面白ミステリー『名探偵マコトの事件簿2』

naomikoryo

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第78話『消えた早紀』

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朝。
秋晴れの、どこか物悲しい空気が漂う通学路。

 
マコトは、制服のネクタイを締め忘れたまま走っていた。

 
マコト:「やっべやっべ!早紀、今日に限って迎えに来なかったから時間感覚狂ったっての!!」

 
いつもなら途中の信号で合流して、
ちょっとだけ説教されて、
そして並んで歩く――
 

でも今日は、
早紀の姿がどこにもなかった。

 
マコト:「まさか……寝坊か?」

 
そんな“らしくない”ことを考えながら、
マコトは教室のドアを勢いよく開けた。

 
だがそこに――
早紀の姿はなかった。

 
そして、彼女の席の上には――
白い封筒がぽつんと置かれていた。
 

マコト:「……っ!? これ……」

◆【手紙の中身】

封筒を開けると、そこには1枚の紙と、付箋が1枚。

 
付箋には、こう書かれていた。

「マコトへ。……いえ、“名探偵”へ。」

 
そして、手紙本体には、奇妙な文章が。

私は、どこかへ“消えた”わけじゃありません。
でも、これまでみたいに、
となりにいればツッコんでくれる“いつもの私”ではいられなくなりました。

私の行き先は、あなたが一番知っている場所です。

今まであなたが見逃してきた、
いろんな“ヒント”を集めてください。

最後の謎は、
探偵としてのあなた自身に、問いたいことです。

 
マコト:「……は?」
 

一瞬、わけがわからなかった。

でも、マコトの中で何かがピキリと音を立てて切り替わる。

 
マコト:「なにこれ……なにこれ……!!」

 
胸の奥がざわざわする。
焦りと、怒りと、そしてほんの少しの、寂しさ。
 

マコト:「早紀……お前、どこ行ったんだよ……!」
 

その時。

マコトの手が震えているのを見て、
隣の席から、美穂がそっと声をかけた。

 
美穂:「……マコト?」

 
マコト:「……早紀が……いない。いなくなった……」

 
美穂は手紙を読んで、目を見開いた。

 
美穂:「……これ、“暗号”じゃない?」

 
マコト:「え……?」

 
美穂:「“行き先は、あなたが一番知ってる場所”って……
きっと、過去の事件のどれかに繋がってるんだよ。
あなたが全部解いてきた――その軌跡を、彼女は信じてる」

 
マコト:「……っ!」

 
そうだ。
これは――挑戦状だ。
名探偵・青木真人に向けられた、“最後の謎”。

 
マコト:「早紀……いいぜ、やってやろうじゃねぇか……!」
 

この時、マコトはようやく気づいた。

これはただの“かくれんぼ”でも、
ただの“遊び”でもない。

早紀が託したのは、
マコトが今までふざけながらも大事にしてきた「探偵という生き方」への――
真っ向勝負だった。

 
マコト:「名探偵・青木真人――最後の事件、始めますッ!」

 
(つづく)
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