71 / 79
第70話:ねこ、ねこ、ねこ!デート日和
しおりを挟む
日曜日の昼下がり。冬の光に包まれた商店街は、あたたかい湯気のような人の賑わいに満ちていた。
「うーわ、もうすっかり冬って感じだな~。早紀、お前寒くないの?」
「手袋あるから大丈夫。あんた、鼻赤いけど?」
「それは探偵力が鼻先に集中してるからだな!」とマコトが謎理論を展開すれば、
「……風邪じゃないならいいけど」と、早紀はくすっと笑った。
そんなふたりのLINEに、美穂から突如送られてきた一通のメッセージ。
美穂:『新しい猫カフェ、まじで映えるよ!にゃんこ天国』
「猫カフェ、だと……!?」
「……まさか行きたいの?」
「いや、別に? ただ、行けば“猫のしっぽの動きから性格を読む”みたいな新たな探偵スキルが身に付くんじゃないかと――」
「はいはい、行こっか。猫たちの迷惑になる前に。」
・猫カフェ「にゃんこ茶房」
ふたりが辿り着いたのは、商店街の外れの路地裏にある古民家風の建物。「にゃんこ茶房」の控えめな木看板と、ドアにぶら下がった猫型ベルが可愛らしい。
ドアを開けた瞬間――
「にゃああぁぁぁぁん!」
室内に響き渡る元気な鳴き声と、ふわふわと舞い散る毛玉たち。暖かい空気と、木の香り。足元をすり抜ける猫。天国。
「……こ、ここが……楽園か……」と呟きながら、マコトはニヤけた顔で猫たちの間に飛び込んでいった。
一方の早紀も、膝に乗ってきた三毛猫を撫でながら、少し頬を赤らめていた。
「……あんた、猫に囲まれてるときだけ静かになるのね。ある意味貴重。」
「探偵は観察が命だからな。今、ねこたちの“しっぽの揺れ”から彼らの内面に迫って――」
「それただのデレ顔。」
・小さな異変
ふたりが猫とたわむれていたそのとき。店内の一角で、年配のOL風の女性が顔を曇らせていた。
「……あれ? 財布から……千円札が一枚……」
するとすぐ近くの小学生の姉弟が「拾ったよ~」と床から小銭を持ち上げた。どうやら“落ちてた”らしい。
それを聞きつけて、カフェのオーナーと思しき老婦人が申し訳なさそうに駆け寄ってくる。
「まぁ……申し訳ありません。うちの子たち(猫)、たまにお客様のバッグに顔を突っ込んでしまって……お怪我はありませんでしたか?」
「い、いえ、猫は大丈夫なんです……ただ、ちょっと気になって……」
店内の空気が一瞬、ピリついた。
マコトがピクリと反応し、スッと早紀の耳元に囁いた。
「早紀……これは……」
「……出た、あんたの口癖」
「そう。これは――事件の匂いがする!」
「はいはい、気のせいだといいけどね」
・怪しい常連たち
マコトは店内を見回した。客は7~8人。猫に夢中の若者、座敷でくつろぐ老紳士、カップル、小学生姉弟。
そして――
「……あの編み物してるおじいさん、さっきから一度も動いてなくないか?」
「猫カフェってくつろぐ場所だし、普通じゃない?」
「でも妙に静か過ぎる。あれは“動かずして観察する型”の……プロファイリング系犯人かもしれない!」
「いや、ただの年配者でしょ。」
早紀の冷静ツッコミにマコトは少し肩をすくめたが、すぐに目を輝かせて言った。
「……これは天に与えられた試練だ。“ねこの楽園”に潜む、真の影を暴く――!」
「そんなダサいサブタイトルいらないからね」
・そして、幕が上がる
お会計時、再び騒ぎが起こった。
今度は、小銭がレジ横に落ちていたのだ。明らかに誰かのものが“床”に移動していた。
老婦人のオーナーは頭を下げた。
「お金のことなので、きちんと確認させていただきます……でも、うちの猫たちは、そういうことは……」
マコトはその姿に、ぐっと胸を締め付けられる思いがした。
――猫たちを、疑いたくない。
でも、真実を見ないふりはできない。
「早紀。これは依頼だ。僕たち、生徒会探偵団の初めての――“店外調査任務”だ!」
「いや、別に“団”になってないし」
「よし、明日も来よう。この事件の“真相”を見極めるために!」
「……猫カフェに理由つけて通いたいだけじゃないの?」
