瑞樹と桜子:新婚隣人の恋バナ対決

naomikoryo

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第10章:最強の隣人関係

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 「結局、私たちって同じような恋愛遍歴を歩んできたんだね」

 桜子がそう言うと、瑞希は頷きながらカップを軽く揺らした。

 「そうだねぇ。
 初恋の話も、ドラマみたいな恋の話も、結婚直前のハプニングも、そして夫への愚痴も……
 どれも微妙に違うけど、根本的には似てる気がする」

 「うん。
 しかも、最後に選んだ旦那に対する愚痴までほぼ同じだったし」

 二人は顔を見合わせて、吹き出した。

 最初はただの再会だった。
高校時代のライバルと、偶然にも新婚のタイミングで隣同士になった。
それだけのことだったはずなのに、気がつけば毎日のようにお互いの家を行き来し、こうして恋愛話に花を咲かせていた。

 「ねぇ、桜子」

 瑞希がふと、真剣な表情で言った。

 「なに?」

 「この家に引っ越してきたばかりの頃、ちょっと不安だったんだよね」

 桜子は少し驚いた顔をした。
瑞希がそんな弱気なことを言うのは珍しい。

 「ほら、結婚して環境が変わると、友達とも距離ができるじゃん? 
 私、地元を離れてきたから、こっちには知り合いが全然いなくて……
 “新しい生活、大丈夫かな”って思ってたんだよね」

 「……わかるかも」

 桜子も静かに頷いた。

 「私も、結婚して最初の頃はちょっと孤独だった。
 圭介は優しいけど、仕事が忙しくて夜遅いことが多いし……
 友達と気軽に会える距離でもないしね」

 「でしょ? 
 だからさ、こうして桜子とまた出会えて、なんかすごく楽しいんだよね」

 瑞希はカップを持ち上げながら、ふっと微笑んだ。

 「私たち、きっと最強の隣人コンビだと思う」

 桜子も微笑みながら、瑞希のカップに自分のカップをコツンとぶつけた。

 「うん、そうかもね」

 最初は張り合ってばかりだった二人。
でも、今はそれが心地よいものになっている。

 結婚生活には悩みも愚痴もつきもの。
でも、こうして気兼ねなく話せる相手が隣にいる。
それだけで、少しだけ毎日が楽しくなる。

 「じゃあ、これからもよろしくね、お隣さん!」

 瑞希がにっこり笑い、桜子も同じ笑顔で頷いた。

 「こちらこそ、よろしく!」

 こうして、新婚隣人同士の恋バナ対決は幕を閉じた。

 でも、これからもきっと、彼女たちはお互いの家を行き来しながら、夫の自慢と愚痴を繰り返すのだろう。

 ——最強の隣人関係は、まだまだ続いていく。

〈完〉
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