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第65話:校内初デート、潜入ミッション!
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土曜の昼、正門前。
人気のない校舎。
寒さにコートを羽織りながら、マコトと早紀はこっそりと集合していた。
「……ほんとに誰にも言ってないよな?」
マコトが周囲をキョロキョロ。
「私が誰だと思ってんの。口の堅さには定評ある副会長よ?」
「いや、そうじゃなくて、お前さ……顔がもう“彼女感”出てんのよ」
「その理論なら、マコトの顔は“うっかり恋バレ男”ね」
「ひどい! でも否定できねぇ!!」
目的地は“校内”。
生徒も教師もいない、週末の校舎。
その静けさが、なぜだか妙に特別に感じられた。
「この静かな学校に、2人きりってだけで……もうデートっぽいよな」
「……うん。ちょっと、ドキドキする」
そう言って微笑む早紀に、マコトは顔が真っ赤になりそうなのをこらえる。
「こ、校内巡りだな! 校内名所を案内する! 名探偵式ガイド!」
「はいはい。じゃあ“いちばん思い出の場所”とか紹介してよ」
……とは言ったものの。
そんなふたりのデートを、ある人物たちが――いや、全員が。
見ていた。
【観察チーム:生徒会室・非常階段裏】
「……で、なんでついてきてるわけ?」
詩織がタブレット片手に不機嫌そうに呟く。
「いやぁ~~だって初デートでしょ!?これは見届けなきゃでしょ!!」
美穂は双眼鏡で体育館裏をチェック中。
「兄貴ィ……デート中に告白アゲインとかしてくれたら、俺、感動して泣くッス……!」
虎太郎は謎の感動モード。
「潜入観察は、良い紅茶と同じ。静かに、優雅に」
蓮は水筒から紅茶を啜っている。
「……でも日向は? さっきまでいたけど……」
「ん~~? 私なら、先に“デートのゴール”で待ってるよ~~」
日向は、どこからともなくスマホで自撮りしていた。
【👫一方そのころ、当の2人は】
「この教室、2年になって初めて一緒になったとき、最初に喋った場所……だよな」
マコトが懐かしそうに黒板を見つめる。
「あんたが“探偵モード”で席を間違えて、“この席には血の痕跡が”とか言って騒いだ日ね」
「黒板のチョーク跡だったやつな……」
「その日から、また“お前らしいな”って思ったよ」
「……それって褒めてる?」
「たぶんね」
そのまま2人で廊下を歩き、理科準備室の前を通る。
「ここもある意味、事件現場だったな……」
「ワカメが増殖した例の事件ね」
「お前、ワカメに巻き込まれた時、俺を見て“マコトに任せておけばなんとかなる”って言ってたろ」
「うん」
「……それ、あのとき本気で嬉しかった」
「今言う!? ちょっとずるいでしょそれ」
そんな中。
物陰で“生徒会観察チーム”が、感動で震えていた。
「っ……これ、映画化したほうがよくない!?」
「兄貴……もう俺の人生のヒーローっス……」
「録音データ、後で編集しよう」
「ナレーション入れるなら僕がやろうか」
「帰れみんなああああああ!!!」
マコトの怒声が響いた。
ばっちり聞こえてた。
【発覚】
案の定、角を曲がった瞬間──
「うっわ!!??」
「げっ!!?」
ガッツリ鉢合わせる、マコト&早紀 vs 潜入チーム一同。
「えーっと……その……見守り部隊っていうか……」
「観察社会の中で育った世代としての……」
「どの口が言うのよ」
早紀の目が半笑いの圧を宿す。
「ご、ごめんなさーーーい!!」
美穂が土下座する勢いで平伏。
虎太郎も「すみませぇぇん兄貴ぃ!!」と床に崩れる。
「まぁ……楽しかったから、今回は見逃してあげる」
「うわ……天使かよ……」
マコトはため息をつきながらも、どこか満足げな顔だった。
「けどさ、マコト」
「ん?」
「次のデートは、ちゃんとふたりきりでお願いね」
「……はい」
その返事に、ちょっと照れて頷く早紀。
後ろの連中が全員鼻血吹きそうになっていたのは、また別の話。
──そして、誰よりも早く先回りしていた日向が、校門のベンチでのんびり呟いた。
「ふわ~……いい初デートだったねぇ~~」
