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第23話 「告白の夜、陽翔が語った“本当の好き”の意味」
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土曜日。夕方。
陽翔と私は、少し遠出して都内の夜景スポットにいた。
高台にある展望広場。足元には街の光が宝石のように瞬き、空にはオレンジ色のグラデーションが静かに沈みかけている。
風は少し冷たかった。でも、となりに立つ彼の存在が、不思議とあたたかかった。
「綺麗ですね」
陽翔がそう言って笑う。
私は頷きながら、心臓がいつもより少し速く鼓動しているのを感じていた。
これが――告白される夜なんだと思うと、どうしても落ち着けなかった。
「美月さん」
彼は真剣な顔で、私のほうを向いた。
「……いろんな思い、抱えて生きてきたんだろうなって、最近わかってきました。
会社でも、家庭でも、“頼れる人”でいなきゃいけなかった。
でも……誰かに“頼られる”ことって、ほんとはすごく孤独なことなんですよね」
私は、思わず息を飲んだ。
言葉にされて初めて、自分がいかにそこに傷を抱えていたかを実感する。
陽翔は続けた。
「だから、俺は――
“頼る”んじゃなくて、並んで歩きたいです」
「美月さんを“支えてあげたい”とか“守りたい”って言ったら、
それはまた“甘え”になっちゃうかもしれない。
でも、俺がいま一番言いたいのは――」
彼は一歩、近づいた。
そして、私の手を、そっと握った。
「好きです、美月さん。
あなたの強さも、弱さも、笑顔も、涙も。
その全部を、知っていたいと思いました。」
街の光が、彼の輪郭を柔らかく照らす。
その顔に、あの“甘えん坊の新人”の面影は、もうなかった。
私の中で、何かが崩れ、何かが立ち上がる。
ずっと塞いでいた扉が、彼のこの言葉で、音もなく開いた気がした。
私は、そっと彼の手を握り返した。
「……私も、好きよ。
怖かったけど、あんたのこと――本気で、好きになってた」
彼は、ゆっくり目を細めた。
安堵と喜びが混ざったような笑顔で、少しだけ目を潤ませて。
「ほんとに……? 嘘じゃないですよね?」
「嘘だったら、こんなにドキドキしないわよ……」
二人は、しばらく言葉を交わさずにただ、手を繋いだまま夜景を見ていた。
肩が触れ合う距離。
鼓動が、お互いに伝わってしまいそうな近さ。
それは、“甘え”から“恋”に変わった瞬間だった。
***
帰り道。電車の中。
彼はさりげなく私のカバンを持ち、「重そうだったんで」と言った。
前なら、きっと「ママがいつもこうしてくれた」って言ってただろう。
でも今は、ただ、“自分の意思”でそうしていた。
あの頃の彼じゃない。
だけど、私は“あの頃の彼”にも――
こうして成長した今の彼にも、ちゃんと恋をしたのだと思う。
(つづく)
陽翔と私は、少し遠出して都内の夜景スポットにいた。
高台にある展望広場。足元には街の光が宝石のように瞬き、空にはオレンジ色のグラデーションが静かに沈みかけている。
風は少し冷たかった。でも、となりに立つ彼の存在が、不思議とあたたかかった。
「綺麗ですね」
陽翔がそう言って笑う。
私は頷きながら、心臓がいつもより少し速く鼓動しているのを感じていた。
これが――告白される夜なんだと思うと、どうしても落ち着けなかった。
「美月さん」
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「……いろんな思い、抱えて生きてきたんだろうなって、最近わかってきました。
会社でも、家庭でも、“頼れる人”でいなきゃいけなかった。
でも……誰かに“頼られる”ことって、ほんとはすごく孤独なことなんですよね」
私は、思わず息を飲んだ。
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陽翔は続けた。
「だから、俺は――
“頼る”んじゃなくて、並んで歩きたいです」
「美月さんを“支えてあげたい”とか“守りたい”って言ったら、
それはまた“甘え”になっちゃうかもしれない。
でも、俺がいま一番言いたいのは――」
彼は一歩、近づいた。
そして、私の手を、そっと握った。
「好きです、美月さん。
あなたの強さも、弱さも、笑顔も、涙も。
その全部を、知っていたいと思いました。」
街の光が、彼の輪郭を柔らかく照らす。
その顔に、あの“甘えん坊の新人”の面影は、もうなかった。
私の中で、何かが崩れ、何かが立ち上がる。
ずっと塞いでいた扉が、彼のこの言葉で、音もなく開いた気がした。
私は、そっと彼の手を握り返した。
「……私も、好きよ。
怖かったけど、あんたのこと――本気で、好きになってた」
彼は、ゆっくり目を細めた。
安堵と喜びが混ざったような笑顔で、少しだけ目を潤ませて。
「ほんとに……? 嘘じゃないですよね?」
「嘘だったら、こんなにドキドキしないわよ……」
二人は、しばらく言葉を交わさずにただ、手を繋いだまま夜景を見ていた。
肩が触れ合う距離。
鼓動が、お互いに伝わってしまいそうな近さ。
それは、“甘え”から“恋”に変わった瞬間だった。
***
帰り道。電車の中。
彼はさりげなく私のカバンを持ち、「重そうだったんで」と言った。
前なら、きっと「ママがいつもこうしてくれた」って言ってただろう。
でも今は、ただ、“自分の意思”でそうしていた。
あの頃の彼じゃない。
だけど、私は“あの頃の彼”にも――
こうして成長した今の彼にも、ちゃんと恋をしたのだと思う。
(つづく)
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