年上の許嫁女教師は大胆な帰国子女

授業中に

亨が教室に入り、席に着くと早速、山口優愛がやってきた。
彼女は興奮気味に
「ねえ、今朝美咲とは何だったの？」
と尋ねてくる。
「え？」
「バスから見てたのよ。」
「あ…う、うん…」
亨は一瞬たじろぎながらも、必死に誤魔化そうとした。
「えっと、特別なことはなかったよ。
ただ挨拶しただけ…」
と答えるが、心の中では美咲との出来事を思い出していた。
「何か、腕組んでたよね？」
「あ、あぁ。
なんか、つまずいたみたいで…」
「ふ～ん。」
「ほ、ほら、一限始まるぞ。」
「うん…」
優愛は亨の誤魔化しに納得できない表情を浮かべながらも、席に着いた。
一限が終わると、僕は急いでトイレに行った。
優愛にまた何か聞かれると思って、逃げておいたのだ。
そして、二限のチャイムぎりぎりに教室に入った。

2時間目の英語の授業が始まると、教室の雰囲気が一変する。
美咲が教室に入ってくると、クラスの男たちは色めき立ち、彼女にアピールしようと必死になっていた。
亨はその様子を見て、少し戸惑いを感じた。

美咲が授業を始めると、優愛は自分の感情が高ぶるのを感じた。
彼女は我慢できずに、突然席を立った。
そして、みんなが何事かと優愛を見つめる中、一つ深呼吸をすると、早口で流暢な英語で美咲に向かって言った。
「Why were you so close to Toru at the station this morning?」
(朝、駅で亨にあんな風に近づいてたのはどうして？)
周囲の生徒たちはその言葉の意味が全くわからず、やはりキョトンとした表情を浮かべる。

美咲は微笑みながら、
「Toru and I have a long-standing promise.
 It’s just a natural bond, you know?」
(亨とは昔からの約束があるの。特別なことじゃないのよ。)
と返す。
僕も勿論、その内容を理解できず、周囲の生徒たちも驚きの表情で見つめる。

優愛はその返事に納得できず、さらに言葉を続ける。
「But don’t you think it’s a bit too familiar?」
(でも、あんなに親密なのはちょっとおかしくない？)
その声には少しの嫉妬が感じられる。
美咲はさらりと、
「I don’t see the problem in showing affection to a childhood friend. 
Don’t you agree?」
(子供の頃からの友達に対して、愛情を示すのに問題はないと思うけど、あなたはどう思う？)
と返す。
教室の空気が何故か重くなるのを感じた。

他の生徒たちは美咲と優愛の会話に注目しつつも、亨の名前が出るたびに、彼を気にするが、その内容は全く理解できていなかった。
周囲の反応は、まるで彼がこの会話の中心にいるかのように感じられたが、亨自身は何も把握できず、ただ困惑している。
「はいはい、それでは授業に戻りましょう。」
と、美咲は笑顔で優愛に向かって言った。
優愛は納得いかない様子だったが、
「…そうね。」
と大人しく席に座り教科書を開いた。

授業が進む中、亨は美咲と優愛のやり取りが完全に理解できないことに焦りを感じる。
「一体、何を話してたんだろう…」
亨は彼女たちの言葉が全く理解できないというジレンマに悩まされていた。