「……誰もいないと思ってしゃべってんの、地味にホラーだな」
蓮がつぶやいた。
人気のない校舎。
寒さにコートを羽織りながら、マコトと早紀はこっそりと集合していた。
「……ほんとに誰にも言ってないよな?」
マコトが周囲をキョロキョロ。
「私が誰だと思ってんの。口の堅さには定評ある副会長よ?」
「いや、そうじゃなくて、お前さ……顔がもう“彼女感”出てんのよ」
「その理論なら、マコトの顔は“うっかり恋バレ男”ね」
「ひどい! でも否定できねぇ!!」
目的地は“校内”。
生徒も教師もいない、週末の校舎。
その静けさが、なぜだか妙に特別に感じられた。
「この静かな学校に、2人きりってだけで……もうデートっぽいよな」
「……うん。ちょっと、ドキドキする」
そう言って微笑む早紀に、マコトは顔が真っ赤になりそうなのをこらえる。
「こ、校内巡りだな! 校内名所を案内する! 名探偵式ガイド!」
「はいはい。じゃあ“いちばん思い出の場所”とか紹介してよ」
……とは言ったものの。
そんなふたりのデートを、ある人物たちが――いや、全員が。
見ていた。
【観察チーム:生徒会室・非常階段裏】
「……で、なんでついてきてるわけ?」
詩織がタブレット片手に不機嫌そうに呟く。
「いやぁ~~だって初デートでしょ!?これは見届けなきゃでしょ!!」
美穂は双眼鏡で体育館裏をチェック中。
「兄貴ィ……デート中に告白アゲインとかしてくれたら、俺、感動して泣くッス……!」
虎太郎は謎の感動モード。
「潜入観察は、良い紅茶と同じ。静かに、優雅に」
蓮は水筒から紅茶を啜っている。
「……でも日向は? さっきまでいたけど……」
「ん~~? 私なら、先に“デートのゴール”で待ってるよ~~」
日向は、どこからともなくスマホで自撮りしていた。
【👫一方そのころ、当の2人は】
「この教室、2年になって初めて一緒になったとき、最初に喋った場所……だよな」
マコトが懐かしそうに黒板を見つめる。
「あんたが“探偵モード”で席を間違えて、“この席には血の痕跡が”とか言って騒いだ日ね」
「黒板のチョーク跡だったやつな……」
「その日から、また“お前らしいな”って思ったよ」
「……それって褒めてる?」
「たぶんね」
そのまま2人で廊下を歩き、理科準備室の前を通る。
「ここもある意味、事件現場だったな……」
「ワカメが増殖した例の事件ね」
「お前、ワカメに巻き込まれた時、俺を見て“マコトに任せておけばなんとかなる”って言ってたろ」
「うん」
「……それ、あのとき本気で嬉しかった」
「今言う!? ちょっとずるいでしょそれ」
そんな中。
物陰で“生徒会観察チーム”が、感動で震えていた。
「っ……これ、映画化したほうがよくない!?」
「兄貴……もう俺の人生のヒーローっス……」
「録音データ、後で編集しよう」
「ナレーション入れるなら僕がやろうか」
「帰れみんなああああああ!!!」
マコトの怒声が響いた。
ばっちり聞こえてた。
【発覚】
案の定、角を曲がった瞬間──
「うっわ!!??」
「げっ!!?」
ガッツリ鉢合わせる、マコト&早紀 vs 潜入チーム一同。
「えーっと……その……見守り部隊っていうか……」
「観察社会の中で育った世代としての……」
「どの口が言うのよ」
早紀の目が半笑いの圧を宿す。
「ご、ごめんなさーーーい!!」
美穂が土下座する勢いで平伏。
虎太郎も「すみませぇぇん兄貴ぃ!!」と床に崩れる。
「まぁ……楽しかったから、今回は見逃してあげる」
「うわ……天使かよ……」
マコトはため息をつきながらも、どこか満足げな顔だった。
「けどさ、マコト」
「ん?」
「次のデートは、ちゃんとふたりきりでお願いね」
「……はい」
その返事に、ちょっと照れて頷く早紀。
後ろの連中が全員鼻血吹きそうになっていたのは、また別の話。
──そして、誰よりも早く先回りしていた日向が、校門のベンチでのんびり呟いた。
「ふわ~……いい初デートだったねぇ~~」
「……誰もいないと思ってしゃべってんの、地味にホラーだな」
蓮がつぶやいた。
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