名探偵マコトの事件簿3

naomikoryo

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第48話:戦え、スカート丈と生徒会章(1/5)

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~正しさとは何かを、膝上何センチで語れるか~
四月、桜がまだ舞っている校舎の朝。
生徒会室のドアを勢いよく叩く音が響いた。

「失礼します、生徒会に通告書をお持ちしました」

その声は妙に張りがあり、妙に抑揚がない。
誰よりも礼儀正しく、誰よりも敵意がにじみ出ている。

マコトは、パイをかじりながら顔を上げた。

「……朝から怖いって」

差し出されたのは、一枚の封筒。
表にはこう書かれていた。

『風紀違反者に対する生徒会の不作為に関する是正要求書』

マコト「こわっ」

美穂「ってか“風紀違反者”って……あたしのことじゃん!」

封を開け、中を読んだ早紀の顔がぴくりと動く。

「内容はこう。
 “過度な服装の自由を黙認している生徒会の姿勢は校則違反であり、
 生徒全体に誤った自由の基準を広げている。改善を求む”――だってさ」

その瞬間、美穂が机をバンッと叩いて立ち上がる。

「言わせときゃいいってもんじゃねーぞコラァ!!」

マコト「落ち着いて、美穂。ギャルっぽい暴れ方が逆効果だから!」

そこへ現れたのが、
“風紀委員長”――鳴海 陽向(なるみ ひなた)

整った黒髪、銀縁の眼鏡、寸分違わぬ着こなし。
どこか「高性能ロボット」的な完璧さをまとっている。

「風紀委員会は、校則という秩序のもと、生徒の行動と印象の維持に努めています。
 その秩序が乱れつつあるならば、対話の前に是正を要請するのは当然です」

美穂「はああああ!? あたしが何したってのよ!」

鳴海「スカート丈、校則より7cmオーバー。
 装飾ピアス、化粧指導不遵守、校章未着用――三重違反です」

「細かいわ!!」

マコトが手を挙げて割り込む。

「委員長。たしかに校則は大事だけど、
 “形式を守るために個性を押し潰す”のは、どうなんです?」

鳴海は表情ひとつ変えず、こう返す。

「個性とは、守るべき枠の中で磨かれるものです。
 秩序なき自由は、混乱しか生まない」

「……俺と水と油だな、この人」

緊迫する空気の中、早紀が静かに口を開く。

「とりあえず、生徒会としても“指摘された事実”については精査する。
 それ以上は、今ここで口論することじゃない」

「……了解しました。生徒会側の誠意ある対応を待ちます」

鳴海は、まるで機械仕掛けのように完璧な角度で頭を下げ、
そのまま立ち去っていった。

静まり返る生徒会室。

美穂「なにあいつ、ロボかよ……」

蓮「“ルールガチ勢”ってタイプだね。たぶん家ではハンガーの角度まで統一してる」

佐伯「俺、今のでスカート丈に詳しくなった。勉強になった」

マコト「おい真面目に考えようぜ!! 今回ばっかりはこっちも責任あるんだから!」

マコトは言う。

「でも……なんか変なんだよな」

「え?」

「風紀委員会がここまでピリつくのって、何かを隠そうとしてる気がする」

そしてマコトは、鳴海が立ち去った後に気づく。
その手元に、絆創膏が貼られていたことに。

「……怪我してた?」

そのとき、マコトの頭にひとつの仮説が浮かぶ。

「もしかして、“風紀委員会の中で”何かが起きてる……?」

◆つづく◆
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