推しが同居人になりまして。

naomikoryo

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第23話:「元カノの余裕がすごすぎて敗北を悟る」

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推し(桐生隼人)の 元カノ(確定) に遭遇するという、オタク人生最大級のメンタルダメージを受けた昨日。

 
 私は未だに 精神が復活していない。

 
 いやいやいやいや!!!

 
 「久しぶり」って、めっちゃ落ち着いたトーンで言ってたけど、あれは 絶対にただの知り合いの話し方じゃなかった!!!!

 
 しかも!!!!

 
 「まだ、あの家に住んでるの?」って!!!!!!!!

  

 それ、つまり、元カノも隼人と同棲してたってことじゃないですか!!!!!!
 

 詰んだ。

■ 元カノ、余裕ありすぎ問題
 私はそのまま隼人に 無理やり元カノと対面させられた。

 
「……えっと、初めまして」

「うん、初めまして」

 
 元カノ(確定)は、柔らかく微笑んだ。
 

「私、遠藤 朱音(えんどう あかね) って言います」

「は、はい! あの、私は――」

「知ってるよ」

「えっ」

「隼人から聞いてたし」

「えっっっ!!!!!」
 

 えええええええええ!!!!!!!!!

「……えっ、えっ、桐生さん、私のこと話してたんですか!!?」

「ちょっとな」

「ちょっとってなんですか!!!!」

「別に大したことじゃねぇよ」

「いやいやいやいや!!!!」

 
 ちょっとって、どういうこと!?!?!?

 
 いや待って、これ 元カノが知ってるっていう時点で、かなりの情報漏洩では!?!?!?
 

 私がルームシェアしてるっていう話を、なぜ元カノに!!!!???

 
「びっくりしたなぁ……隼人がルームシェアするなんて、ちょっと意外だったよ」

「……まぁな」

「ふふ、でもなんか……良かった」

「……?」
 

 元カノは 優雅に髪を耳にかけながら、隼人をじっと見つめる。

 
「ちゃんと、人と暮らせるようになったんだなって」

「……」

 
 隼人が 一瞬、目をそらす。

 
 え、なにこの意味深な空気!!!!

 
 私 蚊帳の外すぎない!?!?!?

■ 「隼人のこと、よろしくね?」
 私は 完全に圧倒されていた。

 
 元カノ、余裕ありすぎる。

 
 隼人に対しても、どこか 「昔から分かってます」感 があるし、言葉の節々に 「私はこの人を知り尽くしてます」オーラ が漂っている。

 

 ……無理では?????????

 私の 勝ち目、ゼロでは?????????

 
 私はルームシェアしてるだけで、別に特別な関係なわけじゃないし、隼人の過去を知ってるわけでもない。
 

 でも、元カノは 「元恋人としての立場」がある。

 
 いやいやいやいや!!!!


 この戦い、不利すぎる!!!!!!!!!!

 そんなことを考えていたら、元カノがふっと微笑んだ。

 

「隼人のこと、よろしくね?」

「……は?」

「えっ」

「ルームシェアしてるってことは、ある程度はお互いに支え合ってるんでしょ?」

「え、えっと……まぁ、はい……」

「なら、よろしくね」

「……」
 

 負けた。

■ 推し、何を考えているのか分からない
 元カノは、それ以上何かを言うこともなく、「またね」と言って去っていった。

 

 私はその場に立ち尽くす。

 

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「……なんなんですか、あれ」

「……さぁな」

「なんでそんなに落ち着いてるんですか!?!?!?!?」

「別に、大したことじゃねぇし」

「いやいやいやいや!!!!!!」

「お前、いちいちリアクションがでかい」

「そりゃでかくもなりますよ!!!!!!!」

 

 私は もやもやとした気持ちを抱えたまま、隼人の顔をじっと見る。

 

「……桐生さんは、もう未練とかないんですか?」

「は?」

「いや、だって!! なんかすごい雰囲気だったし!!」

「……ない」

「えっ」

「……もう昔の話だ」

「……」

「……お前は、気にするな」

「……」
 

 いやいやいやいや!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 
 それ、絶対に気にするやつでは
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
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