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番外編④社会人編・導入回「……あの日の放送、全国に土下座したい。」
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皆さんこんにちは。
高梨柚葉、25歳。
地元テレビ局のアナウンサー兼ディレクター、そして……
――ほぼ「風間晴翔専属担当」でございます。
(いや、ほんと……全然そんなつもりじゃなかったんですよ?)
最初は、地道にバラエティのADやって、深夜番組の街頭インタビューとかもやって。
ディレクターに怒鳴られながら機材持って、徹夜で編集に付き合って。
ようやく去年、念願のスポーツ中継班に異動できて。
「ああ、ようやく“私の番”が来た」って、思ってたんですよ。
その時は、まさか――
あの男の天然が、全国ネットで炸裂するとは思ってなかったんです。
あれは、ちょうど1年前の春。
地元のJ3チーム「ヴァルテック岬」が、リーグ3位に浮上して話題になっていた頃。
私は、担当ディレクターとしてチームの特集VTRを任されて。
その中で、地元出身の人気選手――風間晴翔選手の単独インタビューを撮ることになった。
……はい、もうお察しの通り。
彼は、私の高校時代からの付き合いの、彼氏です。
しかも今は、同棲してます。
いや、別に隠してたわけじゃないんですよ。
局内では割と知られてたし。
ただ、公共の電波に乗せるつもりは1ミリもなかったんですよ……!!
で、そのインタビュー当日。
グラウンドの脇に簡易のセットを組んで、私はカンペ片手にMC席。
晴翔は練習帰りで、ジャージ姿。
スタッフも含めて和やかなムードだった。
(よし、事前打ち合わせもしたし、話す内容もリストにしたし……
あとは彼がその通りに受け答えしてくれれば……!)
私はインカムでADに指示を出しながら、オンエアのタイミングを確認していた。
カウントダウン、3、2、1――
《中継スタート》
柚葉「さぁ本日は、ヴァルテック岬のエースストライカー、風間晴翔選手にお話を伺います!
風間選手、よろしくお願いします!」
晴翔「はい、よろしくお願いしまーす!」
(よし、いい入り……)
柚葉「今シーズン、ここまでの手応えはいかがですか?」
晴翔「いやぁ、だいぶ走ってます。あと、ご飯がちゃんと出るって、やっぱ大事だなって思ってて。」
柚葉「……ご飯?」
晴翔「うちの冷蔵庫、柚葉さんが“作り置きゾーン”と“俺の非常食ゾーン”で分けてくれてるんですけど、
試合前になると“俺ゾーン”がだいたいお菓子だけになるんで、強制的に健康になります。」
柚葉「…………え?」
カメラ:ON
全国放送:ON
私の脳内:フリーズ
晴翔「あと、朝起きると勝手に靴下が揃ってるんですよ。
あれ、妖精かと思ってたら柚葉さんだったんです。
地味に感動しました。」
柚葉「ちょ、あの……晴翔さん?」
晴翔「あと、あれですね、
最近ルームフレグランスが新しくなったんですけど、
僕的には前のグレープフルーツの香りの方が――」
柚葉「ストーーップ!!!」
私は完全にテレビの中の人ではなく、彼女として絶叫していた。
でも時すでに遅し。
インタビューは生放送。
全国のお茶の間にはしっかりと、「風間晴翔、彼女の同棲生活を詳細に実況」という地獄の映像が流れたのであった。
しかも、その天然っぷりが逆にウケて、SNSは大炎上(というか大爆笑)。
「彼女が妖精」「冷蔵庫ゾーン管理問題」「靴下揃う生活」など、謎のワードがトレンド入り。
しまいには、局の視聴率が今年度最高を記録するという意味不明な快挙を達成。
その後、番組内で「風間選手に聞く!柚葉さんのマネジメント術」みたいな特集が組まれ、
当然、担当者は――私。
……それ以来、私は
“風間晴翔専属ディレクター”という称号を背負って生きているのです。
(いや、嬉しいんですけどね!?
嬉しいんだけど!
彼の口が勝手に情報を垂れ流すの、どうにかならないかな……)
それにしても。
あの日の放送を見て、私の両親は言ったんですよ。
「……あの子、昔と変わってないねぇ(笑)」って。
(ほんとに。変わってないんですよ、この人……)
というわけで。
ここからしばらくは、そんな「地元の人気選手×現場担当アナウンサー」という、
公私混同ギリギリの現場の記録を、皆さんにちょっとだけお届けしていこうと思います。
……ちなみに今、彼はソファで爆睡してます。
マイクつけたまま。
しかも録画回してたの、本人忘れてたらしくて、全放送中にくしゃみしてました。
お茶の間の皆さん。
この先も、どうぞ生温かく見守ってください……!
