推しが同居人になりまして。

naomikoryo

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第4話:「推しの家事スキル、神すぎる」

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推しとルームシェアする生活が始まりました。

 初日はもう大変だった。
 いや、精神的に。

 だって、推しが家にいるんだよ!?!?
 帰宅したら「おかえり」って言ってくれる可能性があるんだよ!?!?!?

 何この異次元空間。
 というか、どう考えても私が場違いすぎる。
 あの超有名俳優・桐生隼人と、売れない漫画家志望の一般人の私が、同じ空間で生活してるとか、世界線がバグってるとしか思えない。

 そして翌朝――。

 私はまた、新たな衝撃 を受けることになるのだった。

■ 推しの朝、完璧すぎる問題
 翌朝、私は寝ぼけ眼でリビングへ向かった。

「ふあぁ……眠い……」

 昨日は興奮しすぎて、ほぼ眠れなかった。
 ベッドに入っても、「え、今、推しが壁一枚向こうにいるの?」「もしかして、同じタイミングで寝息を立ててる?」「いや、そもそも推しの寝顔ってどんな感じなの?」とか考え出してしまい、全然寝られなかったのだ。

 で、フラフラしながらリビングへ行くと――

 「……は?」

 信じられない光景が目に飛び込んできた。

 キッチンに立つ、黒のタンクトップ姿の男。
 手際よくフライパンを振り、トースターがカチンと鳴る。
 湯気の立つコーヒーの香りが部屋に広がる。

「……ちょ、えっ?」

 私が思わず固まると、彼はちらりとこちらを見た。

「おはよう」

 ――推しが、朝食を作っている。

 ――推しが、朝食を作っている!!!!!!(二度目)

「え、え、えっ?????」

「……なんだよ、朝からうるせぇな」

 隼人は淡々と目玉焼きを焼きながら言う。
 いや、ちょっと待って? 

 推しがタンクトップってだけでも事件なのに、さらに料理までしてるってどういうこと!?!?!?!?

「え、あの、ちょ、え、隼人さん……料理、するんですか!?」

「するけど?」

 普通に返された。

「するけど?じゃないんですよ!!!!!」

 推しが料理するって何!?!?!?!?!?!?
 ドラマや映画の中でしか見たことなかったのに!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 隼人は私の異常な反応に呆れたようにため息をつく。

「いや、お前も自炊くらいするだろ?」

「しません!!!!!」

 即答。

「いや、するって言えよ」

「だって、できませんもん!!!」

「……マジで?」

「マジで!!!!」

 私の主食は コンビニ飯とカップラーメン。
 唯一の得意料理は「お湯を注ぐだけで完成するやつ」だ。

「お前……25にもなって、それはヤバいだろ……」

 隼人は呆れたように言いながら、手際よくお皿に料理を盛りつけた。
 目玉焼きにベーコン、こんがり焼けたトースト、そしてサラダまで添えられている。

「ほら」

「え、なにこれ」

「朝飯」

「えっ、私の……?」

「ここに他に誰がいるんだよ」

「えええええええ!!!!!」

 朝から叫びすぎて、近所迷惑になりそうだった。

■ 推しの手料理、尊すぎて食べられない
「え、え、えっと……本当に、私が食べていいんですか……?」

「いらないなら捨てるけど」

「食べます!!!!!!」

 そんなもったいないこと、できるわけがない!!!
 私は感動しながら席に座り、震える手でフォークを持つ。

「……」

 まずは、目玉焼き。
 黄身が半熟で、絶妙な焼き加減だ。

 そっと口に運ぶと――

 うっま。

「!!!!!」

 言葉を失った。

 なにこれ!? めちゃくちゃ美味しい!!!!
 目玉焼きって、こんなに感動する食べ物だったっけ!?!?!?!?

「……そんな感動するほどのもんか?」

 隼人が不思議そうに私を見ている。

「します!!!!!!推しが作ってくれた料理ですよ!?!?!?!?」

「いや、普通に作っただけだけど」

 違う!!!!!!

 推しが!!!!作ってくれた!!!!
 それだけで、世界は光り輝いて見えるんだよ!!!!!!!

「とにかく、ちゃんと食えよ」

「……ありがとうございます……!!!!」

 私は感動しながら、朝食を完食した。

■ 「推しの作る朝食」というパワーワード
 その後、私は食器を片付けようとしたが――

「お前、不器用そうだから、俺がやる」

 と、隼人がさくっと片付けてしまった。

 いやいやいやいや!!!!!!
 推しに家事をさせてしまうなんて、ファン失格では!?!?!?

「……なぁ、お前、家事できないの?」

「ほぼ、できないです……」

「マジか……」

 隼人は困ったように眉を寄せた後、ため息をついた。

「……まぁ、俺がやるよ」

「えっ!!!!!」

「その代わり、ちゃんと俺のルールは守れよ?」

「は、はい!!!!!」

 こうして、私は「推しに家事をしてもらう」という、ありえない生活を手に入れたのだった。
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