……ちゃんと悔しかったし、ちゃんと怒ったし、
それを“誰かが分かってくれた”ってだけで、
ちゃんと“私”として、ここにいたんだって思えるんだよね」
早紀は、ちょっとだけ目を細めて言った。
「それはたぶん、“誰かが分かってくれた”じゃなくて――
“あんたが、ちゃんと話したから”よ」
美穂は、ふわっと笑った。
「それ、マジで副会長のセリフって感じ」
「ほめてないよ」
■放課後、生徒会室
ホワイトボードに、マコトが静かにチョークで書き足した。
『疑われることを笑い飛ばすより、
ちゃんと怒ったほうが、かっこいいと思う』
「……よし」
一人でうなずきながら、マーカーの蓋を閉じる。
そこへドアが開き、美穂が顔を出す。
「よっ、名探偵。何やってんの」
「いや……ちょっとまとめしてた」
「“まとめ”っていうか、なんかポエム書いてんじゃん。
てかさ、あのとき泣いたの、マジでずるいからね?」
「う、うるさいっ。マジであれは、怒りのエネルギーが漏れただけで……!」
「でもさ」
と、美穂は言った。
「泣いてまで怒ってくれるやつがいるって、ちょっと嬉しかったよ」
マコトは、頬をかいて小声で答えた。
「……そりゃ、俺、名探偵だからな」
■記録ファイル・最終補記
事件タイトル:『指さされたのは私じゃない』
記録カテゴリ:社会的誤認・冤罪関連
メンタル損傷度:中
再発可能性:低(店舗側対策済み)
生徒会評価:
事件対応:★★★★★
対応姿勢:★★★★★
涙腺耐久:☆☆☆☆☆
●事件タイトル(正式採用):
『それでも私は、堂々と立っていたい』
【エピローグ】
その日の夜、美穂がSNSにこんな投稿をした。
『ギャルだけど、疑われるのは好きじゃない。
でも、疑われても、笑ってごまかさなくていいって知った。
“それっぽい”って理由で見られても、
“それなりの人間”じゃないって、自分で思えるようにいたい。
……あと、味方が泣きながら怒ってくれるの、マジでアツすぎる。』
#ギャルの逆襲
#生徒会探偵団
#泣いた名探偵
#でもちょっとかっこよかった
日曜の午後、駅前の本屋「ブックフォレスト青葉店」。
カフェスペースの窓際、制服のまま座るふたりの少女がいた。
美穂と早紀。
2人の間に置かれたのは、ホットレモンティーとパイナップルジュース。
そして、1冊の本。
美穂がそっとその本のカバーをなでる。
「……これ。疑われたときに、手に持ってたやつ」
「買ったんだ」
「うん。むしろ、買わなきゃ気が済まないって思って」
静かな日曜の午後。
けれど、ふたりの気持ちは少し前よりずっと静かではない。
「早紀さ。あたし、ちょっとだけ“変わった”かも」
「ん?」
「昔のあたしだったら、こんなことあっても、
“は?ウケる~”とか言って笑って終わらせてたかもしんない。
“ギャルはギャルらしく笑ってればいーじゃん”って、自分に言い聞かせて」
「でも今は違う?」
「うん。今は……ちゃんと悔しかったし、ちゃんと怒ったし、
それを“誰かが分かってくれた”ってだけで、
ちゃんと“私”として、ここにいたんだって思えるんだよね」
早紀は、ちょっとだけ目を細めて言った。
「それはたぶん、“誰かが分かってくれた”じゃなくて――
“あんたが、ちゃんと話したから”よ」
美穂は、ふわっと笑った。
「それ、マジで副会長のセリフって感じ」
「ほめてないよ」
■放課後、生徒会室
ホワイトボードに、マコトが静かにチョークで書き足した。
『疑われることを笑い飛ばすより、
ちゃんと怒ったほうが、かっこいいと思う』
「……よし」
一人でうなずきながら、マーカーの蓋を閉じる。
そこへドアが開き、美穂が顔を出す。
「よっ、名探偵。何やってんの」
「いや……ちょっとまとめしてた」
「“まとめ”っていうか、なんかポエム書いてんじゃん。
てかさ、あのとき泣いたの、マジでずるいからね?」
「う、うるさいっ。マジであれは、怒りのエネルギーが漏れただけで……!」
「でもさ」
と、美穂は言った。
「泣いてまで怒ってくれるやつがいるって、ちょっと嬉しかったよ」
マコトは、頬をかいて小声で答えた。
「……そりゃ、俺、名探偵だからな」
■記録ファイル・最終補記
事件タイトル:『指さされたのは私じゃない』
記録カテゴリ:社会的誤認・冤罪関連
メンタル損傷度:中
再発可能性:低(店舗側対策済み)
生徒会評価:
事件対応:★★★★★
対応姿勢:★★★★★
涙腺耐久:☆☆☆☆☆
●事件タイトル(正式採用):
『それでも私は、堂々と立っていたい』
【エピローグ】
その日の夜、美穂がSNSにこんな投稿をした。
『ギャルだけど、疑われるのは好きじゃない。
でも、疑われても、笑ってごまかさなくていいって知った。
“それっぽい”って理由で見られても、
“それなりの人間”じゃないって、自分で思えるようにいたい。
……あと、味方が泣きながら怒ってくれるの、マジでアツすぎる。』
#ギャルの逆襲
#生徒会探偵団
#泣いた名探偵
#でもちょっとかっこよかった
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