「にゃにゃにゃいっ! 違うぞ!」
「うーわ、もうすっかり冬って感じだな~。早紀、お前寒くないの?」
「手袋あるから大丈夫。あんた、鼻赤いけど?」
「それは探偵力が鼻先に集中してるからだな!」とマコトが謎理論を展開すれば、
「……風邪じゃないならいいけど」と、早紀はくすっと笑った。
そんなふたりのLINEに、美穂から突如送られてきた一通のメッセージ。
美穂:『新しい猫カフェ、まじで映えるよ!にゃんこ天国』
「猫カフェ、だと……!?」
「……まさか行きたいの?」
「いや、別に? ただ、行けば“猫のしっぽの動きから性格を読む”みたいな新たな探偵スキルが身に付くんじゃないかと――」
「はいはい、行こっか。猫たちの迷惑になる前に。」
・猫カフェ「にゃんこ茶房」
ふたりが辿り着いたのは、商店街の外れの路地裏にある古民家風の建物。「にゃんこ茶房」の控えめな木看板と、ドアにぶら下がった猫型ベルが可愛らしい。
ドアを開けた瞬間――
「にゃああぁぁぁぁん!」
室内に響き渡る元気な鳴き声と、ふわふわと舞い散る毛玉たち。暖かい空気と、木の香り。足元をすり抜ける猫。天国。
「……こ、ここが……楽園か……」と呟きながら、マコトはニヤけた顔で猫たちの間に飛び込んでいった。
一方の早紀も、膝に乗ってきた三毛猫を撫でながら、少し頬を赤らめていた。
「……あんた、猫に囲まれてるときだけ静かになるのね。ある意味貴重。」
「探偵は観察が命だからな。今、ねこたちの“しっぽの揺れ”から彼らの内面に迫って――」
「それただのデレ顔。」
・小さな異変
ふたりが猫とたわむれていたそのとき。店内の一角で、年配のOL風の女性が顔を曇らせていた。
「……あれ? 財布から……千円札が一枚……」
するとすぐ近くの小学生の姉弟が「拾ったよ~」と床から小銭を持ち上げた。どうやら“落ちてた”らしい。
それを聞きつけて、カフェのオーナーと思しき老婦人が申し訳なさそうに駆け寄ってくる。
「まぁ……申し訳ありません。うちの子たち(猫)、たまにお客様のバッグに顔を突っ込んでしまって……お怪我はありませんでしたか?」
「い、いえ、猫は大丈夫なんです……ただ、ちょっと気になって……」
店内の空気が一瞬、ピリついた。
マコトがピクリと反応し、スッと早紀の耳元に囁いた。
「早紀……これは……」
「……出た、あんたの口癖」
「そう。これは――事件の匂いがする!」
「はいはい、気のせいだといいけどね」
・怪しい常連たち
マコトは店内を見回した。客は7~8人。猫に夢中の若者、座敷でくつろぐ老紳士、カップル、小学生姉弟。
そして――
「……あの編み物してるおじいさん、さっきから一度も動いてなくないか?」
「猫カフェってくつろぐ場所だし、普通じゃない?」
「でも妙に静か過ぎる。あれは“動かずして観察する型”の……プロファイリング系犯人かもしれない!」
「いや、ただの年配者でしょ。」
早紀の冷静ツッコミにマコトは少し肩をすくめたが、すぐに目を輝かせて言った。
「……これは天に与えられた試練だ。“ねこの楽園”に潜む、真の影を暴く――!」
「そんなダサいサブタイトルいらないからね」
・そして、幕が上がる
お会計時、再び騒ぎが起こった。
今度は、小銭がレジ横に落ちていたのだ。明らかに誰かのものが“床”に移動していた。
老婦人のオーナーは頭を下げた。
「お金のことなので、きちんと確認させていただきます……でも、うちの猫たちは、そういうことは……」
マコトはその姿に、ぐっと胸を締め付けられる思いがした。
――猫たちを、疑いたくない。
でも、真実を見ないふりはできない。
「早紀。これは依頼だ。僕たち、生徒会探偵団の初めての――“店外調査任務”だ!」
「いや、別に“団”になってないし」
「よし、明日も来よう。この事件の“真相”を見極めるために!」
「……猫カフェに理由つけて通いたいだけじゃないの?」
「にゃにゃにゃいっ! 違うぞ!」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる