名探偵マコトの事件簿3

naomikoryo

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第70話:ねこ、ねこ、ねこ!デート日和

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日曜日の昼下がり。冬の光に包まれた商店街は、あたたかい湯気のような人の賑わいに満ちていた。

「うーわ、もうすっかり冬って感じだな~。早紀、お前寒くないの?」

「手袋あるから大丈夫。あんた、鼻赤いけど?」

「それは探偵力が鼻先に集中してるからだな!」とマコトが謎理論を展開すれば、

「……風邪じゃないならいいけど」と、早紀はくすっと笑った。

そんなふたりのLINEに、美穂から突如送られてきた一通のメッセージ。

美穂:『新しい猫カフェ、まじで映えるよ!にゃんこ天国』

「猫カフェ、だと……!?」

「……まさか行きたいの?」

「いや、別に? ただ、行けば“猫のしっぽの動きから性格を読む”みたいな新たな探偵スキルが身に付くんじゃないかと――」

「はいはい、行こっか。猫たちの迷惑になる前に。」

・猫カフェ「にゃんこ茶房」
ふたりが辿り着いたのは、商店街の外れの路地裏にある古民家風の建物。「にゃんこ茶房」の控えめな木看板と、ドアにぶら下がった猫型ベルが可愛らしい。

ドアを開けた瞬間――

「にゃああぁぁぁぁん!」

室内に響き渡る元気な鳴き声と、ふわふわと舞い散る毛玉たち。暖かい空気と、木の香り。足元をすり抜ける猫。天国。

「……こ、ここが……楽園か……」と呟きながら、マコトはニヤけた顔で猫たちの間に飛び込んでいった。

一方の早紀も、膝に乗ってきた三毛猫を撫でながら、少し頬を赤らめていた。

「……あんた、猫に囲まれてるときだけ静かになるのね。ある意味貴重。」

「探偵は観察が命だからな。今、ねこたちの“しっぽの揺れ”から彼らの内面に迫って――」

「それただのデレ顔。」

・小さな異変
ふたりが猫とたわむれていたそのとき。店内の一角で、年配のOL風の女性が顔を曇らせていた。

「……あれ? 財布から……千円札が一枚……」

するとすぐ近くの小学生の姉弟が「拾ったよ~」と床から小銭を持ち上げた。どうやら“落ちてた”らしい。

それを聞きつけて、カフェのオーナーと思しき老婦人が申し訳なさそうに駆け寄ってくる。

「まぁ……申し訳ありません。うちの子たち(猫)、たまにお客様のバッグに顔を突っ込んでしまって……お怪我はありませんでしたか?」

「い、いえ、猫は大丈夫なんです……ただ、ちょっと気になって……」

店内の空気が一瞬、ピリついた。

マコトがピクリと反応し、スッと早紀の耳元に囁いた。

「早紀……これは……」

「……出た、あんたの口癖」

「そう。これは――事件の匂いがする!」

「はいはい、気のせいだといいけどね」

・怪しい常連たち
マコトは店内を見回した。客は7~8人。猫に夢中の若者、座敷でくつろぐ老紳士、カップル、小学生姉弟。

そして――

「……あの編み物してるおじいさん、さっきから一度も動いてなくないか?」

「猫カフェってくつろぐ場所だし、普通じゃない?」

「でも妙に静か過ぎる。あれは“動かずして観察する型”の……プロファイリング系犯人かもしれない!」

「いや、ただの年配者でしょ。」

早紀の冷静ツッコミにマコトは少し肩をすくめたが、すぐに目を輝かせて言った。

「……これは天に与えられた試練だ。“ねこの楽園”に潜む、真の影を暴く――!」

「そんなダサいサブタイトルいらないからね」

・そして、幕が上がる
お会計時、再び騒ぎが起こった。

今度は、小銭がレジ横に落ちていたのだ。明らかに誰かのものが“床”に移動していた。

老婦人のオーナーは頭を下げた。

「お金のことなので、きちんと確認させていただきます……でも、うちの猫たちは、そういうことは……」

マコトはその姿に、ぐっと胸を締め付けられる思いがした。

――猫たちを、疑いたくない。
でも、真実を見ないふりはできない。

「早紀。これは依頼だ。僕たち、生徒会探偵団の初めての――“店外調査任務”だ!」

「いや、別に“団”になってないし」

「よし、明日も来よう。この事件の“真相”を見極めるために!」

「……猫カフェに理由つけて通いたいだけじゃないの?」

「にゃにゃにゃいっ! 違うぞ!」
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