高梨柚葉、25歳。
地元テレビ局のアナウンサー兼ディレクター、そして……
――ほぼ「風間晴翔専属担当」でございます。
(いや、ほんと……全然そんなつもりじゃなかったんですよ?)
最初は、地道にバラエティのADやって、深夜番組の街頭インタビューとかもやって。
ディレクターに怒鳴られながら機材持って、徹夜で編集に付き合って。
ようやく去年、念願のスポーツ中継班に異動できて。
「ああ、ようやく“私の番”が来た」って、思ってたんですよ。
その時は、まさか――
あの男の天然が、全国ネットで炸裂するとは思ってなかったんです。
あれは、ちょうど1年前の春。
地元のJ3チーム「ヴァルテック岬」が、リーグ3位に浮上して話題になっていた頃。
私は、担当ディレクターとしてチームの特集VTRを任されて。
その中で、地元出身の人気選手――風間晴翔選手の単独インタビューを撮ることになった。
……はい、もうお察しの通り。
彼は、私の高校時代からの付き合いの、彼氏です。
しかも今は、同棲してます。
いや、別に隠してたわけじゃないんですよ。
局内では割と知られてたし。
ただ、公共の電波に乗せるつもりは1ミリもなかったんですよ……!!
で、そのインタビュー当日。
グラウンドの脇に簡易のセットを組んで、私はカンペ片手にMC席。
晴翔は練習帰りで、ジャージ姿。
スタッフも含めて和やかなムードだった。
(よし、事前打ち合わせもしたし、話す内容もリストにしたし……
あとは彼がその通りに受け答えしてくれれば……!)
私はインカムでADに指示を出しながら、オンエアのタイミングを確認していた。
カウントダウン、3、2、1――
《中継スタート》
柚葉「さぁ本日は、ヴァルテック岬のエースストライカー、風間晴翔選手にお話を伺います!
風間選手、よろしくお願いします!」
晴翔「はい、よろしくお願いしまーす!」
(よし、いい入り……)
柚葉「今シーズン、ここまでの手応えはいかがですか?」
晴翔「いやぁ、だいぶ走ってます。あと、ご飯がちゃんと出るって、やっぱ大事だなって思ってて。」
柚葉「……ご飯?」
晴翔「うちの冷蔵庫、柚葉さんが“作り置きゾーン”と“俺の非常食ゾーン”で分けてくれてるんですけど、
試合前になると“俺ゾーン”がだいたいお菓子だけになるんで、強制的に健康になります。」
柚葉「…………え?」
カメラ:ON
全国放送:ON
私の脳内:フリーズ
晴翔「あと、朝起きると勝手に靴下が揃ってるんですよ。
あれ、妖精かと思ってたら柚葉さんだったんです。
地味に感動しました。」
柚葉「ちょ、あの……晴翔さん?」
晴翔「あと、あれですね、
最近ルームフレグランスが新しくなったんですけど、
僕的には前のグレープフルーツの香りの方が――」
柚葉「ストーーップ!!!」
私は完全にテレビの中の人ではなく、彼女として絶叫していた。
でも時すでに遅し。
インタビューは生放送。
全国のお茶の間にはしっかりと、「風間晴翔、彼女の同棲生活を詳細に実況」という地獄の映像が流れたのであった。
しかも、その天然っぷりが逆にウケて、SNSは大炎上(というか大爆笑)。
「彼女が妖精」「冷蔵庫ゾーン管理問題」「靴下揃う生活」など、謎のワードがトレンド入り。
しまいには、局の視聴率が今年度最高を記録するという意味不明な快挙を達成。
その後、番組内で「風間選手に聞く!柚葉さんのマネジメント術」みたいな特集が組まれ、
当然、担当者は――私。
……それ以来、私は
“風間晴翔専属ディレクター”という称号を背負って生きているのです。
(いや、嬉しいんですけどね!?
嬉しいんだけど!
彼の口が勝手に情報を垂れ流すの、どうにかならないかな……)
それにしても。
あの日の放送を見て、私の両親は言ったんですよ。
「……あの子、昔と変わってないねぇ(笑)」って。
(ほんとに。変わってないんですよ、この人……)
というわけで。
ここからしばらくは、そんな「地元の人気選手×現場担当アナウンサー」という、
公私混同ギリギリの現場の記録を、皆さんにちょっとだけお届けしていこうと思います。
……ちなみに今、彼はソファで爆睡してます。
マイクつけたまま。
しかも録画回してたの、本人忘れてたらしくて、全放送中にくしゃみしてました。
お茶の間の皆さん。
この先も、どうぞ生温かく見守ってください……!
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